清少納言の『枕草子』・276段に、「・・・かむなんきうの御屏風は、おぼ
しく聞えたる。月次の御屏風もをかし」という記述があります。
この「月次」は、「つきなみ」と読みました。今の「月並み」の、前身という
か語源です。ただ、枕草子にある「月次の御屏風」というのは、正月から
12月までの年中行事を描いた屏風のことをいいます。
また、毎年開く会合や踊りのことを、「月並み会」、「月並み踊り」と呼んで
いました。つまり、毎月の恒例行事を指す言葉だったのです。
それがやがて明治時代になると、この「月並み」という言葉は「平凡で新鮮
味がない」という意味に使われるようになったのです。「定番」、「お定まり」、
果ては「マンネリ」といった意味にも使われます。
確かに、月並みの古い意味を見ても、ともすればマンネリにつながり兼ね
ません。
しかし一方で、「レギュラー」という意味にもなりますね。あるいは、外せない
「ウリモノ」も、かつての月並みの一種です。
仮面ライダーやウルトラマンの変身シーン、水戸黄門の印籠などは、月並
みの王道でしょう。いや、毎週やるから「週並み」ですね。