
ある日突然、大勢の警察官が家に
押しかけてきて、
家族が連れ去られる。
どうして?どういうこと!
…などということはほほないのですが。
とはいえ 知らなかったけど
実は法律違反を犯していた、とか
うっかり過失だった、とか
冤罪だったり、
あるいはとんでもない法律が施行されて
それに反している存在に
なってしまった、など
警察から容疑者とされる恐れは
誰であっても
ゼロではありません。
ではもし容疑者とされたら
どうなるのか。
わかっていないですね。
知っておいて、損はないはず。
そもそも逮捕とは、何でしょうか。
逮捕とは、捜査機関や
私人(現行犯の場合など)が
容疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐため、
一時的に身柄を強制的に
拘束することを言います。
現行犯を除き、
裁判所からの許可、逮捕状が
ない限りは逮捕されません。
逮捕されると、まず警察署において
留置場に「勾留(こうりゅう)」
されます。
逮捕後、48時間までです。
この間は家族であっても
面会はできません。
この時に内容が軽微であったり
被害が回復されていたり
過去に前歴がない、再犯の恐れがない
などの要件が重なれば
「微罪処分」として、
警察で終わりになります。
警察に検挙
(しょっぴかれる、ですね)
されたうちの3割近くは
微罪処分で終わります。
さて、逮捕されて勾留されて、
48時間で警察は何をするかというと、
「この人物を検察に送るかどうか」を
判断しなくてはならないのです。
検察に送る、とは
有罪であるという可能性が
高まること。
逮捕されて警察→検察と
身柄が送られると
72時間は留め置かれます。
その後、捜査が必要と判断されれば
最大20日間、
つまり23日間勾留されることに
なります。
余罪があればさらに延びます。
捜査を進めて、
これはクロだな、と判断されれば
「起訴」され、裁判にかけられます。
ここまでかなり慎重にすすめられるため、
起訴されたら有罪率99.9%となるわけです。
さて、逮捕されると弁護士は何度でも
面会することができます。
なので、依頼できる弁護士が
いるならば依頼を、
いなければ国選弁護士を
お願いすることになります。
検察に移ってからは
家族も友人も面会できますが、
1日1回20分程度で立会もいます。
1日1回なので、自分より先に
他の家族や友人や同僚などが
面会してしまったら
その日はもう会えないのです。
なお、差し入れはできますが、
勾留されているところによって
違うので注意です。
ということで、
検察に連れて行かれても
「不起訴」になれば、
前科はつきません。
前科とは、あくまで裁判で
有罪判決を受けたことを指すのです。
執行猶予がついても同じです。
(→なので、交通違反の反則金は
罰金刑とは違います。
スピード違反で切符切られても
前科はつかないよ!)
なお、微罪処分や不起訴になっても
「前歴」として、捜査対象に
なったということは
警察の資料には残ります。
(一般の社会生活には影響なし)
さて、ではよく聞く
「書類送検」てなんでしょ。
実は容疑者全員が「逮捕」される
わけではないのです。
在宅でそのまま社会生活を
送りながら、
ただし警察から呼び出しが来たら
取り調べに応じる場合も
多いのです。
逃亡や証拠隠滅の恐れがなければ
この形になります。
ここで警察の捜査が進んで
やはり検察へ、となる時が
「書類送検」された、ということに
なるのです。
身柄は拘束されませんが、
容疑者であることには変わりません。
とはいえ、書類送検だけでは
有罪と決まったわけではなく、
このあと検察で調べてもらってね、
の状態になるわけです。
起訴か不起訴かはその後判断され、
「在宅起訴」となることもあります。
また、時折ニュースになる、
「保釈金2000万円で保釈!」
みたいなあれですが、
起訴されたあとに起こる事柄です。
起訴されたあと、
逃亡、証拠隠滅の恐れがないと
判断された場合、
担保として本人の負担に応じた
保釈金を支払えば
でられるというわけです。
それなりに「痛い」額でないと
意味がないため、富裕であれば
その額は大きくなります。
とはいえ、お金がないから3万円に
して、などは許されず、
最低でも150万円以上となっています。
基本的に現金一括払い、
なので保釈金を支払えなければ
保釈は諦めるしかありません。
(人に借りる、
保釈支援協会に立て替えてもらうなどの
手段はあります)
なお、保釈金はデポジットのような
意味合いのため、
裁判終了後に返還されます!
逃げたり証拠隠滅したり
したら没収されますが。
例として、
保釈金15億円払って国外に逃げちゃった
某カルロス・ゴーンという方の
場合は没収されました…。
この流れがなんとなくでも
アタマに入っていれば、
警察モノや法定モノがさらに
わかりやすく楽しめるはず。
あくまでドラマの中で
起こってほしいことであって
身近では結構だ…。
と思いがちですが、
法を介して治安が守られていること、
それを職としている方々がいることを
意識しているだけでも、
今日の平和がありがたく
思えてくるというものです。
