この「日和見」という言葉、現在はずるくて調子の良い人間
のことを言いますね。要するに、事の成り行きを見て有利な
方につこうとすることを意味します。
ただ元々は決してそうした悪い意味ではなく、語源は重要な
ものから来ています。
「日和」というのは、「天候」のことを指します。それを見るわけ
です。天気の状況をうかがうのだから、とても重要です。
江戸時代に生まれた言葉ですが、船を安全に航海させるには、
天候が良くないといけません。そのため江戸時代には、各地の
港の小高い丘に、天候を観測する場所がありました。それを、
「日和見」と呼んだのです。
船頭や船問屋の主人などが日和見に立ち、風向き、雲の動き、
潮の速さなどを観測し、気象を予測しました。そうした日和見
のある山は、「日和山」と呼ばれたそうです。今でも各地に、そ
の「日和山」という地名は残っております。
この天候を見る行為が意味を広げ、形勢をうかがう行為を含む
ようになり、やがて悪い意味へと転じて行ったのです。