新聞記者 | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:藤井道人
キャスト:シム・ウンギョン/松坂桃李/本田翼
配給:スターサンズ/イオンエンターテイメント
公開:2019年6月
時間:113分




2009年にテレ朝系の『侍戦隊シンケンジャー』の主役・シンケンレッドでTV・映画にデビューした松坂桃李も,いつの間にか31歳。第36回日本アカデミー賞(2012年度)で新人俳優賞を受賞して以降,活躍目覚ましい俳優の1人だ。そんな彼が,昨年『孤狼の血』での日本アカデミー賞・最優秀助演男優賞に引き続き,今年は最優秀主演男優賞の栄冠を手にした『新聞記者』を今夜は紹介。

原案は,東京新聞記者・望月衣塑子のノンフィクション。官房長官会見に彗星のごとく現れ,次々と質問を繰り出す彼女。森友学園,加計学園問題での突っ込んだ記者会見が記憶にある人も多いだろう。映画版はフィクションのオリジナルストーリーとして,若き新聞記者とエリート官僚の対峙と葛藤がメインとなるが,反政府というイメージを持たれかねない内容のため,キャスト選考には苦労があったという。

日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育った東都新聞社会部の若手記者・吉岡エリカ(シム・ウンギョン)は,記者会見でただ1人鋭い質問を繰り返し,官邸への遠慮が蔓延する記者クラブの中で厄介者扱いされるばかりか,社内でも異端視されていた。そんなある日,社会部に大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届く。上司の陣野(北村有起哉)から調査を任された吉岡。

一方,内閣情報調査室の杉原拓海(松坂桃李)は,“国民に尽くす”という信念とは裏腹に,現政権に不都合なニュースをコントロールする現在の任務に葛藤していた。愛する妻・奈津美(本田翼)の出産が迫る中,杉原は尊敬する昔の上司・神崎(高橋和也)と久々に再会するが,その数日後,神崎はビルの屋上から身を投げる。真実に迫ろうともがく女性記者と,“闇”の存在に気付き,選択を迫られる若手エリート官僚。そんなふたりの人生が交差する時,衝撃の事実が明らかになるのだったが…。

“権力の監視役”としてのマスメディアの力が急速に弱まる現代日本における“新聞”のスタンス。“日本版CIA”とも呼ばれる“内調(内閣情報調査室)”による「あり得るかも?」と思わせる情報操作。ストーリー的にインパクトは弱いが,その分逆に強いリアリティを感じさせる。ただ,全体としてはタイトルの『新聞記者』を描いた作品と言うより,物語を通して“今の時代の保身とプライド”を考えさせる1本だと思えた。

作品中のTVの討論番組には望月衣塑子本人も出演。先日発表された第43回日本アカデミー賞では,最優秀作品賞,最優秀主演男優賞(松坂桃李),最優秀主演女優賞(シム・ウンギョン)の3冠を獲得した。


映画クタ評:★★★★


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