【訃報】力及ばず エナガ | JWC NEWS

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JWC(NPO法人ジャパンワイルドライフセンター)は、
野生動物の保護を目的として
1990年に設立した野生動物保護団体です。

皆さんこんにちは。

佐草です。

 

 

今日は残念なご報告があります。

10月21日(木)にスズメバチ駆除用の粘着剤にくっついてしまったというエナガが保護されてきましたが、10月24日(日)の朝、残念ながら亡くなりました。

 

 

保護された当初から、極力ストレスをかけないように注意しながら、こまめに小麦粉や、温めたサラダ油で、粘着剤の除去を行っていきました。その内、段々と羽も動かせるようになり、小さな段ボールの中で跳ねまわる様子も見られるようになりました。餌もしっかりと食べてくれていて、排泄にも問題は無かった為、ここだけの話ですが、正直、もう少し頑張ってくれるかなと思っていたので、本当に悔しいです。

はっきりとした死因は分からず、本来であればしっかりと解剖をして、亡くなってしまった原因を突き止めるべきなのですが、エナガは身体が小さいので、死因特定はなかなか難しいだろうと判断し、今回はそのまま埋葬することにしました。

 


ただ、これはあくまで推測にはなりますが、可能性として考えられるのは『ポリブテンの摂取による中毒死』です。

ポリブテンは粘性の強い炭化水素で、ゴキブリ駆除シートやネズミ捕り、他にはスティック状の化粧品なんかにも用いられている化学物質です。『中毒死』と書きましたが、ポリブテンを含む商品には、『毒性は殆どなし』と書かれている場合が多く、基本的に中毒を起こすことは無いとされています。しかし、それはあくまで人間の体重を基準に考えられていることで、身体の小さな生き物にとっては、充分に中毒を引き起こす可能性のある物質です。

今回、エナガが保護されてきた原因であるスズメバチ駆除用の粘着シートですが、これもポリブテンが含まれている商品が多いです。

日を分けて少しずつ粘着剤が除去され、身体が自由になってくると、エナガが自分で粘着剤を剥がそうと羽繕いをする様子も見られました。そもそも、口に入れることも想定して、除去の作業には害のない小麦粉を使っていたのですが、羽繕いをしている内に、細く器用な嘴で粘着剤を許容量以上に摂取してしまった可能性は充分に考えられます。

以前、同様のケースで保護されてきたスズメは除去も順調に行え、最終的に無事リリースすることができましたが、スズメよりも小さな身体であったエナガは、その毒性に耐えられなかったのかもしれません。

 

前回のブログでも、言い訳がましく色々と書いてしまいましたが、やはり、命を救うということは本当に難しいな、とつくづく思います。

エリザベスカラーを付けるなどの対策もありますが、ストレスにも十分配慮しなければなりません。

 

その時々の状況や、大きさ、個体差にもよりますが、今回の悔しさを忘れずに、次こそ無事なリリースを目標にしたいと思います。

 

お読みいただきありがとうございました。

 

 

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ツバキちゃん、お疲れ様。

次生まれてくる時はもっと長生きできますように。