4月29日は昭和時代には「天皇誕生日」という祝日だった。それが、2007年からは「昭和の日」ということになった。昭和天皇が崩御されて時代が昭和から平成になっていった時には「みどりの日」ということで休日として継続されていたものだった。それがやがて「昭和の日」として引き継がれたという経緯である。
やはり、昭和という時代を何らかの形で意識しておこうというところもあるのだろうか。時代としても長かったし、我々世代は昭和と平成を同じ時間くらい過ごしているのだ。
そして令和という新時代になっても8年目。それでも昭和世代としては、やはり「昭和」という時代を意識しておきたいと思っている。
昭和中期には、太平洋戦争という、日本の歴史の上でも稀有の不遇の時代があった。やがて、敗戦という形で終戦を迎え、日本は戦後復興へと向かっていく。そんな中で、高度経済成長という流れを作っていきながら、日本そのものも発展していくことになる。
我々がこの世に生を受けた昭和30年代、つまり1950~60年代というのは、第二の文明開化と言ってていいくらいにモノが豊かになっていく時代でもあった。戦後復興も進み「もはや戦後ではない」という言葉が発せられたのが1956(昭和31)年。その年に石原慎太郎が『太陽の季節』で衝撃デビューする。三島由紀夫が『金閣寺』を発表した年でもある。
高度成長のシンボルの一つか新幹線であり、東京オリンピックだったのだろう。初めて1万円札が発行されたのが1958(昭和33)年だ。ここからは、日本の経済も文化芸能も右肩上がりにどんどんと発達していく。
芸能産業では映画界では石原裕次郎が颯爽と現れスターとなっていき、空前の映画ブームとなっていく。翌年に日本レコード大賞が創設されて、歌謡曲が全盛時代に差し掛かっていった時代でもあるのだ。
日常生活ではインスタントラーメン、インスタントコーヒーが世に出たのが1960(昭和35)年。この年、謝国権の『性生活の知恵』が話題となっている。それは、性生活そのものを人間の営みとして大事な快楽の一つでもあるとして求めていくライフスタイルとして定着していくということになっていくの要素でもあったのだろう。また、その2年前に売春防止法が施行されたことと無関係でもないのかなとも思う。
レジャーブームという言葉が出てきたのは1961(昭和36)年だが、ここから日本は3年後の東京オリンピックへ向かって突っ走っていく。そして、1964(昭和39)年になって、新幹線が開通し、東京オリンピックが開催されて、さらには1970(昭和45)年に大阪で万国博覧会が開催されたことで、昭和という時代は、高度経済成長の一つのゴールを迎えたと言ってもいいであろう。
そんな昭和という時代は、確かにいい時代だったと言えばそうかもしれない。一方で、オイルショックがあったり学生運動が激化していったりということもあった。圧倒的な消費経済となっっていき、昭和末期にはいわゆるバブル経済になって膨らむだけ膨らんでいき、やがてそれがはじけて「バブル崩壊」ということになっていってしまうのだ。
だけどそれでよかったのかもしれないし、虚構が膨らみ続けていったら大爆発を起こしたかもしれないところで、上手にしぼんでいったのかもしれない。まぁ、今思えば…ということではあるのだけれどもね。
それでも、そうした時代を喜んだり悲しんだり、はしゃいだり塞ぎ込んだりしながらも、飛んで跳ねてひっくり返ったりしながら、何とか生きてきてのだ。生きてこられたということは、何かしらを残してきたということでもあるのだ。
そうやって、今度は平成という時代を、大人になって過ごしていくのだけれども、自分も分別ができてきた分、昭和時代ほどには刺激がなかったのかもしれない。それでも、やはり生きていてよかったと思いつつ時代を過ごしてこられたことは、少なくとも倖せだと思っていいのではないだろうか。
昭和の日を前に、自分自身が生きてきた道そのものも、少し思うことは、決して悪いことではないよと言う気はしているのだ。




