【保護情報と訃報】飛び立てなかった巣立ちビナ | JWC NEWS

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JWC(NPO法人ジャパンワイルドライフセンター)は、
野生動物の保護を目的として
1990年に設立した野生動物保護団体です。

皆さんこんにちは

室中です


今回は残念なご報告があります。8月28日に保護されてきたスズメの巣立ちビナが一昨日、亡くなりました。


この子は、宅地内の車の横にいたところを8月22日に発見されました。

保護した方によると、発見時は元気そうな様子で近くに親鳥の姿もあったものの、なかなか飛び立たずその場に留まっていたため、保護に至ったそうです。

また、保護してから自宅で様子を見たところ、ピーピーと鳴き声はあげていましたが、割り箸で餌を与えてもなかなか食べず、やっとのことで2時間おきに餌を求めて口を開けても1口食べるのがやっとだったそうです。


そのような状態が続き、28日にのづた動物病院に来院されました。


診察の結果、栄養不良であったため、強制給餌とビタミン剤の投与を行いました。この時の体重はこの時期のスズメにしては軽いと思われる10gでした。

保護した方の話と、この子の状態から恐らくですが、巣立ちに失敗してしまったのではないかと思われます。



そして、さとやま保護センターへと移動しました。


センターでは、保温とこまめに強制給餌を行いました。ねり餌(すり餌・いりこ、バイタルパウダー、ネクトン、ダイスキン、パンファノンを混ぜたもの)を10分おきくらいの間隔で強制給餌を行いましたが、吐き戻してしまう様子もありました。


糞尿は自力で出せていましたが、たびたび目を閉じる様子やゆらゆらと体が動く様子などがあり不安な状況が続きました。


そんな日が二日日ほど続き、三日目の朝、確認したところ、既に息を引き取っていました。

不安定な状態と、なかなか餌を食べてくれない日が続いたところにお天気が崩れ、気圧が変化したことがやはりこの子にとって厳しかったかな、と思います。


雛鳥や、怪我をした動物にとって気圧の変化は、とても大きな問題となります。

人間でも、低気圧が近づくと体調が悪くなったり偏頭痛や古傷が痛むことがあると思います。外気圧が、低くなることで体の内圧が強調されたり、気圧の変化で自律神経が乱れることが原因とされます。


また、この時期のスズメのヒナは、お母さんと一緒に飛ぶ練習をしたり、自食の練習もするので、この子は他の兄弟に比べてもともと虚弱で、そこについていくことができなかったのもあるのではないかと考えられます。


10gほどの小さな体で最後まで一生懸命頑張ってくれました。この子の頑張りが無駄にならないよう、これからも試行錯誤を重ねて一羽、一頭でも多くの動物をリリースへと繋げられるよう頑張っていきます。


次、生まれ変わったときは、元気に天寿を全うしてくれることを願うばかりです。


この子は、さとやま保護センターの庭に埋葬しました。




最後までお読みいただき、ありがとうございます。





【JWCから雛鳥保護に関するお願い】


今の時期は、鳥の子育てが盛んな時期であり、野鳥の保護件数が多いのもこの時期です。


この子のように、嘴の付け根が黄色だったり白だったりする『巣立ち直後のヒナ』や、尾羽が短かったり、羽が全然生えていない『巣立ち前のヒナ』を見つけた際には、まず、近くに巣や親鳥がいないかを確認していただきたいです。それでも、巣が見当たらない場合や親鳥がいない場合に初めて『保護』という手段を考えます。


もし保護できなかったとしても、その子は他の動物のエネルギーになります。鳥の視点で言えば残酷なことのように感じるかもしれませんが、そのヒナ鳥たちもタヌキやイタチにとっては生きていく上で大切な食糧となります。


哺乳類もだいたい同じ時期に子育てを始めるので、もしかすると赤ちゃんを育てる為の母乳になるかもしれません。

本来であれば、人の手が加えられることのなかった命です。ヒナ鳥を見つけたとき、たとえ助けられなかったとしても、その命は必ず無駄にはなりません。他の動物の命に繋がったんだと思っていただけると嬉しいです。


今後、道端や公園、家の庭先などでヒナを見かけたとき、保護を迷ったときに今一度保護が必要なのかを考え直していただけたら幸いです。 




JWCは皆様のご寄付・ご支援により活動を行なっております。

一羽でも、一頭でも多くの命を救えるよう、ご協力のほど宜しくお願い致します

↓こちらからよろしくお願い致します。

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