今回はジョン・ウィリアムズ×スピルバーグの8作目、

太陽の帝国を解説します。

 

 

太陽の帝国 オリジナル・サウンドトラック

 

 

この作品は1987年の公開作品です。

 

デビュー以来、ジョーズやインディ・ジョーンズなどの娯楽作を撮り続けてきたスピルバーグが前作で本気でアカデミー賞を狙い、

カラー・パープルというシリアスな映画を撮影しました。

この作品では音楽担当をクインシー・ジョーンズに鞍替えし、

2015年ブリッジ・オブ・スパイ(音楽:トーマス・ニューマン)が撮られるまで、

唯一のジョン・ウィリアムズが担当していないスピルバーグ映画となっていました。

 

そのシリアス路線を継続して撮られたのがこの作品です。

音楽担当はジョン・ウィリアムズに帰還。

やっぱりジョン・ウィリアムズがいいんじゃん?

カラー・パープル観てないですけど。

  

なお、スピルバーグのアカデミー賞受賞はこの5作先のシンドラーのリストまでおあずけ。

ちなみにジョン・ウィリアムズは本作でもしっかりと音楽賞ノミネートされてます。

受賞したのは坂本龍一ラスト・エンペラー

それは強いわ。

 

 

音楽ですが、当然ながらシリアス路線の音楽です。

日本軍がずっと出てくる話なので尺八の使用多め。

 

あらすじですが、

日中戦争の最中、主人公は上海に暮らすイギリス人の少年ジムです。

イギリス人は戦争とはあまり関わらず暮らしていましたが、太平洋戦争が開戦。

上海も戦争の波に呑み込まれ、ジムは両親と離れ離れで日本軍の収容所に捕らわれてしまいます。

そこで逞しく、精いっぱいの明るさを忘れずに暮らすさまを描いた作品です。

明らかに日本軍が悪役ではあるのですが、そこは日本贔屓のスピルバーグ。

日本が悪の権化のように描かれているわけではないのでそこは安心して観られます。

ジムと日本青年との心の交流なんかも描かれます。

そもそもジムもなぜか日本贔屓なんですよね。

将来の夢が零戦のパイロットとかぶっ飛んだ発言もします。

 

この映画はガッツ石松が出てたり、

座布団運びの山田隆夫が出演エピソードをこすりまくってたりでも有名ですね。

 

あと、主人公のジムが非常に逞しく生きるのですが、

演じているのが若きクリスチャン・ベールです。

もう顔がクリスチャン・ベールでしかないので、そりゃ逞しかろうといった感じです。

10年後にはバットモービル乗ってそうな感じ。

 

 

 

楽曲解説

通常盤13曲を解説します。

2枚組31枚という完全版も出ていますが、プレミア盤なので筆者は未所持です。

 

曲順は全く時系列順ではありません。 

 

 

1.スオ・ガン

冒頭に主人公のジムが聖歌隊として教会で歌う、ウェールズの子守歌です。

これはジョン・ウィリアムズが編曲したわけでも振ったわけでもなく、

シンプル挿入歌です。

クリスチャン・ベールが唄っているわけでもなく、口パクです。 

  

 

2.大空のキャデラック

本作の事実上のテーマ曲です。

コーラスに乗せて奏される壮大な大空の賛歌です。

ジョン・ウィリアムズらしいスペクタクルな曲となっています。

 

映画の終盤、ジムの収容されている蘇州の収容所に米軍機が襲来。

米英人解放の為に日本軍を爆撃します。

その襲来したP51マスタングにジムが興奮して「大空のキャデラックだ!!」と称する様子を描写しています。

 

なお、マスタングはトップガン・マーベリックの冒頭でトム・クルーズが操縦していたアレです。

アレはトム・クルーズの私物だそうで。

トム・クルーズとんでもないな。

  

  

3.ジムの新しい生活

ジムが上海の収容所から蘇州の収容所に移動した後に、明るく逞しく生きる様子です。

収容所の描写とは思えない明るく生き生きとした曲です。 

  

 

4.群衆に埋もれて

映画の序盤、上海に日本軍が攻め寄せてきて、

イギリス人も中国人もまぜこぜになって大通りを非難していくカオスな様子を描いています。

大混乱です。

曲も同じく大混乱。

不協和音が響く現代曲的な響きの曲です。 

  

 

5.夢の空中戦

映画の更に序盤、ジムが野を駆けていると墜落した零戦を見つけました。

零戦大好きなジムはコックピットに乗り込み、空中戦を夢想します。

その様子を描いたファンタジックな曲調の曲です。 

  

 

6.町への帰還

映画の終盤、蘇州の収容所が閉鎖され、南島へ徒歩でずらずらと移動していく収容民たち。

そんな中ジムの友人である日本人が特攻隊員として飛び立とうとしますが、エンジンが掛からず飛行を断念。

収容民も日本軍も満身創痍であるため、悲壮感につぶされそうな曲調です。

最後に日本軍が接収した物資の置き場に到着し、そこの白いピアノを弾く女性が一人。

なお、町へは全然帰還しないです。

  

  

7.解放:歓喜

これは文字通り。

日本が戦争に負け、イギリス人もアメリカ人も解放されました。

歓喜のハレルヤ・コーラスです。

これはもちろん御大のオリジナル作曲です。 

映像はジムが無人になった収容所を自由に自転車で走り回る様子。

 

 

8.英国近衛歩兵第一連隊

英国擲弾兵の行進曲である「ブリティッシュ・グレナディアーズ」です。

ジムがキジ狩りから帰還し、意気揚々とアメリカ人の宿舎へ乗り込む様子をユーモラスに描いています。

 

 

9.おもちゃの飛行機,懐かしきわが家

映画の最序盤、まだ平和なジムの家。

天井に吊るされたおもちゃの飛行機に囲まれ、母親におやすみを言うジム。 

のというシーンがタイトル的には基調ではありますが、サントラの収録内容は別のシーン。

蘇州の収容所に着いたジムが飛行場のゼロ戦を見つけ、

そこに近づいて日本軍に敬礼するシーンです。

大空のキャデラックが抒情たっぷりに奏されます。

 

後半は表題のシーンに戻り、母親がピアノで奏でる

ショパンマズルカ第13番イ短調Op.17-4です。

これがジョン・ウィリアムズらしくオーケストラで肉付けされています。

 

 

10.上海の大通り

これは二つのシーンが繋げられています。

まずは映画の序盤、ジムと両親が乗った車が仮装パーティーに向かうために上海の大通りを走行するシーン。

混乱し、カオスな中国人たちの様子がカオスな曲調で描かれています。

 

次にそのしばらく後でジムが両親とはぐれ、空腹にあえいで大通りに出てきたシーン。

中国人少年に追いかけられて必死で逃げる様子が描写されています。

  

 

11.きじ狩り

映画の中盤、ジムが収容所を抜け出してキジを借りに行こうとするシーン。

打楽器と尺八で静かに進行していく息を呑むような曲です。

シーン的にも永田軍曹が迫ってきており、息を呑むようなシーンです。  

  

 

12.故郷は遥か彼方/夢で見た原爆

静かなコーラスと弦とで主人公の孤独な様子を描写しています。

ふいに東の空が明るく光ります。

長崎に落とされた原爆の閃光です。

それをジムは親しかったおばさんの魂が召される様子と受け止めました。

戦争が終わり、空から救援物資が降ってきました。

生きる希望を見出すジム。

希望の大空のキャデラックが奏されます。 

 

 

13.歓喜

エンド・クレジットです。

7曲目のハレルヤ・コーラスの完全バージョン。

ボストン・ポップスのクリスマス・コンサートの定番曲なのだそうです。

なるほど、コーラスもさることながら中盤のブラス・セクションのアンサンブルもクリスマスっぽい感じがします。  

 

 

以上です。  

 

次作のインディ・ジョーンズ最後の聖戦は執筆済みなので、

次回記事はオールウェイズ

これは・・・地味ですね。

ジョン・ウィリアムズ史上最も地味かもしれないサントラです。