イギリスの有名な新聞デイリー・メール紙に次の記事が掲載されました。
Boy-7-taken-away-parents-judge-rules-damaged-Jehovah-s-Witness-mother-s-religious-beliefs
英国デイリー・メール紙
2015年5月22日付
7歳の男の子はエホバの証人の母親の宗教信条によってダメージを受けていると裁判所は判断、両親から引き離される
- クリフォード裁判官は母親による「精神的な害」を理由として子供の保護を認める
- レスター市のソーシャル・サービスも両親間の摩擦による少年へのダメージを懸念している
- 少年は「エホバを信じない人たちと共にいることはできない」と学校に対して語った
- そしてクラスの授業の工作物である「十字架」を壊して、こんなの“嘘”だと叫んだ
エホバの証人の母親の7歳になる男の子は保護されることになった。それは家庭裁判所によって、その母親が「宗教的な信条と習慣」によって息子にダメージを与えていると判断されたからである。
クリフォード・ベラミー判事は少年が「精神的な害」を母親から受けていると結論し、里親のもとに出されるほうが良いと判断した。
男の子はキリスト教について扱う授業において破壊的な態度になり、企画物を破壊して、その聖書物語は嘘だと述べた。そのときの学校での様子が裁判所で語られた。
ソーシャル・サービスもこの男の子が両親の仲たがいの間に立ってしまっているため、どちらの側とも生活することはできないと考えている。
レスター市における家庭裁判所の聴聞の後に出された裁判所の決定文書によって事件の詳細が明らかになったが、ベラミー判事は関係する人の名前は伏せることにしている。
子供が通っていた学校のスタッフの一人は、少年がどのように「エホバを信じない人たちとは共にいることはできない」と話していたかを判事に説明した。
少年は「十字架物語」を実演するために使うクラスの工作物を壊してしまい、「誰もエホバについての本当の話を語ってない」と述べたと判事は聞いている。
さらに少年は「エホバの証人用ではない聖書」について話されている間、「いくらか芝居がかった“しかめっ面”をしながら、軽蔑的な態度」をとっていた。
ベラミー判事は「少年が精神的な害を受けていると確信した」と述べている。
判事は少年とその父親との関係についても心配があると述べている。
判事によると、少年は父親について「ぼくに嫌がらせをする」と述べ、「ぼくはパパのことを全然好きじゃない」とも語っているという。
ソーシャル・サービスのスタッフは両親の間の「摩擦」によって少年が害を受けてきたとも考えている。
ベラミー判事は「変化」が必要で少年は経験のある里親による世話のもとに置くことが必要と確信したと語っている。
判事はこの夏に再度この件を検討することもほのめかしている。
少年の母親は宗教に「どっぷり浸かって」いることで害を受けているとの判断を受け入れていない。そして自分の宗教に少年を導くことで、父親をよそ者扱いしたという点も否定している。
解説
なぜ7歳の男の子は里親の世話が必要であると判断されるほどの行動や発言を繰り返したのでしょうか?
この男の子はエホバの証人の中で教えられる信条に対してとても忠実でした。
エホバの証人の統治体の成員の一人スティーブン・レットは2015年4月に日本を訪問して日本中の信者に対して次のようにエホバの証人の教義を教えています。
(箴言 13:20) 「賢い者たちと共に歩んでいる者は賢くなり,愚鈍な者たちと交渉を持つ者は苦しい目に遭う。」
Now, who is the stupid ones?
愚鈍な者とは誰のことでしょうか?
Well, think about it,
Anybody who is not really serving Jehovah
this right now,
They are stupid ones.
現時点でエホバに仕えていない人は誰でも“愚鈍な人”と言うことができます。
スティーブン・レットは旧約聖書の言葉を上記のように説明し、エホバの証人以外の人はすべて愚鈍な者(馬鹿とも訳せる)であるゆえに親しくなることが危険であることを強調しました。
さらにエホバの証人以外の人々を「身体的な病気にかかっている人」に例え、そのような人たちと「接触する」なら「様々な細菌」に感染すると述べました。
ですから、7歳の少年が「エホバを信じない人たちとは共にいることはできない」と学校で語ったことは、ものみの塔の教えにとても忠実なことだったのです。
さらに、ものみの塔は子供たちのためのレッスンビデオを用意し、「魔法の戦士スパーロック」という子供用のオモチャで遊ぶと悪魔サタンを喜ばせることになると教えています。 ですから「エホバの証人用の聖書」からとられたのではない聖書の物語をクラスの課題としてクラスメートと楽しむことは、この子にとっては許せないことだったのでしょう。
大人であれば本音と建て前を上手に使い分けて振る舞うことができますが、この少年はそれほど器用ではなかったのでしょう。
「エホバを信じない人たち」と親しくすると霊的な「細菌」に感染するという統治体の教えをそのまま学校に伝えるとどのような問題が起きるのかを少年は理解することができませんでした。
クラスの授業で使う共有の工作物を壊してしまうとどのような問題になるかも教義に忠実な7歳の子供には考えの及ばないところでした。聖書の中のヨシヤ王が8歳で王になり、後に偶像を破壊するキャンペーンを行ったことを学んでいたのかもしれません。あるいは少年が友達からもらったオモチャを母親が家で破壊してゴミ箱に捨てるのを真似ただけかもしれません。
結果として少年は両親のもとにいるより健全な里親のもとに預けられることが良いと判断されました。
英国でこのような判断を裁判所が下すのは非常に珍しいことです。この判断は後に変更されるかもしれません。母親の態度や両親の不和の改善、あるいは子供が保護されている間に著しい感情の安定がみられれば、両親あるいは親のどちらかのもとに戻されるかもしれません。
いずれにしても、この事件は独特な教義をもって子供を教える親たちに大切な教訓を残してくれているように思います。
記事の終わり