【保護情報と訃報】スズメとコゲラの落巣雛 | JWC NEWS

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JWC(NPO法人ジャパンワイルドライフセンター)は、
野生動物の保護を目的として
1990年に設立した野生動物保護団体です。

皆さんこんにちは。

室中です。


早速ですが、今回は、5月18日に保護されてきた2羽の落巣雛についての保護情報と訃報をお伝えさせていただきます。


まず初めにセンターにやってきたのは『コゲラ』の落巣雛。  

この子は、スーパーの駐車場にある木の下に落ちていたところを保護されました。

保護した方によると、保護当初、周囲に親鳥がいる様子も無く、巣も見当たらなかったそうです。

動物病院で、検査をした後に、さとやま保護センターへと運ばれてきましたが、やはり、怪我等の異常がない雛はお母さんに育ててもらうのが一番。もしかしたらまだ親が近くにいるかもしれない、木の上のどこかに巣があるかもしれないという気持ちが捨てきれず、保護された現場に向かいました。

保護された場所に到着すると、駐車場の中にもポツポツと高い木がありました。

コゲラの雛が落ちていた木の上を見ても巣らしきものは見当たらず、地面に糞らしきものもありませんでした。

コゲラはキツツキの仲間で、木の幹に3cmほどの小さな巣穴を掘り、そこで子育てをします。

その為、なかなか肉眼では見つけにくいので、周辺の木々も双眼鏡を使ってしばらく観察しましたが、残念ながら巣も、糞もコゲラらしき鳥も見当たりませんでした。


このような垂直な木の幹に真円で工具で開けたような精巧な巣を掘ります↓


保護現場で親鳥と巣を探している間も、センターでは保温と給餌を行いました。

コゲラは、非常に警戒心の強い性格ですので、なかなか自分から口を開けてくれず、威嚇して口を開けた隙にミルワームを口の中に入れたり、練り餌(七部餌・幼鳥期の総合栄養食・乳酸菌パウダー・ビタミンパウダー・ミルワームパウダーを混ぜたもの)で強制給仕で与えました。


威嚇するコゲラの雛↓


ミルワームを食べるコゲラの雛↓


付きっきりでコゲラの雛のお世話をしている時、また新しい保護が。

道で鳴いているスズメの雛を子供が発見したそうです。今回も、しばらく周囲を観察したところ、親鳥や巣は見当たらなかった為、保護に至ったそうです。

病院で検査を行った後、センターへと移動しました。

だいぶ、羽が生えているにも関わらず体が通常よりもひと回り小さく、体重もとても軽かったです。

その為、他の兄弟よりも体が小さくて弱かったために巣から落とされてしまったのかもしれません。


その日、センターでは、付きっきりで2羽の保温と都度の強制給餌を行いました。

スズメは、ピーピーと鳴いてご飯を欲するので、強制給餌で練り餌(七部餌・幼鳥期の総合栄養食・乳酸菌パウダー・ビタミンパウダー)を混ぜたものを与えました。

給餌を行うと、だんだんそのうが膨らんできて下の写真くらい膨らんだら一旦、給餌をやめて消化を促しました。



しかし、次の日の朝からなかなかそのうが萎まず、ずっと膨らんだ状態に。

ずいぶんと弱っていた為、消化器官がうまく機能せず、消化不良を起こしてしまっていました。

そのうを優しくマッサージして中のものを下に落としましたが、朝はピーピー言っていたのに、段々と元気が無くなり、瞼が閉じてきてしまいました。


それと同時に、コゲラの雛も朝から威嚇する様子がなくなり、頭が落ちてきてしまいました。

それからしばらくして、スズメの雛が静かに息を引き取り、その数分後に後を追うようにコゲラの雛も息を引き取りました。


二羽の遺体は、さとやま保護センターに埋葬しました。



二羽とも、一晩乗り越えてくれて、最後まで一生懸命生きようと頑張ってくれました。

次生まれ変わったら、元気に生涯を全うして欲しいと願うばかりです。



《JWCからのお願い》

この時期、ほとんどの哺乳類・鳥類は子育てをします。

ヒナや幼獣の近くには、親がいることが大半ですので、見つけても、すぐに保護をしないようにしてください。結果的に親子を引き離す結果となってしまう可能性があります。



最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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