新宿スワン | p・rhyth・m~映画を語る~

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英題:Shinjuku Swan
監督:園子温
キャスト:綾野剛/山田孝之/沢尻エリカ
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公開:2015年5月
時間:139分




2015年の園子温監督はまるで“メジャー元年祭”とでも言うように,春から夏の間に4本もの映画を世に出している。そのスタートが5月30日公開のこの作品。6月27日からは『ラブ&ピース』,7月11日からは『リアル鬼ごっこ』(松竹),9月4日からは『映画 みんな! エスパーだよ!』(ギャガ)と大手配給が続いた。独特の感性をもつ園子温ワールドがメジャーになる喜びと,メジャーになるが故に大衆化されてゆく寂しさとが入り交じるが,この4作を見る限り,毒や反りや尖りと不思議さ優しさは,作品ごとに手法や配合を変えて表れていたと思う。

原作は和久井健の人気コミック『新宿スワン〜歌舞伎町スカウトサバイバル〜』。和久井健は,かつて実在した日本一のスカウト会社のスカウトマンだったとか。脚本は,鈴木おさむ&水島力也。

親にもツキにも見放され,帰る電車賃もなく新宿をふらつく金髪天パーの熱血男・白鳥龍彦(綾野剛)。チンピラたちに絡まれ大乱闘になったところを助けてくれた真虎(伊勢谷友介)に誘われスカウトの道へ。「俺がスカウトした女の子には必ず幸せだって言わせます!」と熱い誓いを立て,真虎が所属するスカウト会社バーストの一員となった。

ある日,借金を肩代わりしている店長に痛めつけられ,コキ使われる風俗嬢アゲハ(沢尻エリカ)と運命的な出会いをする龍彦。手に手を取って店から逃げ出す2人だったが,アゲハには元の店に戻らなければならない秘密があった。そしてその裏には,新宿でバーストとしのぎをけずるライバル会社ハーレムで頭角を現していたスカウトマン・南秀吉(山田孝之)の影が。

龍彦に異様なほどのライバル心を燃やしている秀吉は,新宿のテッペンを狙い暗躍する。それはやがて,歌舞伎町の全スカウトマンを巻き込むバトルへと発展してゆく。真虎は秀吉を止められるのか。王子様を待つ絶望のアゲハ。そして歌舞伎町に精通するクラブのママ・涼子(山田優)から秀吉との因縁を明かされた龍彦は,すべてを終わらせるために,孤立無援の闘いに挑んでゆくのだった…。

流血や痛みやセックスを直接映像として見せることなく,見る者に生々しく感じさせる。逆に殴り合うシーンでは,拳にこもったキャラの感情やトラウマが伝わってくる。園子温監督の“見えない部分を見せるパワー”が,作品をエナジーで包み込む。一心不乱に突き進む龍彦の姿と,山田孝之,沢尻エリカ,伊勢谷友介の存在感や上手さが緊張感を張り詰めさせる。

1月21日からは続編となる『新宿スワンII』が公開。園子温監督が今度はどんな形で,どんな映像を見せてくれるのか,待ち遠しい。


映画クタ評:★★★★


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◆シリーズ一覧◆

新宿スワンII』(2017年)