菜食主義が完璧とか最良というわけでは

ありませんが、良いところもあります。

というのは獣肉食は、やっぱり癌細胞の発育を

促進するという側面があるからです。

 

で、今回ご紹介の論文はコチラ↓

<引用ここから>
ベジタリアン食で、胃がん罹患リスク6割減

 食事とがん発症リスクとの関連は多数の先行研究があり、
果物、野菜、全粒穀物、豆類などの植物性食品の摂取量の増加はがん罹患の予防効果と関連し、
赤身肉や加工肉の多量摂取はがん罹患リスク増加と関連している、という報告がある。
こうした中、菜食(ベジタリアン食)と消化器がんリスクについて調査した研究結果が発表された。
中国・香港中文大学Tongtong Bai氏らによるこのシステマティックレビューは、European Journal of Gastroenterology & Hepatology誌オンライン版2023年9月18日号に掲載された。

 研究者らは、PubMed等で、2022年8月までに発表されたベジタリアン食と消化器がん罹患リスクに関する観察研究を検索した。ベジタリアン食は肉または肉製品を含まない食事と定義し、主要アウトカムは消化器がんの罹患率とした。

 主な結果は以下のとおり。

・8件の研究(コホート研究7件、ケースコントロール研究1件)が組み入れられ、参加者は68万6,691例(成人)だった。全研究がデータ解析で交絡因子を処理しており、交絡因子には性別、年齢、BMI、身体活動、喫煙と飲酒の状態が含まれた。
・ベジタリアン食の消化器がん罹患リスクは、非ベジタリアン食と比較して低かった(相対リスク[RR]:0.77、95%信頼区間[CI]:0.65~0.90)。
・サブグループ解析では、ベジタリアン食は胃がん(RR:0.41、95%CI:0.28~0.61)および大腸がん(RR:0.85、95%CI:0.76~0.95)のリスク減少と関連を示した。一方、胃を除く上部消化器がん(RR:0.93、95%CI:0.61~1.42)のリスクとは相関しなかった。
・ベジタリアン食は、男性では消化器がんリスク減少と関連を示したが(RR:0.57、95%CI:0.36~0.91)、女性では相関しなかった(RR:0.89、95%CI:0.71~1.11)。
・ベジタリアン食は、北米の集団(RR:0.76、95%CI:0.61~0.95)およびアジアの集団(RR:0.43、95%CI:0.26~0.72)では消化器がんのリスク減少と関連を示したが、ヨーロッパの集団(RR:0.83、95%CI:0.68~1.01)では相関しなかった。

 研究者らは、「ベジタリアン食は消化器がんの罹患リスクを低下させる可能性が高いが、詳細については、きちんとコントロールされたコホート研究、およびそのほかの研究のデータが必要である」としている。


原著論文はこちら

Bai T, et al. Eur J Gastroenterol Hepatol. 2023;35:1244-1252.
 

<引用ここまで>

 

というわけで、獣肉をまったく摂取するなというのは極端でオススメしませんが、

獣肉(赤身肉、牛肉・豚肉・羊肉など)は控えめがよろしいようです。

日々少し気をつけるだけで

がんのリスクが下がるそうです。

 

今回ご紹介の論文はコチラ↓↓↓

 

<引用ここから>


1日3.4分の高強度の身体活動で、がんリスク17%減


 高強度の身体活動(Vigorous Physical Activity:VPA)は、
がん予防のために推奨される身体活動(Physical Activity:PA)を達成するための効率のよい方法であるが、多くの人にとって継続のハードルが高い。「日常生活中の高強度の断続的な身体活動(Vigorous Intermittent Lifestyle Physical Activity:VILPA)」を継続することで、がん発症のリスクを大幅に低下させる可能性があることが、新たな研究で明らかになった。オーストラリア・シドニー大学のEmmanuel Stamatakis氏らによる本研究の結果は、JAMA Oncology誌オンライン版2023年7月27日号に掲載された。

 オーストラリア、シドニー大学の研究者らは、英国バイオバンクで「普段運動をしていない」と申告した人を対象にウェアラブルデバイスのデータを収集し、その後6~7年間の健康記録を調べた。参加者は2021年10月30日(死亡および入院)、2021年6月30日(がん登録)まで追跡された。

 主要アウトカムは、全がんおよびPA関連がん(低いPAと関連する13のがん部位の複合アウトカム)の発生率だった。ハザード比および95%信頼区間(CI)は、年齢、性別、教育レベル、喫煙、アルコール摂取、睡眠時間、果物および野菜の摂取、両親のがん既往等で調整して推定した。

 VILPAの例としては、負荷が高い家事、スーパーでの買い物袋の持ち運び、早足のウォーキング、身体を動かすゲームなどがある。このような活動は一度に行うのではなく、数分ごとに行うことが特徴だ。

 主な結果は以下のとおり。

・登録された2万2,398例は、平均年齢62.0(SD:7.6)歳、男性1万122例(45.2%)だった。
平均追跡期間6.7(SD:1.2)年に2,356例のがんイベントが発生し、うち1,084例がPA関連がんであった。
・1日のVILPA持続時間中央値が1分まで(1日当たり4.5分)の場合、VILPAを行わない場合と比較して、全がんのHRは0.80(95%CI:0.69~0.92)、PA関連がんのHRは0.69(95%CI:0.55~0.86)であった。
・全がん発生率との関連が認められたVILPAの最小量は1日当たり3.4分(HR:0.83、95%CI:0.73~0.93)、PA関連がんは1日当たり3.7分(HR:0.72、95%CI:0.59~0.88)であった。

 最低3.4分のVILPAを毎日行うことで、行わない場合と比較して、
全がん発生率の17%減少、1日4.5分で肺がん、腎臓がん、膀胱がん、胃がんなど、PAがんの発生率の31%減少につながることが示された。著者らは「運動ができない集団や意欲のない集団にとって、断続的な短い身体活動の継続が、がん予防の有望な介入になる可能性がある」としている。

<引用ここまで>

 

日常生活に取り入れて

少しだけ体を動かすよう

こころがけると良いようです。

 

かくちゃん理論では

ビタミンDを摂取するため

青魚・キノコを推奨しています。

 

がんに効くかも?という話題は以前からありましたが

ちょっとオドロキのデータがでました。

 

<引用ここから>

ビタミンDで消化器がんの再発死リスク7割減

 ビタミンDは、細胞増殖抑制作用や細胞死促進作用を介したがん予防効果が期待されており、腫瘍微小環境への免疫細胞の浸潤が見られた患者に対するビタミンDサプリメント投与によりがん再発リスクが低減したとの報告もある。東京慈恵医科大学分子疫学研究部教授の浦島充佳氏らは、ビタミンDが抗p53抗体の抗腫瘍免疫を活性化してがんの再発や死亡リスクを低減するという仮説を立てて検証。ビタミンDサプリメント摂取により、消化器がん患者の再発死亡リスクが7割以上低下したとの結果をJAMA Netw Open2023; 6: e2328886)に報告した。

 

<引用ここまで>

 

ビタミンDは、抗p53抗体陽性の方には

とても良いということで、サプリメントも良いですが

食材にも気を配ると良いようです。

本日ご紹介の論文はコチラ↓↓↓

 

<引用ここから>


地中海食遵守で認知症リスク減、遺伝的リスクに無関係

 英国バイオバンク研究の参加者6万298例を対象に、地中海食の遵守と認知症リスクの関連を前向きコホート研究で検討。平均追跡期間は9.1年だった。地中海食の遵守度は連続スコアシステムの Mediterranean Diet Adherence Screener(MEDAS)continuousスコアおよびMediterranean diet Pyramid(PYRAMID)スコアの2つの異なるスコアで判定した。

 Cox比例ハザード回帰モデルでの解析の結果、地中海食の遵守度が高いほど認知症リスクが低いという関連が認められた。スコアの最低三分位群に対する最高三分位群のハザード比はMEDASで0.77(95%CI 0.65-0.91)、PYRAMIDで0.86(同0.73-1.02)だった。地中海食の遵守度と認知症の多遺伝子リスクに有意な相互作用は見られず、認知症の予防に食事療法が重要であることが強調された。

【原著論文】
Shannon OM, et al. Mediterranean diet adherence is associated with lower dementia risk, independent of genetic predisposition: findings from the UK Biobank prospective cohort study.

BMC Med. 2023; 21: 81.

 

<引用ここまで>

 

地中海食の特徴といえば

やはり魚介類・オリーブオイルを多く接種することですよね。

獣肉を食べちゃダメってわけじゃないんですよ。

ただ獣肉ばかりたべても健康は維持できるというぁゃしぃ理論を

かざしてる団体がいらっしゃいますが、

そこのところは健康に悪いのでご注意を。

 

スペイン料理とか、イタリア料理が流行するのは

いいことなのかもしれませんね。

 

本日ご紹介の学会発表はコチラ↓↓↓↓

<引用ここから>

地中海式のライフスタイルは食事以外にも健康に良い

 地中海式ダイエット(全粒穀物、果物、野菜、魚、健康的な油脂類を中心とする食事)は心臓の健康に多くのベネフィットをもたらすことが知られている。しかし、例えば、家族との食事や午睡、地域社会との強い絆などの食事以外の地中海式のライフスタイルも健康に良いのだろうか? 地中海から1,500マイル(約2,400km)以上離れた英国に住む中高年に、食事も含めた地中海式のライフスタイルを取り入れてもらったところ、がんや心血管疾患、その他の原因で死亡するリスクが低減することが明らかになった。

 

 この研究結果は、米国心臓協会の疫学・予防・生活様式・心臓代謝健康会議(EPI|Lifestyle Scientific Sessions 2023、2月28日~3月3日、米ボストン)で発表された。研究を主導したマドリード自治大学(スペイン)のMercedes Sotos-Prieto氏は、「この研究から、地中海以外の地域に暮らす人々でも地中海式のライフスタイルを取り入れることは可能であり、健康的なライフスタイルの一部になり得ることが示唆された」と述べている。

 地中海式ダイエットが心筋梗塞脳卒中のリスク低下など、心血管疾患の予防につながることは、過去の研究で明らかにされている。今回の研究では、身体活動や休息、社会的習慣、社交などの食事以外の地中海式のライフスタイルが、イングランド、スコットランドおよびウェールズ在住の中高年11万799人(40~69歳)に及ぼす影響が検討された。これらの人々は、集団ベースの多施設共同研究であるUKバイオバンクへの参加者であり、2009~2012年の研究登録時にがんと心血管疾患がなく、2020年まで追跡されていた。

 地中海式のライフスタイルの遵守度は、MEDLIFE指数(Mditerranean Lifestyle Index)を用いて評価した。MEDLIFE指数は、食事内容(13項目)、食事習慣(7項目)、その他のライフスタイル因子(6項目)の3区分について問うもの。食事習慣には、間食や食事への塩分追加の習慣、精製穀物よりも全粒穀物を選ぶかなどに関する質問が含まれる。また、その他のライフスタイル因子には、社交性に関する質問として「家族や友人と食事を取っているか」、社会習慣に関する質問として「誰かと一緒に散歩に行くなどの身体活動を行っているか」「家族や友人と会う頻度はどの程度か」、休息に関する質問として「昼寝と夜間の睡眠時間はどれくらいか」などが含まれている。

 中央値で9.4年の追跡後、MEDLIFE指数のスコア別にがん、心血管疾患、その他の全死因による死亡率を比較した。その結果、地中海式のライフスタイルを忠実に守っている人ほど、がんまたはあらゆる原因による死亡リスクが低いことが明らかになった。具体的には、スコアに応じて4群に分けたうちのスコアが最も高い群では、スコアが最も低い群に比べて全死亡リスクが29%、がんによる死亡リスクが28%低かった。3つの区分それぞれのスコアの高さは、がんによる死亡リスクと全死亡リスクの低さに関連しており、その他のライフスタイル因子のスコアが高い人では、心血管疾患による死亡リスクも低かった。

 米コロンビア大学、睡眠・概日リズム研究教育拠点の代表であるMarie-Pierre St-Onge氏は、「この結果は、地域や社会との関わりが健康に果たす役割の重要性を明らかにするものだ」と述べる。同氏は、地中海式のライフスタイルが他者との関わりを伴うものであることを指摘し、「この研究により、身体活動以外のライフスタイルにもっと目を向けるべきことが明示された」としている。一方、同氏は、地中海式のライフスタイルといえば、ゆったりとした暮らしを思い浮かべるが、今回の研究では、ストレスの影響について深く検討されていないことを指摘している。

<引用ここまで>

 

野菜と魚介類を多めに、赤身肉は少なめに

これはそんなに難しいことではないので

かくちゃん理論では推奨です。

 

「健康的な油脂」というのは

魚介類のオメガ3脂肪酸を多めに、

赤身肉・獣肉の油脂は少なめに

ということで良いと思います。

 

地中海食で、高血圧症・心疾患だけじゃなく「がん」リスクが28%も下がるというのは、病院に行かなくて良いし、薬も飲まなくて良いので、お手頃ではないでしょうか?

本日ご紹介の論文はコチラ↓↓↓

 

 

<引用ここから>

2型糖尿病には低炭水化物高脂肪食が良い

 2型糖尿病患者165例(平均年齢56歳、女性58%)を対象に、カロリー無制限の低炭水化物高脂肪食(LCHF食:脂質50-60%、炭水化物20%未満、タンパク質25-30%)の効果を6カ月の無作為化比較試験で検討。追跡期間を3カ月とし、カロリー無制限の高炭水化物低脂肪食(HCLF食:脂質20-30%、炭水化物50-60%、タンパク質20-25%)と比較した。評価項目は、血糖コントロール、血清脂質濃度、代謝マーカー、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を評価する肝生検とした。

 その結果、LCHF食群の方がHCLF食よりヘモグロビンA1cの改善(変化量の平均差-0.59%、同-0.87--0.30)および体重の減少(同?3.8kg、-6.2--1.4)が大きかった。6カ月後、両群ともに高比重リポ蛋白(HDL)コレステロールが上昇し、トリグリセリドが低下した。低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール変化量はLCHF食群の方が小さかった(同14.3mg/dL、6.6-22.4)。NAFLDに対しては、両群に統計学的に有意な変化は見られなかった。9カ月後、この変化は持続していなかった。

【原著論文】
Hansen CD, et al. Effect of Calorie-Unrestricted Low-Carbohydrate, High-Fat Diet Versus High-Carbohydrate, Low-Fat Diet on Type 2 Diabetes and Nonalcoholic Fatty Liver Disease: A Randomized Controlled Trial. Ann Intern Med. 2022 Dec 13. Online ahead of print.

<引用ここまで>

 

そうかぁ、ついに低炭水化物食だけじゃなくて

低炭水化物・高脂質食=ケトン食まで時代が追いついてきたのかぁ。

ちょっと感慨深いですね。

 

低炭水化物食は、セカンド・ベストです。

なかなか「かくちゃん理論」を補佐する論文が出ず、

ブログは久しぶりの更新です。

 

本日ご紹介の論文はコチラ↓↓↓

<引用ここから>

魚介類由来のω-3脂肪酸が多いほど慢性腎臓病の発生率が低い
More Omega-3 Fatty Acids from Seafood Are Associated with Lower Incidence of Chronic Renal Disease

Bruce Soloway, MD, reviewing Ong KL et al. BMJ 2023 Jan 18

食事に含まれるω-3多価不飽和脂肪酸(omega-3 polyunsaturated fatty acid:ω-3 PUFA)は、血管への好ましい作用の可能性があり、慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の予防に役立つかもしれない。しかし、この疑問に関する複数の研究は、主に横断的解析と自己報告によるω-3 PUFA摂取量に基づいたもので、決定的なものではなかった。

研究者らは、ベースライン時点の血液分画または脂肪組織中のω-3 PUFAバイオマーカーが測定された19件の前向きコホート研究(参加者25,000人)のデータを統合した。参加者は、魚介類由来のω-3 PUFA(すなわちEPA、DPA、DHA)と植物由来のα-リノレン酸(α-linolenic acid:ALA)の濃度に基づき五分位群に分けられた。中央値で11年の追跡期間中、魚介類由来の全ω-3 PUFAが最高五分位群の患者は、最低五分位群の患者よりも、新規発症CKD(推算糸球体濾過量が初めて60 mL/分/1.73 m2未満、と定義)のリスクが有意に13%低かった。魚介類由来の個々のω-3 PUFAには保護効果が認められたが、植物由来のALAには認められなかった。この結果は様々なサブグループで一貫していた。
コメント

バイオマーカーを測定することは、さまざまなω-3 PUFAを個別に分析することを可能にし、生体内利用率の高いω-3 PUFAを自己報告による食事摂取量よりも正確に反映していると推測される。今回報告された相関関係は因果関係を確立するものではないが、魚介類を定期的に摂取することを含む食事に関するコンセンサスに基づいたガイドラインと一致している。

 

 

CITATION(S)

Ong KL et al. Association of omega 3 polyunsaturated fatty acids with incident chronic kidney disease: Pooled analysis of 19 cohorts. BMJ 2023 Jan 18; 380:e072909. (https://doi.org/10.1136/bmj-2022-072909)

<引用ここまで>

 

というわけで

魚介類を摂取する「フィッシュケトン食」(copyright こたろうさん)は

慢性腎臓病にも良いという論文でした。

本日ご紹介の論文はコチラ↓↓↓↓

<引用ここから>

低炭水化物食群は通常食群より6カ月時点のHbA1cの減少が有意に大きかった。

 

糖尿病治療薬による治療歴のない前糖尿病状態の男女150例(平均年齢58.9歳、女性72%、黒人59%、HbA1c 6.0-6.9%)を対象に、低炭水化物食の効果を並行群間無作為化臨床試験で検討。主要評価項目は、6カ月間のHbA1cの変化量とした。その結果、142例(95%)から6カ月間のデータを収集した(試験前の平均HbA1c 6.16%)。低炭水化物食群は通常食群より6カ月時点のHbA1c(正味の差-0.23%、95%CI -0.32--0.14、P<0.001)の減少が有意に大きかった。

【引用文献】
Dorans KS, et al. Effects of a Low-Carbohydrate Dietary Intervention on Hemoglobin A1c: A Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open. 2022; 5: e2238645.
 

<引用ここまで>

 

JAMAっていうのは

結構格式のある医学雑誌です。

これに掲載される論文は医学への影響が大きいんですよ。

 

糖尿病の予防にも、低炭水化物食が有用のようです。

 

本日ご紹介の研究はコチラ↓↓↓

<引用ここから>

私の考察:米ソフトウェア企業CEOが支援している臨床試験に期待

 双極性障害と栄養の関係としては、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)などの不飽和脂肪酸が有効なのではないか、という話が以前からあった。日本人約3,000人のゲノムワイド関連解析により、これらの不飽和脂肪酸の代謝酵素であるFADS1/2が見いだされた(Mol Psychiatry 2018; 23: 639-647)ことから、ますます着目され、不飽和脂肪酸の摂取が有効かどうかの検討が行われている。これらに関しては、普通の食事を取りながら不飽和脂肪酸のカプセルを服用するという形で、薬剤の試験と類似のスキームで実施できる。

 一方、本研究で用いられているケトン食は、炭水化物を1日20g(1日の摂取エネルギーの5%)に制限するという極端なものである。この場合、炭水化物の摂取源は野菜、ナッツ、レモンジュース、少量のチョコレートのみだという。摂取エネルギーの15~20%は、肉、魚、乳製品、卵、ナッツなどの蛋白質から摂取し、残りの75~80%は脂質から摂取し、上記の食品に加え、オリーブ油、ココナツ油、バター、マヨネーズ、サワークリームなどから摂取するという。このような食事は、常識的にはあまり健康的とはいえないように思えるわけであるが、それが本当に有効なのかは筆者自身も半信半疑にならざるをえない。

 なお日本でも、最近「ロカボ」が流行しているようであるが、これはlow carbohydrateの略で、Doctor's Eyeで糖尿病を担当している山田悟氏が主宰する「一般社団法人食・楽・健康協会」の登録商標だという。ケトン食では、炭水化物を多くとも1日40~50g以下に抑えなければならず、1食で摂取する糖質量を20~40g(1日3食とすると炭水化物60~120g)にするというロカボは、方向性は似ているもののケトン食ではない。

 精神疾患の食事療法については、これまでもほとんどエビデンスがなかった。資金の回収を見越して製薬会社が多額の費用を投入して臨床試験を行う新薬と異なり、研究費の出所もないことから、今後も民間療法の域を出ないと思われてきた。

 しかし、最近になって、米国のソフトウェア企業CEOのDavid Baszucki氏と夫人のJan Ellison Baszucki氏が、ご子息の双極性障害がケトン食で改善したことから、この治療法に心酔し、多額の研究費を投入し始め、ケトン食療法の臨床試験を計画しているという1)

 今回紹介した論文は、対照群がなくエビデンスとしては高くないものであったが、Baszucki夫妻のおかげで、食事療法としては珍しく、効くにせよ効かないにせよ、いずれその効果についてのエビデンスが示される時が来そうである。

<引用ここまで>

 

ほほう、双極性障害(躁うつ病)にも効くかもしれないとは、久しぶりに良い話題。

本日ご紹介の論文はコチラ↓↓↓

<引用ここから>


チアゾリジン系薬で認知症リスク低下

 スルホニル尿素薬(SU)またはチアゾリジン系薬(TZD)で治療する2型糖尿病患者の認知症発症リスクを
メトホルミン(MET)で治療する患者と比較。
米退役軍人医療制度の電子カルテデータを用いて認知症がない2型糖尿病患者(治療開始時の年齢60歳以上)55万9106例を特定し、処方記録に基づきSU単剤療法群、TZD単剤療法群、対照群(MET単剤療法)に分類した。

 その結果、認知症有病率は1000人年当たり8.2例だった。
1年以上の治療実施後、TZD単剤療法の認知症発症リスクがMET単剤療法との比較で22%低かった(ハザード比0.78、95%CI 0.75-0.81)。

METとTZDの併用療法では11%低かった(同0.89、0.86-0.93)が、

SU単剤療法では12%高かった(同1.12、1.09-1.15)。

【原文を読む】
Tang X, et al. Use of oral diabetes medications and the risk of incident dementia in US veterans aged ?60 years with type 2 diabetes. BMJ Open Diabetes Res Care. 2022; 10: e002894.

<引用ここまで>

 

さて、スルホニルウレア薬とチアゾリジン系薬剤とメトホルミンはそれぞれ薬理作用が異なります。

チアゾリジン系とメトホルミンは、認知症リスクが高くないようです。

逆にスルホニルウレア系では、認知症リスクが高いようです。

 

なぜでしょう?

 

かくちゃん理論では

「高インスリン血症が認知症の一因である。」という

国立精神・神経医療研究センターの仮説を重視しています。

 

チアゾリジンとメトホルミンは高インスリン血症を来さない糖尿病治療薬です。

一方でスルホニルウレアは高インスリン血症を来すことで治療する薬剤です。

 

ここらへんがキモだと思います。