ウケる話 | 山科薫マニアックな世界を楽しみましょう

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昨日朝の7時、トーク番組で、佐藤かよというニューハーフのモデルが、

「カミングアウトした時、親は怒ったけど、兄は理解し、応援もしてくれた」

という、心温まる話をしていました。


そりゃあ、怒ってどうにかなることじゃないし、結局は応援するしかないで

しょう。多分親も今は、そうしているんでしょうね。ただ私はその話を聞いて、

遠い昔のとんでもないことを、思い出しました。


弟が大学生の時です。奴も私も、実家におりました。つまり、同居していま

した。電話は、一台のみ。携帯など、まだない時です。昭和50年代終盤

だったと思います。


私は弟の留守中に、奴への電話を受けました。大学の同級生という女性

です。「今、留守にしていまして」と言うと、その彼女の様子がおかしいの

です。


「ああ、お兄さんですか?」

「そうですが」

「うふふ、今、どんな服着てるんですか?」

「え? ジャージですけど」

「へー、うふふ、普段って、ジャージだったりするんですね」


何か、一人で納得している様子。しかも、「うふふ」は、何の笑いだ?弟が

帰ってから、「お前、どういうことなんだ」と問いただすと、奴は


「ああ、言うの忘れてた。兄貴、オカマってことになってるから、そのつもり

でな」


平然と、そう答えるのでした。

「ふざけんな。何だそれ?」

「しょうがねえだろ。オカマの話はウケるんだから」


まあ、当時から、確かにウケるネタではありました。ただ聞いてみると、奴の

作り話は凝っていて、

「最初に聞いた時は、ショックだったよ。まさか、兄貴がなって。でも、やっぱ

り、血のつながったたった一人の兄貴だろう。俺だけでも、しっかり理解して

やろうって、思い直してな」


そんなシリアスで、ちょっぴりネガティブとも思える話から入るそうです。それ

からノッてくるに従って、

「でも、女装してんの見たら、結構きれいなんだよ。だから、いっそ手術しちゃ

えばいいって、俺、思うんだけどな。本当、なかなかイケるんだな」

というようなポジティブな方向に移行するということです。


「てめえ、ふざけんじゃねえぞ!」

「しょうがねえだろう。ウケるんだから。兄貴だったら、弟の幸せに貢献するも

んだぜ」

「バカヤロー。もし会ったりしたら、どうするんだよ」

「役者だろ。オカマのふりくらい、できなくてどうするんだよ」


とんでもない弟です。ただ、ちょっと奴の言う通り、遊び半分に「ふり」くらいし

て、反応を楽しんじゃおうかという考えも、脳裏をよぎりました。しかし結局そ

の彼女と会うことは、ありませんでした。