受験とは面白いもので、いろんな方がいろんなやり方で同じような入試に毎年挑んでいかれます。僕の中では、そうはいっても数パターンに分かれることが多く、その差異がかなり勉強になります。
その中で、頑張ってるのに報われない、そのやり方ではたかがしれている、この親子はなんでこうも遠回りなの?、と数々の人生の無情を垣間見ることも、たくさんありました。
素晴らしく優秀なお子さんのいる調和のとれた落ち着いた家庭からよりは、騒がしくてこだわりが変に強かったり、偏見や極端な思想で迷い惑い、受験が思うように行かなかったご家庭からの方が、僕は多くを学ばせていただいています。
そのあたりは親子で戦い、親のクセが良く出る中学受験がわかりやすいです。高校生になると、自我が子供のほうに強く出てきてしまっていて、因果関係が本人からのものなのか、子育ての働きかけによるものなのかがわかりにくいのです。小学生の方が、ダイレクトにいろんなことを(僕が)学べます。
よくある「こりゃ手ごわいぞ」パターンとしましては、親の怒り方のボリュームがでかい、やたら特定の学校のことばかりにこだわる、などがあるのですが、今日は視点を変えて「目標の立て方」にフォーカスしてみたいと思います。
みなさんが目標を立てるとき、一体どうされるでしょうか。いろんな生徒を見ていますと、きっちり一週間のスケジュールを紙に書く子、ざっくりと書く子、そもそも計画性がなく行き当たりばったりの子など様々です。でもこれは、どのやり方でも優秀な子はいるものです。
僕は受験だけでなく、目標達成に最も重要なことは、「それで努力を継続できるか」だと思っています。少々才能がなくても、毎日コツコツできる子が受験でも必ず勝っていますし、その才覚の期待値よりも上の学校に受かっています。
実社会でもどんな大言壮語を吐く人も、継続できない人は、やはり中途半端であり、大成はしがたいと思います。
僕の知り合いでも、若いころはバンドや音楽、小説・イラストなど芸事で絶対メシを食う、売れる、などと言っている人間がたくさんいましたが、30を超えるとまだその芸事をやっている人間の率自体、数%ほどになっています。
ほとんどの人間はやめたり、違う生活をしていて、継続していないのです。皆さんも、昔は夢見ていたのに、辞めてしまったことの一つや二つあるかもしれませんね。
それは「目標が高すぎた」のかもしれません。
ここ数年見知ったインディーズのメタルシーン界隈の方々を見ますと、40を超えてまだバンドを続けている人間はどこか人格的に一角のものが必ずあり、テレビなどのメディアに取り上げられる有名アーティストではないとしても、『出音』のレベルが若い連中とは全く違います。何と言いますか、一定の『迫力』が必ずあります。
これこそが『継続してきた力』だと、僕は理解し、今はその方々の背中を追いかけています。道は果てないです。
受験でも似たことを僕は感じています。よくあるパターンをお示します。
例えば、中学受験で希望の学校に落ちて、じゃあもういっそ公立中に進学して、次は高校受験に挑戦だ、という方がたまにいます。(ちなみに、僕は中学受験失敗の場合、公立中に行っての再チャレンジはあまりおススメしません。そのあたりはいくつかの過去記事を参照してください)
最初は、いきなり中1から早稲アカなんかにいって、気合十分で臨みます。日比谷や開成、早慶などを狙うことでしょう。
中2くらいまではまあ、中学受験の貯金があるので、そこそこ上位をキープできます。が、中2の後半くらいから、大体成績が振るわなくなります。安定上位はどんな天才でも厳しいです。
といいますのも、一番の要因は、「人口が多いから」というもので、中学受験は首都圏では多く見積もって4万5千人ほどであるのに対し、高校受験はガチの上位狙いの子だけでもその倍以上の人数がいます。その分厚い上位層の中で、さらに上位でないと、日比谷などの都立・県立上位校や早慶などは厳しいです。中2くらいから、意識の高い上位層がどしどし塾に入塾してきて、結構追い抜かれて行くのです。
そうして、何回かの挫折を味わうことになります。
ここで、「中1から組」は大体息切れを起こしてしまいます。浮上する力がなくなっていて、そのままそこそこで終わりやすいです。
継続力が切れているのが原因です。そこでも継続できる子ならば、やはり勝っていきます。
同様のことが、サピなどの大手塾に小1や2から通う子にも同様に見られます。
これは、多くの子を見てきた経験上、「目標と現実がズレ始めた」ことに原因があると僕は見ています。
小1や2からサピなどに放り込んでいる方は、心のどこかで「絶対、開成! 麻布! 桜蔭!」となっているものです。そこに、もう勉強が継続しない原因があるのかもしれません。それだと、ちょっとご子息がテストで失敗して、偏差値55を切ろうものなら、鬼の形相になって怒ってしまうかもしれません。
プロからみれば、そのような一度や二度の挫折は経験させるべきであるし、「そこから」どうするか、を子と一緒に冷静に考えれば良いし、それが楽しいはずです。
伸びる「芽」がある子は必ず伸びていくものなのです。が、そこで激しく怒って、子を萎縮させることでその「芽」を摘んでいる現象をよく見かけます。
よく親や塾や教師は「高く目標を持て」と言います。が、高すぎる目標を無理くりに何度も刷り込むことに、僕は疑問と危険を感じています。昭和的、体育会系過ぎる、紋切り型で無思考な面があると思います。若い時にでかいことを言っていた人間ほど、言うほど持続していないと思います。
僕は東大出身ではありますが、東大自体を目標にしたことはありません。まず、受かった白陵中学で「やれるところまでやってみよう」という感覚を持ち、努力をしてみると、10位前後になれたので、「あ、これなら東大いけるんちゃうか」と感じ始めた頃に、恩師のO先生が「東大はオールラウンダーが有利」と言ってくれたので、「じゃあ、目指してみっか」という軽い感じでした。
ライフワークである「東大生インタビュー(いろんな高学歴友人知人の10代の勉強法を聞いている)」でも、東大出身の方の多くは「絶対東大だぜー!」という熱血漢はほぼいません。ずっと東大を夢見て努力して……、なんて美談は少年誌的フィクションの中にしかありません。いるとするなら、それは相当な精神力の持ち主でしょう。
つまり、まずはできうる限りの努力をし、やや勝算が出てから、「東大」という具体目標を持ち、そのための具体策を練っていったのです。勝率0%のまま、勉強すら一度も本気でしてみたことがないのに、「東大いく」などは口が裂けても言えません。言えたなら、それは単に、舐めているだけです。
僕はソフトテニス部も頑張っていましたが、そちらでは全国優勝などは夢にも思っていません。まずは、地区大会突破、からでした。(一応、それは達成できた)もし、真剣に練習して、近畿大会くらい行ける運動神経があったなら、全国優勝も視野に入れたかもしれません。
これが、最初から「全国優勝だ!」などと行って、毎日練習していたらどうでしょうか。おそらく、現実と今の自分の乖離が嫌になり、自分が嫌いになって、途中でモチベーションが落ちていくことでしょう。まずは、実現可能そうな目標だったから、頑張れたし、結果として県大会にまでいけました。高2の最期までやって、悔いはないくらいにはそちらもやれています。
勉強にしても、部活にしても、まずは目の前・日々の課題や練習をしっかりやって、その連続で目標ができ、達成できたのはたまたま、という感覚です。でもこれが一番、継続力があったし、王道であるのだと、最近では思います。
継続力のない子やそのご家庭の特徴として、「目標が高すぎる」というのがあげられると思います。
開成に行きたい、東大に行きたい、渋々に行きたい、などはあるでしょうが、まずはそれは心の隅の方に置いておき、まずは、そのための直近の小さな身の丈にあった目標に全力で挑むことをおススメします。それが継続を生み、大きな達成ができると感じます。
そして、大きな目標までいければ、それは様々な偶然も重なったありがたいことであり、素直に感謝できます。たまたまである、と思えれば、増上慢にはなりません。
大きすぎる目標は現実が嫌になり、自己否定につながり、その大きすぎる目標が不幸の源になります。僕も学年1位をやたらにとりたがった時期が中3から高2まであるのですが、その時期が一番しんどかったです。(しかも1度もとれず)
僕の才能では、10位をキープする、くらいが丁度良い背伸び具合だったようです。順位のことばかり気にして勉強するのは、ただただ苦行でしたし、モチベーションも下がっていきました。成績も不思議とじわじわ下がっていきました。
東大のことを思い出して(笑)、高3のころの方が、精神的には楽でした。先生方は、東大の情報をたくさん持っていたし、どういう問題が解けるようになれば良いかも自然とわかりました。ですので、東大という目標を考える暇もなく、目の前の問題をただひたすらやればよかったのです。それはそれは、高3は単細胞で充実した1年でした。
このように考えると、やはり例えば、東大に行きたいなら、「東大が無理に思えない環境」にいることが最上、と言うことができます。甲子園に行きたいなら、それが無理すぎないメンバーや設備がある場所に行く、というのが現実的でしょう。
僕の音楽活動の目標も、メジャーデビューとかミュージックステーションに出るー、とかよりは、いつものライブハウスでワンマンをする、くらいの方が頑張れるし、楽しむためには全力を尽くす、なにより、長くやれれば幸せ、くらいに思っていれば、継続するのではないか、と思っています。
もちろん、たとえ灘や開成に行っていたとしても、全員が東大に来れているわけではありません。甘くはないです。
如何に環境が良くても、継続して努力するのは、その個人の責任や自覚に基づくし、明るい胆力が必要なのです。
親御さんは、ご子息に無理難題すぎる目標を与えすぎないようにしましょう。目標にして欲しい場合は、その景色のずいぶん手前あたり、その子がちょっと頑張れば届くくらいのところを逆算し、提示してあげた方が、頑張ってくれることでしょう。
間違ってもいきなり「東大! 開成!」などは言わないことです。親が我が子の現状に絶望しやすくもなってしまいます。『比較の悪魔』に呑まれやすくもなってしまいます。親子がケンケン喧嘩しているご家庭は100%、勝てませんのでご注意を。
変に意識しすぎると目標は遠ざかる、というのも、人生の真理ではないでしょうか。
いつもリブログ・『いいね』等してくださっている方々、いつもありがとうございます。なんかこないだのブログがバズりまして、最高記録を今までの2倍も更新しました(笑) これからも、熱のこもった良い記事を書いて、お返しとさせていただきます。
いつも読んでくださってありがとうございます。
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また、現在、かつてないほどの多忙につき、やや返信が遅れ気味になっております。同時に複数のメールをやり取りしている場合もありますので、返信が滞っている場合は、かまいませんので催促してください。
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