監督:クエンティン・タランティーノ
キャスト:レオナルド・ディカプリオ/ブラッド・ピット/マーゴット・ロビー
配給:コロンビア映画/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公開:2019年8月
時間:161分
11部門にノミネートされた『ジョーカー』(2019年・ワーナー)の勢いにざわめいた第92回アカデミー賞で,ブラピに初のオスカーをもたらした作品を今夜は紹介。1969年にハリウッド女優シャロン・テートがカルト集団チャールズ・マンソン・ファミリーに殺害された事件を背景に,タイトル通り“古き良き時代”のハリウッド映画界を描いた1本だ。L・ディカプリオとブラピの初共演作品ともなった。
監督は,Q・タランティーノ。以前から「10作品撮ったら引退する」と公言する彼にとって『ヘイトフル・エイト』以来3年ぶりの9作目となる。
かつてテレビの西部劇スターとして名を馳せていた俳優リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)は,変容していく時代の流れに取り残され,今やドラマの悪役や単発企画へのゲスト出演に甘んじていた。ハリウッドで生き抜くことに神経をすり減らしているリックとは対照的に,いつも自分らしさを失わないのがリックの親友で専属スタントマンのクリフ・ブース(ブラッド・ピット)。しかしクリフもまた時代の流れの煽りを食い,実質リックの世話係を務める毎日を送っていた。固い絆でショウビジネスの世界を生き抜いてきた2人だったが,このままでは高級住宅地“シエロ・ドライブ”にあるリックの豪邸も手放さなければならない。
そんなリックの家の隣に,時代の寵児となった映画監督のロマン・ポランスキー(ラファル・ザビエルチャ)とその妻で新進女優のシャロン・テート(マーゴット・ロビー)が引っ越してくる。彼らとの勢いの違いを痛感するリック。一方クリフは,ヒッチハイクをしていたヒッピー少女のプッシーキャット(マーガレット・クアリー)をピックアップし,彼女をヒッピーのコミューンとなっている“スパーン映画牧場”まで送り届けるのだったが…。
この作品,半世紀前に起きた“シャロン・テート殺人事件”を知っているかそうでないかによって,見方と評価が分かれるだろう。リックとクリフは架空の人物で,実際には,1969年8月9日,狂信的カルト指導者チャールズ・マンソンの信奉者たちが襲撃したのはポランスキー邸。26歳で妊娠中のシャロンは,母子ともに惨殺された。
リックとクリフの友情に視点を置きながら,Q・タランティーノ監督独特の映像湿度の中,時間と場所を次々にシフトさせる前半でライトなノスタルジーを香らせ,後半への伏線としていく。終盤のバイオレンスは目を覆いたくなるようなシーンもあるが,実際の事件はさらに凄惨だったという。このリアルを知る人にはまるで,リックとクリフを使ってタランティーノ監督が“仇討ち”をしてくれたように映るのではないだろうか。
リックのモデルはバート・レイノルズ,クリフのモデルはハル・ニーダムとか。他に,リックと正反対にテレビスターから映画スターへの転向に成功したスティーブ・マックイーン(ダミアン・ルイス)やブルース・リー(マイク・モー)なども実名で登場させている。
クタ評:★★★★☆
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