『ERS-110』
このナンバーで、ピンと来る方は所有者かMONO好きな方なのではないでしょうか?
今年、2014年3月をもってサポート終了とニュースを見て「ふ~ん。そう…。」と
特別な感情もなく聞き流していました。
目の前のイヌ・アデルを見ながら、たかが犬型ロボットのサポート終了で嘆く人が
いるとは思ってもいなかったのです。
1999年。ソニーから発売された犬型ロボット・AIBO。
定価25万円にもかかわらず販売予約受付開始から数十分で3000台の受注締切の盛況
ぶりだったようです。
改良モデルもだされ多くの人に愛され続けたAIBOも2006年、ソニーは開発生産の
中止を発表。その後、オーナー向けのサポートを続けていた。
「ふーん。AIBOかぁ…。」
犬を飼えない環境の人とかお年寄りには良い遊び相手だったのかな?
やっぱりボクはちょっと、理解に難しい所なのかなと思っていました。
でも、今は違うんです。
なぜかと言うと、「ラッキー」と言う漫画を読んだからです。
訳あって読むことになったラッキーはボクの知らない世界を教えてくれました。
そんなストーリーは…。
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子供の出来ない若い夫婦がいて、その寂しさを紛らわすようにAI機能付きのイヌ型
ロボットを買ってきます。ベタですが、「ラッキー」と名づける。
そのイヌロボ。良く出来ていて飼い主との学習機能と、顔に付いているモニターには
自分の意志を表示する事が出来るのです。
「ウレシイ」とか「アソンデ」とか「なんで?」とか。
ただ初期型なので5文字しか表示できませんがご夫婦にとって、特に奥さまにとっては
かけがえのない存在になっていきます。
暫くして、妊娠。
それを知って無邪気に転げまわり喜ぶラッキー。
奥さまは赤ちゃんの成長を思って、悩んだあげくラッキーを押し入れに仕舞う事にした。
男の子を出産、子育て。幸せで忙しい毎日でしたが、これは長く続きませんでした。
奥さまは病気で他界。残された男の子の心は固く内に引きこもってしまう。
ある日、男の子は押し入れの中でオモチャの入った箱を見つける。ラッキーです。
そのイヌロボのスイッチを入れると、けたたましく転げまわります。
モニターには「オメデトー」 「オメデトー」
これが8年前のママの妊娠を喜ぶラッキーとの初対面です。
それからラッキーと男の子の物語が始まるのですが、ロボットの人工知能であるAIと
ICにインプットされたデジタルデータの記録を紐解くうちに、自分が生まれる前のママ
に触れるようになります。
お互いに打ち解けて大親友になった男の子とラッキーですが、それもバッテリーの劣化
に伴い、一日の限られた時間しかコミュニケーションを取る事が出来なくなります。
替えのバッテリーも生産中止。
動かなくなり、モニターも機能しなくなり…。充電器から外した一瞬だけ起動している
ラッキーですがその数秒間、男の子の姿をカメラで記録し続けていきます。
心配そうな覗き込む少年の顔、顔、顔…。校舎。サクラ。少年。卒業証書…。
きっと見えているはずだと少年もラッキーに見てほしくて続けていきます。
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ロボットが人工知能AIを持っているからなのか、または姿がイヌだからなのか。
モニターに映し出す文字がたったの5文字。そして限られた命の設定だからなのか。
AIBOのニュースを見て「ふーん」と思った自分の価値観がねぇ…。
デジタルな「記録」が人に記憶とか思い出と言うものに変えてしまう様がなんとも言い
難い情景なのだと思います。
新しい知識・情報を得ただけでは人は変わらない。何かの拍子で心が動かされるといく
つになっても大きな感動になり人は変わっていく。
ちょっと大げさな表現ですけどね。変わって成長していきたいと思います。
この漫画。万人向けとは言いませんが、簡単に言うと涙を誘う。
機会がありましたら、どうぞご一読してみてください。
村上かつら 著 「ラッキー」
我が家のラッキーも元気です。