伝統的工芸品、といえば

京都でしょう?

確かに、経済産業大臣認定の

伝統的工芸品は京都府に 

一番多い。


次は、新潟県。

新潟に限らず、冬季は手作業に励み、

京都にも便の良かった

北陸地方にも伝統的工芸品は

数多く存在します。


ただ、都道府県別で見ると

三番目は東京都なのです。


これは、やはり江戸時代に

政治の中心でひとが多く集まって

いたことから。


中でも、染め物はいくつもいくつも。

江戸小紋、江戸更紗、江戸友禅。

絞り染めに草木染に型染めに…。


もともとは京都で作り、

江戸に持ってこられていた着物が、

それでは間に合わないということで 

江戸でも作るようになり、

260年に及ぶ江戸幕府の治世下、

江戸ならではの技法や柄が

いくつも作られてきたのです。


水を多く使う染め物の職人たちは

神田川周辺に工房を構えるように

なりました。

そして、今でも

新宿区落合周辺には多くの工房があり、

その一帯ですべて事が済むのです。


江戸時代から始まった

新宿の染物は、戦後

「東京もの」として絶大な人気を誇り、

大きい工房では100人以上の職人を

抱え、作れば売れる、という時代が

やってきます。


遠目には無地にも見えるほどの

細かい細かい柄を単色で染める

江戸小紋。

江戸の粋なお洒落として

型の形も凝っているし、

江戸茶江戸鼠と言われたように

渋い色で、しかし他にはないような

色合いで、自分だけの1枚を

誂えることができます。

格も高く、昭和には空前のブームを

呼びます。


エスニックな柄の、江戸更紗。

インドやタイ、インドネシアから

到来した柄を真似た

エキゾチックな印象の模様です。


奈良時代から

「シルクロードの終着点」とも

言われてきた日本。

つまり、大陸や南の国からの

多様な文化をどれも受け入れ、

素敵だと思うものだけを

自分たちのものとして取り入れて

いく。

そんな歴史を思わせるのが江戸更紗。


さらに、現在では沖縄の紅型を

もとにしつつも

独自の色合いが美しい江戸紅型も

存在します。


江戸友禅は華麗な京友禅とは

対照的な渋めの色彩に余白も多く、

控えめで粋な仕様を得意とします。


そして、染めの着物を作るには、

染屋だけが必要なわけじゃない。


染める前段階の、白生地を整える 

湯のしをするところ、

染色補正をするところ、

家紋を入れる紋章上絵師に

着物や帯を華やかに彩る

江戸刺繍をする人々…。


けれども、高齢化だったり事業を営むのが

難しくなってきているところも

少なくない。


それでも、この技術はずっと残さなければ

ならない。だから、作り続けていく、と

彼らは言います。


外国人には高く評価されているのに、

肝心の日本人は自分たちの足元の

文化が脅かされているのに

気付かない…。


世界に衝撃を与えた

サミュエル・ハンチントンは

著者「文明の衝突」のなかで、

「日本文明」は

ただ一国で成立する極めて稀有な

独立した文明、として定義しています。


日本の文明は日本にしかない、

世界の人々はそれを知っているのに、

肝心の日本人だけが

その認識を失いつつあるのかも

しれません。


そんな大げさなものでなくても、

この着物だけは取っておこうと

思うんだけれど、

どうしよう。

この帯、色がどうも気に入らない。

無地なんだけど、つまんない。


もし、そんなものが手元にあれば、

新宿に持っていって、

相談だけでもしてみませんか。


もう使えない、と思っている帯を

活かせる方法がある。

自分に合う、たった1枚を

誂えることができる。


着物は着ないんだよね、

でもふわりと軽いスカーフが欲しい。


他にはない色柄のネクタイを探してる。


明るい柄の暖簾があったら

楽しいかも。


手ぬぐいを染めてみたい。

紅型を描いてみたい。

浴衣を作れたら楽しいなぁ。


高層ビル群を抜けた新宿には、

まだまだ古き良き江戸の香りが

漂っているのです。


のぞいてみませんか。