原題:The Hateful Eight
監督:クエンティン・タランティーノ
キャスト:サミュエル・L・ジャクソン/カート・ラッセル/ジェニファー・ジェイソン・リー
配給:ワインスタイン・カンパニー/ギャガ
公開:2016年2月
時間:167分
1990年代前半,入り組んだプロットと犯罪と暴力の姿を描いた作品で一躍脚光を浴びたQ・タランティーノ監督の8作目は,アカデミー賞2冠の前作『ジャンゴ/繋がれざる者』(2013年・ワインスタイン)に続く西部劇。魅力と“らしさ”満載と評判だった作品を,ソフト化されてやっと見ることができた。
南北戦争後のワイオミング。雪の中を走る1台の駅馬車。乗っているのは賞金稼ぎのジョン・ルース(カート・ラッセル)と手錠をはめられた賞金首の女盗賊デイジー・ドメルグ(ジェニファー・ジェイソン・リー)。そこへ,馬が倒れて立ち往生していた元騎兵隊の賞金稼ぎマーキス・ウォーレン(サミュエル・L・ジャクソン)が,お尋ね者3人の死体と共に乗り込んでくる。共にレッドロックを目指す一行は猛吹雪を避け,道中にある“ミニーの紳士服飾店”に立ち寄ることに。さらに途中でもう一人,レッドロックの新任保安官だというクリス・マニックス(ウォルトン・ゴギンズ)を拾う。
ようやく辿り着いたミニーの店にミニー(デイナ・グーリエ)の姿はなく,見知らぬメキシコ人のボブ(デミアン・ビチル)が店番をしていた。店には他に,絞首刑執行人のオズワルド・モブレー(ティム・ロス),カウボーイのジョー・ゲージ(マイケル・マドセン),南軍の元将軍サンディ・スミザーズ(ブルース・ダーン)という3人の先客がいた。一見,まるで無関係な8人は,ひょんな成り行きから,この店で一晩を一緒に過ごすハメになるのだったが…。
2時間半を超える作品だが,ガッツリ一気に見てほしい。前半は本筋とは関係なさそうな,キャラ紹介のようなユニークな会話がひたすら続く。駅馬車がミニーの店に到着するといよいよ本題。ひとつの殺人事件をきっかけに,嘘で塗り固められた登場人物たちの間に広がる疑心暗鬼の行方と,思いも寄らない素性が次第に明らかとなっていく。後半はクエンティン名物の“矛盾に満ちたキャラクター”と“先の読めない急展開”が存分に楽しめるミステリー。時間軸を戻す展開もお馴染みの手法だし,バイオレンスも血しぶきもたっぷり。公開時には「R18+」のレイティングがついていたので,心臓弱めの方にはお薦めできないかも。
とは言え,南北戦争の数年後に強く残る差別もキッチリと描きながら,チャプター立ての構成は,熟練の役者たちによる舞台劇を思わせる素晴しさ。画面から滲み出るようなエンニオ・モリコーネの音楽は,アカデミー作曲賞も納得。
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