今は、ミネラルウォーターが、盛んに売られております。水をお金を
出して買うなんていうことは、私が子供の頃など、考えられません
でした。昭和の終わり近くまでは。
ですが、水が当時より更にきれいで美味しかった江戸時代、実は
飲料水を売り歩く「水屋」という商売があったのです。
当時は、神田上水や玉川上水が、自然の勾配をつけて町々に配水
されていました。そして使われなかった水は、河川にそのまま放流
されます。その水を、水船で運び、売り歩くのです。
上水の通っていない地域や良質の井戸に恵まれていない地域が、
結構ありました。その地域を、天秤棒の両端に細長い桶をつけて担
ぎながら、「みずー・・」と言って売り歩いたのでした。
特に深川周辺などでは飲み水が乏しく、水屋から水を買うのが習慣
になっていました。
しかしその水屋が売る水には品質に差があり、山の手の名水である
こともあれば、川の水をそのまま売り歩くこともあり、しかもそれが海
に近くて塩分を含んでいる、なんてこともあったそうです。そのため、
良い水屋は、よりありがたがられていたのです。
この水屋は明治になっても続き、明治31年に改良水道が引かれる
まで、大繁盛したということです。