岸辺露伴 ルーヴルへ行く | p・rhyth・m~映画を語る~

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仏題:ROHAN AU LOUVRE
監督:渡辺一貴
キャスト:高橋一生/飯豊まりえ/長尾謙杜
配給:アスミック・エース
公開:2023年5月
時間:118分




コミックス100巻以上,累計発行部数1億2000万部を超える,国も世代も超えた荒木飛呂彦の大人気コミックス『ジョジョの奇妙な冒険』。そのスピンオフ作品『岸辺露伴は動かない』を,高橋一生主演で実写化し大きな話題を集めたNHKドラマの劇場版がついに公開された。ドラマ第1話からのファンとして,小躍りして公開初日に観に行ったこの『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』を今夜は紹介。

岸辺露伴とは,『ジョジョ』シリーズの第4部に登場するサブキャラクターで職業は漫画家。好奇心旺盛でリアリティを何よりも重んじる彼。毎回,よせばいいのに進んで危険な場所へと出かけては,当然のように危ない目に遭う。そんな彼に備わったピンチをくぐり抜けるための特殊能力(原作では“スタンド”)が,“ヘブンズ・ドアー”という相手を“本”にしてその生い立ちや秘密を知り,さらに書き込みを行って指示を与える力(ギフト)だ。

日本風土に根差し,ちょっとゾワゾワっとさせる人知を超える物語と,キャラの魅力。そして,ドラマ版ではレギュラーとなった相棒の担当編集者・泉京香との凸凹コンビ感が不思議な魅力を放つドラマ。

今回の舞台はタイトル通りフランス・パリ。2009年にフランス・ルーヴル美術館のバンド・デシネプロジェクト(ルーヴル美術館による国内外の漫画家とのコラボレーション企画)のために描き下ろされた荒木飛呂彦初となるフルカラー読切作品を原作とする。脚本の小林靖子,監督の渡辺一貴ともに,TVドラマに引き続き素晴らしい世界観を構築・映像化してくれている。

ある日訪れた骨董品屋で目にした図録で見かけた「noir(ノワール)」という真っ黒な絵画が気になった岸辺露伴(高橋一生)。絵が出品されるオークションに,おせっかいな編集者の泉京香(飯豊まりえ)を伴い参加し落札するが,怪しい男たちもその絵を狙う。やがて,キャンバスの裏に「これはルーヴルで見た黒」という文字を見つけた露伴は,フランス・パリにあるルーヴル美術館へと向かう。

漫画に集中するため祖母・猷(白石加代子)の経営する下宿で過ごした青年期の露伴(長尾謙杜)は,そこで奈々瀬(木村文乃)という謎めいた女性と出会っていた。彼女はある時,山村仁左右衛門がこの世で最も黒い顔料で描いた“最も黒い絵”の話をしていたのだ。

しかし不思議なことに,その“黒い絵”の存在はルーヴルの職員ですら誰も知らなかった。データベースで検索すると,保管場所として,今は使われていないはずの地下倉庫“Z-13倉庫”が示されるのだったが…。

日本映画でルーヴル美術館での撮影が許可されたのは『万能鑑定士Q -モナ・リザの瞳-』以来2作目という。その壮大さと荘厳さを背景に,こだわりを感じさせるアングルで観る者を“露伴ワールド”に引きずり込む秀作。

初めて明かされる露伴自身のルーツや,次第に明らかになる歴史との因果もストーリーを厚くし,キチンと緩急はあるのに,とても濃厚な2時間。TVドラマ版全8話を見て,ちょっとクセがあるが,ハマったら抜けられなくなるキャラと作品世界の予習をしてからの鑑賞がお薦め。

ファンの欲目を加算して5つ星★


映画クタ評:★★★★★


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