愛のむきだし | p・rhyth・m~映画を語る~

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英題:Love Exposure
監督:園子温
キャスト:西島隆弘/満島ひかり/安藤サクラ
配給:ファントム・フィルム
公開:2009年1月
時間:237分




園子温特集の2夜目は,断トツのファン人気を誇る『愛のむきだし』。以前に監督が知り合った“盗撮のプロ”の実話を基に製作され,自身の体験や取材を組み込んだ4時間に及ぶ純粋で壮絶な恋愛叙事詩。公開時にはほとんどの上映館でインターミッション(途中休憩)が挟まれた。DVDも2枚組(BDは1枚)。

敬虔なクリスチャンの一家に生まれた青年・本田ユウ(西島隆弘)。母を早くに亡くし,神父の父・テツ(渡部篤郎)と2人暮らしの彼は,理想の女性“マリア”に出会う日を夢見て満ち足りた毎日を送っていた。ある日,そんな父子の前に自由奔放で妖艶なカオリ(渡辺真起子)が現れる。テツはカオリに溺れていくが,カオリはテツの元を去っていく。カオリを失ったテツは人が変わり,神父として,ユウに毎日“懺悔”を強要するようになる。

父との繋がりを失いたくないユウは,様々な罪作りに励み,懺悔する。その中で女性の股間を狙う盗撮だけは,父に決して許してもらえなかった。しかし,そこに父からの愛を見出だしたユウは,盗撮に没頭していく。そんな彼に興味を持ち,遠くから見つめる謎の女・コイケ(安藤サクラ)。ある日ユウは盗撮仲間とのゲームに負け,女装して女性をナンパすることになる。そして,街でチンピラに絡まれていたヨーコ(満島ひかり)と出会う。ユウにとってヨーコは,探し続けていた“マリア”だった。ヨーコもまた,ユウが女装したサソリに恋をするのだったが…。

ここまででまだ1/4。ようやくタイトルが現れる。そしてここからはタイトル通り“むきだし”にされる様々な愛のカタチとその変化が,多元点的な手法でテンポよく描かれ,4時間まったく飽きさせない。メインとなる若いユウ,ヨーコ,コイケに共通する“親からの愛の欠如”は,彼らを,その愛を埋める行為として,盗撮,暴力,宗教へと駆り立てる。監督のエッセンスの凝縮されたストーリーは,隠喩として思春期の性と葛藤と,その目に映る大人の穢れを含み,それを昇華するラスト30分へとなだれ込む。

もちろんピチピチの西島隆弘,満島ひかり,安藤サクラはご馳走。共演は他に,板尾創路,綾野剛,吹越満,松岡茉優など。

昨夜の『映画 みんな! エスパーだよ!』から“園子温パンチラ特集”とも言える2作品。描き方こそ違うが,そこに宿った共通の裏テーマを考察することで,更に深く味わえるのではないだろうか。


映画クタ評:★★★★


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