悲し過ぎます。声優・谷口節(たかし)さんの死去 | 山科薫マニアックな世界を楽しみましょう

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以前にも何度かこのブログに書きましたが、私はレッドパワーズとい

う野球チームに所属して、20年ほどプレーを続けました。そのチーム

の監督は、声優の谷口節さん。


今、コーヒー「BOSS]のテレビCМで、宇宙人役として出ているトミー・

リー・ジョーンズの心の声を担当している人。といえば、ピンと来る人は

多いと思います。


その谷口さんが、亡くなりました。27日、自転車を運転している最中に

突然倒れ、帰らぬ人となってしまったのです。私がそれを知ったのは、

昨日の夜でした。朝書いた、悲し過ぎる報せというのは、このことです。


20数年前、私はある知人の紹介で、レッドパワーズに入りましたが、

谷口さんとの出会いもその時です。


最初から印象が良かったわけでは、ありませんでした。プロフィールに

あるように私は少年時代俊足だったのですが、それを生かすようなバッ

ティングは、したことがありません。長打狙いで、振り回してばかりいま

した。そして、レッドパワーズでも最初、少年野球時代のままの粗っぽ

いバッティングをすると、


「キミの今の打ち方では、たとえ草野球でも、レベルの高いピッチャーは

打てないよ」


と、冷たく言われました。”何言ってんだよ”と、私は反発しましたが、実際

やってみると、確かに相手チームの投手のレベルがどこも高い、ストレート

だけじゃなく、多彩な変化球を投げる投手ばかり。それも、結構コース一杯

に決めてきます。勿論、うちの投手陣もそうでしたが。


私は、悔しかったけど、「バッティングをコンパクトに変えたいので、試合後、

僕の今日のバッティングについて、感想を聞かせて下さい」と、頭を下げま

した。そして、アドバイスのもと、打撃を根本的に変えることに、成功してい

きました。


それから、以前より一段高い所で野球を見ることが出来、本当の面白さを

教わった気がします。


やがて、野球以外の話も、よくするようになります。役者としての私も、それ

なりに認めてくれるようになり、芝居談義もしてもらえるようになっていきま

した。


私は、基本的に顔出しの役者ですが、ナレーションにも興味があり、手ほど

をお願いすると、快く受け入れてくれました。


「実は、山科ちゃんの声って、伸びのある、良い質だとは思っていたんだよ」


なんて、ありがたい言葉も、もらいました。

しかし、いざ教わってみると、言われるのが、「癖を殺せ」、「個性は出さなくて

良い」などという、不本意なことばかり。


ところがある日、突然言われました。

「何故、個性や癖を殺せって言うか、山科ちゃん、わかる?それは、殺せるわ

けがないからだよ。個性なんて、絶対に、出ちゃうものなんだ。だから、それを

自分で意識したら、逆に混乱するんだよ。むしろ、殺そう殺そうと努力した中で

自然に出てしまう個性が、その人の最も自然な味だと思った方が良いんだ。

特に山科ちゃんみたいな、キャラの強いタイプはね」


確かに、その通りですね。聞いて、胸のつかえが取れた気がしました。


谷口さんは、今も若手の育成に力を入れておりまして、亡くなる前日も、教室

を開いていたそうです。その時には、忘年会の段取りまで決めていたそうです。

本当に、急死だったんですね。


私の知る谷口さんは、本当に、元気そのものでした。今思うと、ちょっとその元気

を、過信していたような所はあったかな。あくまで、今思うと、ですが。


午前中、買い物に出る予定でしたが、取りやめにせざるを得ない状況に、なって

しまいました。

私より10歳上なので、谷口さんが先に逝くのを見送ることは予想されたことでし

たが、いざその時が訪れてみて、まさかこんなに涙が出るなんて、考えもしない

ことでした。とにかく、一人の部屋から、一歩も出れる状態では、なくなりました。

今日の午前。


若い奥さんと再婚して、何年もたっていません。そして、子供さんも、生まれまし

た。最近、冒頭のコーヒーCМ以外にもテレビで谷口さんの声を聞くことが多く、

”頑張って、第二の人生やってるな”と、嬉しく思い、私自身への励みにもしてい

たんですがね。

私の中で、一つの時代が終わりました。