現在日本では、夏服と冬服の2種類が使い分けられ、衣替え
が行なわれます。この習慣を面倒くさいと思う人は、滅多にい
ないでしょう。夏と冬の温度差が凄まじい日本で、1年を同じ
制服で過ごすのはとても無理です。いわば、儀礼ではなく、必
要に応じての衣替えだからです。
しかし江戸時代の武家社会は、もっと細かく、年に4度の衣替え
が行なわれていました。
4月1日から5月4日までは、袷(あわせ)という裏地付きの着物
を着ます。
5月5日からは、帷子(かたびら)と呼ばれる、裏地なしの単にな
ります。これは割と長く、8月いっぱいまで続きます。
9月1日から9月8日までは、いったん袷(あわせ)に戻すそうで
す。
そして9月9日から翌年3月末日までは、綿入れの着物を、着用
するということです。
こうした衣替えは、かなり厳密だったといいます。袷の期間が、面
倒ですね。特に、9月1日から9月8日までなんて、わずか1週間
ちょっとですから。
ただし、要は夏と冬との切り替えの間に心の準備をするということ
だと、考えれば良いのでしょうか。そのためにあるのが、袷なので
あると。