戦国時代は祭りのような賑やかで華やいだ行事が自粛されて
いたのではと思ってしまいがちですが、実は逆だったようで
す。
不慮の死を遂げたり、恨みを残して死んだ者の魂は怨霊とな
って天変地異や疫病を残す。今でもその観念は残りますが、
昔はそれをほとんどの人が信じていたようです。
今京都の八坂神社で行なわれる「祇園祭」は、平安時代に始
まった京都・神泉苑での「祇園御霊会」が元祖です。宣教師
のフロイスは、戦国時代の祇園祭の様子を記しています。
それによるとかなり盛大で、多くの者が横死をした戦国時代
だからこそ祟りを恐れた人たちにとって御霊会は欠かせない
行事だったようです。
ただし「お祭り」は、「御霊会」だけではありません。人々
に恵みをもたらす神様を祀るためのお祭りも、広く行われま
した。
特に五穀豊穣への祈りと感謝を捧げる祭祀祭礼は、農民にと
ってとても重要なイベントだったのです。秋の収穫期と春の
田植えの時は、各地でお祭りが盛大に行われました。
大名や武将たちも、農民のモチベーションを下げてはいけな
いし、そもそも農民たちの支持がないと持たないこともあっ
て、祭りの時期には戦も中断されていたようです。