![うお座](https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/223.gif)
彼はとある名門私立に通っている中学生です。学校の勉強についていけなくなって僕が担当することになりました。
僕の感覚では、地頭自体が悪いような気はしません。でも、いくら説明しても入っていかない感じがし、実際、同じ間違いを小学生のように繰り返してしまいます。また、テスト前になってもテスト勉強が自分独りでできず、僕はフォローに追われ、正にいたせりつくせりの授業でした。
ただ、僕はわかっていました。たぶん、伸びないだろうな、と。彼の目はうつろで、言動に覇気がなく、一言でいって『無気力』なのです。その彼に対し、親は怒るばかりです。最近の僕の感覚では「脳が働きたくても働けない」といったところでしょうか。
成績が悪いというので部活をやめさせられてしまいました。家庭教師が次から次へと来るので(そのうちの一人が僕ですが……)、友達とも自由に遊べません。彼の生活にはほんとうになんの潤いもありません。そのうちに好きだったゲームもあまりやらなくなり、本当に生きる活性自体が落ちたようです。
まあ、それで、今回のテストもわるかったわけです。テスト直しをしても、精神状態が悪く、頭が回っていないのを察知しました。僕が来る直前に母親に怒鳴り散らされ、頭が混乱しています。こりゃ、授業しても無駄だな、と。そこで僕はヨタ話でもしてやろうと思って、これからのことを二人で話し合いました。そこから浮かび上がってきたのは、現代の子供のもつ問題点そのものでした。
将来になりたいものは? 聞くまでもなく『ない』 周りの大人を手本として、どの人みたいな大人になりたい? 聞くまでもなく『全員いやだ』 そこで、まわりのどんな大人がウザイか、ウザイ大人ランキングを二人でつくりました。その大人のウザさがなぜなのか、分析していこう、という授業です。(なにそれ?)
見えてきたのは、未来に対して希望も何もない、なりたいものもない、特にこれといって好きなものはないし、なぜ勉強をさせられているのか、しているのかもわからないし、考えたこともない、でもなぜかそんな自分に大人は怒ってくる。怒られるから萎縮し、何も考えられなくなり、ますます授業は聞けなくなる。というなんともいえないサイクルでした。
こういう子は初めてではありません。ぶっちゃけた話、結構います。この子はうお座で感覚人間でしたので自分の衝動に正直に反応してそれをひねくれずにすなおに表現していただけなのです。つまり『なぜ勉強しているか、するべきかわからないからしない』という至極当たり前の反応だったわけです。とりあえず怒られないようにだけ誤魔化すように勉強している子より正常だと僕には映りました。
まあ、なぜ勉強をするか、親も周りの先生もあまり話してこなかったのでしょう。そういう意味では子供扱いが過ぎたのかもしれません。下手でもベタでもいいからこういうことは誰かが話さないといけません。子供に勉強させたいなら、こういう勉強以前の問題が大事だと思います。
なぜか結論としてクリント・イーストウッドさんの『硫黄島からの手紙』を見ようということになってしまいました(笑)
あ、それでは今日はこの辺で。いつも読んでくださってありがとうございます。
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