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監督:園子温
キャスト:長谷川博己/麻生久美子/西田敏行
配給:アスミック・エース
公開:2015年6月
時間:117分




ハリウッド映画『GODZILLA ゴジラ』の大ヒットを受け12年ぶりに製作された国産ゴジラ作品『シン・ゴジラ』で,主演を射止めた長谷川博己。近作では『MOZU』の東や『デート~恋とはどんなものかしら~』の谷口巧と言えば判る人も多いだろうか。このコーナーの作品では『海月姫』での蔵之介の兄・修や『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』のシキシマなど,前に出過ぎないが独特のキャラを飄々と演じる。文学座出身の実力派俳優だが,その器用さ故か,出演作の割に主演作は少なくて,映画では『シン・ゴジラ』が3作目の主演となる。

今夜はそんな長谷川博己の主演作から1本紹介♪

ロックミュージシャンを目指すも夢破れて,今は楽器の部品会社でしがないサラリーマンをしている鈴木良一(長谷川博己)。職場ではいじめられ,想いを寄せる同僚の寺島裕子(麻生久美子)ともまともに話すこともできない冴えない日々を送っていた。そんなある日,デパートの屋上で一匹のミドリガメと出会い,運命的なものを感じた彼は,その亀に“ピカドン”と名付けて飼い始める。しかしピカドンが同僚たちに見つかりバカにされた良一は,泣く泣くピカドンをトイレに流してしまうのだった。

やがてピカドンとの出会いから生まれた新曲が評判となり,良一は念願のメジャーデビューを果たすことに。一方その頃,トイレに捨てられたピカドンは不思議な地下世界へと流れ着き,言葉を話すおもちゃたちと暮らす謎の老人(西田敏行)に拾われる。この老人こそが良一とピカドンに思いもよらない運命をもたらすのだった…。

監督は,エログロ,叙情的,哲学的な作風を交えた作家性の強い映画作品を世に送り出し続け,海外での評価も高い園子温。最近話題となった同監督の『新宿スワン』(2015年・ソニー)や『リアル鬼ごっこ』(2015年・松竹)とはひと味違う,愛をテーマに,怪獣特撮映画の要素を取り入れて描かれる奇想天外なファンタジー。

長谷川博己の壊れっぷり,麻生久美子の地味っぷりが見事な,B級っぽいA級作品。そこに極端なまでに映し出される“夢見ることの大切さと,変わらないことの貴さ”は,最後まで目を放させないパワーを持っていて,見終わると不意に「ラブ&ピース,お前を忘れな~い♪」と口ずさんでしまう。

他に,田原総一朗をはじめとする共演陣や,星野源,中川翔子,大谷育江といった声優陣も話題となった。個人的には大好きな1本だが,見る人の好みによって評価が両極端に分かれそうなので,お薦め★は3つに抑えてみた。


映画クタ評:★★★☆☆


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