あまり使われていませんが、「蠟涙(ろうるい)」という呼び名があ
ります。これは、ロウソクの滴のことを言います。火をつけた時に
蠟が溶けて下に溜まる滴のことです。
リサイクル大国だった、江戸時代の日本。やはりこれを再利用し
ないはずは、ありません。当時、この蠟涙が固まったものを買い
集めて再生することが、職業となっていました。一般に、「蝋燭
(ロウソク)の流れ買い」と呼ばれていました。
現在、ロウソクのほとんどはパラフィンなどを使った西洋ロウソク
なのですが、この頃は当然ながら和蝋燭でした。ただ日本古来の
和蝋燭は、漆や櫨などの実から取った蠟が原料でした。これを
取り出すには、かなりの技術と手間が必要だったのです。
勿論、そうした手間をかけた製品もつくっていかなくてはいけない
のですが、それだけでは追いつきません。そこで、安くて手軽な
ロウソク、いわばコピー製品もつくっていく必要があったし、勿論
需要もあったのです。
そのため、ロウソクの蠟は、貴重でした。買い集められた蠟は、再び
ロウソクの原料として利用されます。
他に、その蠟は溶かして型に入れて固めまして、障子や戸の桟に
つけて滑りを良くするのに、用いられます。また、木製品の艶出し
にも使われました。
従って、職人の間だけでなく、一般家庭に蠟がそのまま製品として
売られることもあったのです。
余談?ですが、SМプレイにロウソクが使われたりします。あのプレイ
は、平安時代頃にはすでに定着していたものと思われるので、そっ
ちの需要もあったでしょう。