「如律令」と今川義元 | 山科薫マニアックな世界を楽しみましょう

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昨日、映画アカデミー賞の表彰式がありました。一方日本国内では、

ゆうばりフャンタジック映画祭が、昨日終わっています。私も出演させ

て頂いております『レイプゾンビ』が出品されておりますが、どんな具合

か評判が気になるところです。


そしてこの作品の友松直之監督には、年末にも仮タイトル『泡姫陰陽師

奇談』でもお世話になりました。昨年末散々書きましたように、安倍晴明

の末裔の陰陽師というすごくやりがいのある役でして、作品としても、お

奨めなのです。


この作品についてはリリースの段階でまた語らせて頂くとしまして、私

が今触れたいのは、同作品のドラマの中で言わせてもらった「鬼魔駆

逐急々如律令」というセリフについてなのです。


この如律令という言葉、現代語にすると、「くわばら」に相当するもの

だというのを、認識しておりました。そして友松監督からの説明により

ますと、悪魔を退散させるという意味のようでした。私がセリフを言う

場面も、確かに人に取りついた悪魔と戦うシーンだったです。


ただ、今「くわばら」というと、幽霊などが襲ってきた時に庶民が怯えなが

ら「神様助けて下さい」という意味で唱える呪文という感じがしませんか。

つまり、戦うという勇敢なイメージでなく、恐がりの言葉といった感じ。


となると、「如律令」とは似つかない感じです。ただ、歴史を見ると、その

辺の認識のずれを解く鍵が見えるのです。


駿河から三河までを領国とした今川義元が、この「如律令」という文字

を刻んだ印判を用いておりました。勿論、悪魔除けの意味です。その

悪魔除けにしても、彼が「どうかお助けを」という意味で使うわけもなく、

悪魔と戦い、退散」させるという強い気持ちが下地でした。


しかし、今川義元のイメージが、弱いのです。桶狭間の戦いでは、2万

を超えるといわれた大軍を率いながら、織田信長にあっさり敗れ、引き立

て役に甘んじました。


また、今川家というのは、名門ではありましたが、元は戦国大名ではな

く、守護大名だったため、ちょっぴり貴族趣味の伝統もあったのです。


ということで、戦下手。弱いイメージがずっと残ってしまったのです。そん

な今川義元が印判に使っていたということで、「如律令」の意味である

「くわばら」が、弱虫が震えながら唱える言葉のように使われ出したと

思われるのです。


ですが本来、「如律令」も「くわばら」も、勇敢で前向きな戦う心を意味す

る呪文だったのです。


ちなみ古代の遺跡の中から出土した木簡に、「急々如律令」という文字

が刻まれているのがみつかったそうです。由緒ある呪文なのですね。


ところで、今川義元がイメージ通り弱かったか。という点ですが、まあ、

弱くはないにしても、ちょっぴりおっちょこちょいのところはあったようで

す。その辺は明日書こうと思います。


それより、彼に戦のノウハウを教えたのは、母の今川寿桂尼でした。

昨年12月16日の記事で、「女戦国大名・今川寿桂尼」というタイトル

で扱っております。


戦国大名というと、男に限られていると思われがちですが、わずかなが

ら女がなることもありました。そしてこの今川寿桂尼もその一人でして、

かなり優秀だったようです。


その辺ぜひ12月16日を参照していただければ。と思います。


それでは、ちょっぴり撮影に行ってまいります。皆さん、良い一日を。