関東、特に江戸と、大坂を中心とした関西では、ウナギの捌
き方が反対です。関東では背中から、関西では腹から、捌き
ますね。
これは、江戸の武士と大坂の商人の考え方が、反映されたも
のでした。つまりこの捌き方は、江戸時代に始まったものなの
です。
武士にとって腹を開くのは、「切腹」を意味するもので、縁起が
悪いと考えられました。
しかし商人の町である大坂では、「自腹を切ってもてなす」とい
う意味、そして「腹を割って打ち解ける」という意味もあって、腹
開きは逆に縁起が良かったのでした。
まあこの他にも、ウナギの脂は背中に多いので、背中から捌い
た方が落ちにくいという利点も、ありました。逆に腹開きには、包
丁が入れやすいという利点がありました。どっちを取るかでも、気
質の違いが出ます。
江戸時代よりはるか前、というか縄文時代にすでにウナギは食さ
れていましたが、大体はぶつ切りにして串焼きで食べていたそう
です。
尚、ずっと一貫して断っておりますが、今のように「大阪」と書くよ
うになったのは、明治初期からです。江戸時代までは「大坂」でし
たので、江戸時代までの話を書く場合には「大坂」で統一させて
もらっております。