きょうは一五夜です。

こんなふうに満月が見られるのは8年ぶりとのこと。

とても明るいです。

 

 

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Stage info. 櫻井郁也/十字舎房:公式Webサイト

ただいま前回ダンス公演(2021年7月)の記録をご紹介しております。次回公演情報は、いましばらくお待ちください。

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photo=private rehearsal by Sakurai Ikuya

 

ダンスでは人体の動きが想像力に働きかけ、様々な人や出来事に影響を与えることがあります。しかし身体そのものが何かを語るのではない。身体、カラダ、と呼んでいる実体に蓄積した全てが何かを語っているのだと思います。いま動いているその体を成り立たせてきた人の生の来し方と、瞬間瞬間の体を突き動かす原動力が、如何なるものかのか、ということに、やはり興味をそそられます。

立派な人が素敵なダンスを踊るとは限らないし、丈夫な体が美しく踊るとも限らず、善き人の体が感動を誘うとも限らず、、、。

心躍るから体が踊る。というけれど、その心なるものも、何かと作用しながら刻々と変化しているところがあったり、頑丈に不変たろうとしているところもあるに違いありません。

また、体の動きには運動という意味での動きもあるが、体育の動きとダンスの動きの素晴らしさは、これまた別で、ダンスには雰囲気や音楽性や存在感などの「うごき」もある。このあたりになると、単に個人の「いまここ」の心の問題でもあるまいと思うのです。

実は、思いのほか広いところから、さまざまな複雑な現象や働きが個体に働きかけて、体の動きの衝動をもたらしているのではないかしらん。なんて。

そんなことについて、あれこれ考えたり調べたりすることが、この頃になって再び楽しくなってきています。新しい作品の構想を進めながら、なのですが。

 

 

 

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たしか、日本時間で夜の9時半ごろから10時過ぎあたりのあいだだったと思います。

NYで大変なことになっているみたいだ、大きな火事だろうか、いや、飛行機が墜落したみたいだ、、、どうしたんだろう、、、、そう思ってテレビを見つめていると、2機目の飛行機が、、、、。

2001年9月11日。

この日から始まったことは、自身のダンスにも、重要な問いをもたらしました。

この日の同時多発テロに続いて、10月にはアフガンの出来事があり、それらをめぐる不安や慄きや怒りや悲しさのなかで、そして、あの出来事に続く世の中の急激な変化の流れを感じながら、衝動のまま、ごく短期の間に企画制作したのが、写真上の舞台でした。下は当時の公演チラシ裏面の文章です。

『ガラスの背後からの叫びと共に 〜 非暴力と不服従へのダンス第一番(2001年plan-B、ソロ)

と題したこの公演から以後、次第に「独舞」というものに対する追求心が強まっていき、いつしか僕はソロダンサーという活動の仕方を重視するようになっていきました。

また、次第になのですが、私はなぜ踊るのだろうか、ということ以上に、人間はなぜ踊るのだろうか、ということに、創作の軸が変わっていった気がします。

20年前の出来事とそこからの創作は、現在継続している公演シリーズの開始点とも言えるし、ダンサーとしての第二の出発点だったかもしれません。

やがて、震災があり、放射能が降り、このコロナ禍が訪れ、

想像さえ出来なかったことが次々に身辺に起こって世の中が変わって、

いま現在、というものが、ここにあります。

ここから、私たちは、どのように歩いてゆくのでしょうか。

 

 

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映画が好きな割に、あまり台詞が入ってこないのはアタマの癖なのか、人の表情や仕草や景色や音は鮮明に覚えているのだけど、、、。

もちろん耳には聞こえているし、それなりに色々思いながら言葉を追ってはいるのに、どうも次から次へと頭をすり抜けて消えていってしまう。ああ、なんでかな、と思うことが、よくありました。

そんな僕でさえ一発で覚えてしまった台詞が、「海が嫌なら、山が嫌なら、勝手にしやがれ、、、」という一言でした。ジャン・ポール・ベルモンドがパリの街を車でぶっ飛ばしながら呟くのです。

ゴダールの『勝手にしやがれ』という映画、脚本を書いたのはトリュフォーでした。

学生の頃に勧められて見たのですが、一瞬で興奮してしまいました。

この映画には特別な力があるのですが、その冒頭で、さっきの、「勝手にしやがれ」という台詞とともに走り去るジャン・ポール・ベルモンドを見て、いきなり脳味噌の中心に雷が落ちたのだと思います。

そして、あの興奮は『気狂いピエロ』のダイナマイトを巻き付けたベルモンドを見た時、より強烈なパンチを伴って蘇ってきた記憶があります。あのラストシーンで彼は、この映画の異様なエネルギーを完全に爆発させたのではないかと僕は思っています。

あの目つきと、あの唇は、あの腕やあの着こなしやあの声や呼吸は、巻き付けられたダイナマイトよりも、原色と鋭角が乱れ打つ画像のモンタージュよりも、遥かに猛スピードで危うい存在に思えたのでした。

ジャン・ポール・ベルモンドが亡くなったニュースを見て、さすがにガクッと来ましたが、同時に、少しでも同じ時代を歩くことができたことへの感謝の思いも、やはりグッと湧いてきます。

悲しみと敬意を、心から、、、。

 

 

 

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写真=櫻井郁也ダンスソロ『血ノ言葉』(2021.7/17~18公演)より

 

 

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上記公演の記録情報をご紹介しております。

※次回公演まで、いましばらくお待ちください。

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