京都の「清水寺」は有名ですが、誰が建てたのかというと、
あまり知られていないと思います。
清水寺を建立したのは、あの坂上田村麻呂です。この人は
「蝦夷征伐」ばかりが取り沙汰されますが、実は「清水寺建
立」という事業もやっているのでした。まだ征夷大将軍にな
る前ですから、当然蝦夷征伐よりも前のことです。
その際の話が、『今昔物語』に出ています。『今昔物語』は主
に伝説集なので現実性は疑われるのですが、この清水寺建
立に関してはほぼ事実に基づいているとされています。
田村麻呂が産後まもない妻に食べさせようと鹿を捕え、さば
いている時に、不思議な水が流れているのに気づきます。飲
んでみると、身も心もさわやかになりました。
ぜひ源泉を探りたいと思って流れを辿ると、滝ノ下で読経をし
ている修行僧の賢心という僧侶に会いました。そして殺生の
罪について説法されます。
帰宅後に妻にこの話をしたところ、妻も自分の病と引き換えに
生き物の命を奪ってしまったことを後悔したのでした。そこで2
人で相談した結果、住まいを使って寺にすることに決めたのだ
ということです。
尚建立の際には、自らが滝ノ下で出会った修行僧の賢心の協
力も得ていて、2人は同志としてその後を過ごしています。
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