先日大ニュースが飛び込んできました。
来年公開予定のスピルバーグ監督作、詳細不明のUFO映画ですが、
その音楽をジョン・ウィリアムズが作曲しているとの報です。
実に30作目のコラボ!
そして既にレコーディング・セッションに入っているというのですね。
これは本当に楽しみです!
そこで、本日からはスピルバーグとジョン・ウィリアムズとのコラボを振り返っていきます。
古い方から順に行きますが、既に執筆済みの案件も沢山あります。
それはこちらのindexをご覧下さい。
未執筆の案件で一番古い作品は「未知との遭遇」。
これぞUFO物の極地です。
スピルバーグはUFO出てくる作品多いですけどね。
・未知との遭遇
・E.T.
・A.I.
・宇宙戦争
・インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
では、名作「未知との遭遇」行きましょう。
作品概説
本作は続・激突!カージャック、ジョーズに続く3作目のスピルバーグとのコラボです。
前作のジョーズではアカデミー作曲賞を受賞してますから、大期待のコラボです。
作品が公開されたのは1977年。
1977年です。
この年に公開された他の有名作品は何でしょうか?
そうです。
スター・ウォーズ(第1作)ですね。
彼は既にSF作品を1作書いていた。
しかもアカデミー作曲賞を受賞し、以後の映画音楽の歴史を変えた大名作を。
そこに来てスピルバーグのSF。
同じテイストの音楽を書かれても困りますよね。
ところがこの作品、スター・ウォーズとはまるっきりテイストが違うんですよね。
スター・ウォーズは明らかなロマン派音楽です。
一方、未知との遭遇はどう聴いても前衛的な現代音楽です。
2文字で言うと、難解。
これがね、映画のテイストにベスト・マッチなんですね。
だって、映画そのものが、難解。
これ、どういう話ですか?
なんかよくわかんない話なんですよ。
最後ハートフルにまとめたけどもね、よくよく考えると訳わかんないですよ。
そんな難解な中に、音楽というよりもむしろ映画の主題とも言えるシグナルをスピルバーグとジョン・ウィリアムズは投入してきました。
この5音です。
さすがにこの5音を載せたからって著作権云々無いと思うんでそのまま載せますけど。
この5音を巡って話が展開していくんですね。
なんでも、スピルバーグが3音でも7音でもない5音にこだわったらしく、
ジョン・ウィリアムズはその要望に従って200通りの5音を作成したのだそうです。
作る方も気が遠くなりそうだし、それを聴く方も頭がおかしくなりそう。
そんなこんなで生み出されたこの5音です。
それと、もう一つ印象的に用いられている曲があります。
「星に願いを」です。
言わずと知れた、ディズニーの名作「ピノキオ」の主題歌ですね。
ずっと直接的ではなく「星に願いをによるモチーフ」として断片的に展開されていきますが、
最後にフル演奏され、宇宙からの来訪者のハートフルさを演出しています。
もはや、この映画のテーマ曲は何ですか?と訊かれたらこれです。
なお、星に願いをと言えばディズニー映画のオープニング・ロゴでお馴染みですが、
本作はディズニー映画ではなくコロンビア映画です。
その他に主人公が謎を求めて探索する模様を描写しているパッセージがあります。
これがね、またしても聞き覚えのあるパッセージなんですよ。
はい、来ました。
怒りの日。
もうジョン・ウィリアムズのお気に入りですね。
謎めいた感じでこの聖歌によるパッセージが聴こえてきます。
その他の部分は大体前衛音楽です。
これね、ジョン・ウィリアムズの純音楽の作風なんですよ。
つまり、ジョン・ウィリアムズの本来の作風って多分こうなんですよね。
だからこの作品はジョン・ウィリアムズ本人のお気に入り作品であるようです。
映画の前半は未知なる存在へのミステリー感から前衛音楽で、終盤に向けてハートフルな調性音楽になっていく。
映画全体としてはそういう構成になっています。
コンサート・バージョン
高名なクラシックの指揮者、ズービン・メータの依頼により本作は15分ほどの長さのコンサート・バージョンに編曲されています。
抜粋やメドレーと言うより、映画内のモチーフを新たに曲として構成し直している感じです。
初演はスター・ウォーズ組曲と一緒になされ、カップリングされてアルバム・リリースされました。
また、最近のコンサートでも頻繁に取り上げられ、
ジョン・ウィリアムズがウィーン・フィルを振ったコンサート盤、
同じくベルリン・フィルを振ったコンサート盤にも収録されています。
なお、サイトウ・キネン公演では取り上げられませんでした。
楽曲解説
手元の盤は1998年にリリースされた26曲入りのコレクターズ・エディションです。
1.オープニング:未知なる光の導き
静かに弦の音が入ってきて、不協和音が一気にクレッシェンド。
コンサート・バージョンの頭の部分です。
2.海軍機
前衛的な不協和音の中、勇ましいホルンのパッセージが聴こえてきます。
いかにもジョン・ウィリアムズっぽい感じです。
3.消えた飛行中隊
スペクタクル巨編的なスコアリングです。
いかにも序盤の謎がドーンと登場的な。
後半はミステリーに突入。
4.ロイのファースト・コンタクト
前半は不協和音の前衛音楽です。
リゲティみがありますね。
後半に弦のピチカートで探索のモチーフが入ってきます。
「怒りの日」によるパッセージです。
5.クレッシェンド・サミットでの遭遇
ここで「星に願いをによるモチーフ」が初登場。
3音だけですけど、印象的に入ってきました。
6.UFOの追跡
リゲティっぽい不協和音のコーラス。
そこにジョン・ウィリアムズっぽいフルオーケストラがスペクタクルに鳴らしてきます。
ジョン・ウィリアムズを1分19秒に煮詰めたらこういう曲が出来そう。
7.偽のアラーム
女性コーラスが幽玄に響く中、探索のモチーフが入ってきます。
五里霧中って感じですね。
8.バリー坊やの誘拐
前半のサビです。
リゲティっぽいコーラスに導かれてバリー坊やがUFOに攫われていきます。
もうひたすら不協和音。
観客を不安の底に陥れるような音楽です。
完全にそれが狙いなのですけど。
9.カヴァーアップ
軍楽調のスネアのリズムに乗せてホルンのパッセージが奏でられます。
久しぶりの調性音楽です。
ラストが勇ましいです。
10.星とトラック
弦&ハープ&フルート、神秘的に始まります。
後半は軍楽で勇ましく。
短いです。
11.山を描く
病んじゃった主人公の様子。
探索のモチーフが奏でられます。
後半はやんわりと星に願いをによるモチーフ。
12.テレビで対決
やんわりとした星に願いをによるモチーフ。
最初の2音だけを繰り返します。
後半はひたすら探索してますね。
13.路上のロイとギリアン
ジョン・ウィリアムズの吠えるホルン来ました。
ホルンがfffで探索のモチーフを奏でます。
14.デビルス・タワー
探索のモチーフが奏でられる中、
はっきりと星に願いをによるモチーフが鳴り響きます。
15.君らは誰だ?
軍楽のパートです。
こういうの書かせたらジョン・ウィリアムズの右に出る者はいないですね。
後半は探索のパートです。
16.脱出
せわしない弦のパッセージに乗せて、星に願いをによるモチーフが壮大に奏でられます。
17.脱出(未使用版)
前曲の没バージョン。
こっちは探索のテーマがフィーチャーされてます。
スピルバーグはもう少し星に願いをを推したかったんですね。
全然違う曲になってます。
18.トラッキング
後半に向けて無調音楽はなりを潜めていたのですが、
ここに来て無調。
最後のミステリーパートです。
後半は探索パート。
19.山登り
無調かと思いきや、ホルンのすこぶる調性的な咆哮。
かと思いきやバス・クラリネットによるジャバのテーマを思わせるパッセージ。
後半はピアノと金管による緊迫した音楽。
この感じは最近も運命のダイヤルでインディが馬に乗って逃げるシーンで耳にしました。
20.手を広げる
UFOを呼ぶシーンですね。
わりとスペクタクルな感じの音楽。
星に願いをによるモチーフと探索のモチーフが交錯します。
最後の方は包み込むようなハーモニー。
そうか、UFOって脅威の存在ではなかったんだ!
そう結論付けている瞬間の曲です。
21.ライトショー
神秘的にコーラスと木管群が奏で始めます。
だんだんクライマックスに向かっている感じの曲です。
22.バーンストーミング
いよいよ未知なる存在が直接的に姿を現しました。
スペクタクル巨編。
ジョン・ウィリアムズの本領発揮。
もちろんホルンも吠えます。
最後は温かみのあるハーモニーの星に願いをによるモチーフ。
23.母船
いよいよ巨大母船が目前に迫ります。
この部分は未知との遭遇コンサート・バージョンの冒頭に続く部分の元になったパートです。
耳馴染みがある部分です。
ただ、曲の構成は全然違います。
非常に複雑に構成された曲です。
指揮しにくそう。
24.ワイルド・シグナル
本作のサビです。
劇中ではシンセサイザーで5音が鳴らされている描写ですが、
音は明確にオーボエ+ヴィブラフォンです。
UFOからの応答はチューバです。
トリュフォー演じる科学者とUFOとの即興セッションが繰り広げられますが、
君ら息合いすぎじゃね?
息の合い方が3年間苦楽を共にした3年生部員の引退コンサートのそれです。
何はともあれ、映画史に残る名セッションであることは間違いが無いですね。
25.帰還
みんなおかえり。
UFOに攫われた人たちが帰還します。
めでたしめでたしで良いのかどうかは謎です。
謎ではあるから不協和音。
地球人類と異星人との不協和音。
少なくとも異星人に悪意は無さそうですが。
後半はシンプルに帰還を喜び合う調性音楽。
手放しで喜べない感じなので煮え切らない感じの音楽にはなってます。
26.異星人たち/バーイ/エンド・タイトル:特別編
エンディングです。
最後に異星人たちが姿を見せます。
原題通りの「第3種接近遭遇」です。
ミステリアスな存在であるので無調的な音楽。
そして主人公が招かれ、UFOに乗り込んでいきます。
ここで初めてはっきりと「星に願いを」。
今までの「星に願いをによるモチーフ」はBメロでしたが、
ここで初めてのAメロ登板。
誰がどう聴いてもはっきりとした「星に願いを」。
ここでスピルバーグは歌入りの原曲を流したかったようですが、
ファンタジーになりすぎるので周りから却下されたようです。
最後に5音を奏でてエンド・クレジットに入ります。
ここからはコンサート・バージョンの後半の元になった部分です。
ただ、やはり構成は全然違います。
エンド・クレジットの後半はシグナルの5音をフルオーケストラで大々的に奏されるのが良いですね。
本編内では登場人物が歌っている鼻歌だったり、インド人の合唱だったり、シンセサイザーの単音だったりで示されていて、
ラストのセッションもフルオーケストラではないですからね。
めでたしめでたしでフルオーケストラで奏でられるのは良いです。
そして最後のフルオーケストラの完全版の星に願いを。
最後ハートフルにまとめてくれて、安心して映画館を出られるってものです。
この映画、映画館で観た事ないけど。
以上です。
次回記事は1941!



