Away | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:Away
監督:ギンツ・ジルバロディス
配給:キングレコード
公開:2020年12月
時間:81分




今夜紹介するのは,ラトビアの若手アニメ作家ギンツ・ジルバロディス監督が3年半をかけてたった1人で作り上げた長編デビュー作『Away』。アヌシー国際映画祭コントルシャン賞グランプリをはじめ各地の映画祭で数々の賞に輝き話題を集めた異色のロード・ムービーだ。

パラシュートが木に引っかかった状態で目を覚ます少年。そこに謎の巨大な黒い影が近づき,彼を飲み込もうとする。急いでパラシュートを解き,走り出す少年。走った先のアーチをくぐると,洞窟となっていて,さらに奥にはオアシスのような場所があった。

オアシスを探索する少年。オートバイを発見し,なついてくる黄色い小鳥と仲良くなる。誰かの残したリュックの中には水筒と望遠鏡と島の地図。どうやら現在地から反対側の島の端には入り江と町があるようだ。洞窟の入口に立ちふさがる黒い影に怯えながらも,ついに少年は小鳥と一緒にバイクで影の足元をすり抜け,入り江の町を目指すのだったが…。

Chapter 1「Forbidden Oasis(禁断のオアシス)
Chapter 2「Mirror Lake(鏡の湖)
Chapter 3「Dream Well(眠りの井戸)
Chapter 4「Cloud Harbor(霧の入り江)

の4章で構成される作中には一切台詞がない。しかし,輪郭線を省略した顔や小鳥など独特な作画と展開,息を呑むほどに幻想的な自然描写と融合したシーンなど,飽きさせないし,見る者の想像を膨らませる秀作。

隠喩と取れる描写を,様々に解釈する楽しみも刺激する1本。機会があれば是非。


映画クタ評:★★★★