自分でも不思議に思うのだけれども、ボク自身必ずしも好きではないホラー映画というジャンル。それなのに、何故か劇場にかかっていると観に行ってしまう。怖いもの見たさという好奇心もあるのかもしれないし、表向きには「好きではないんだけれどもなぁ」と言いつつ、実は興味津々のジャンルなのではないだろうか…。なんてことも思っている。
夏の怪奇話が多い季節ならばわかるのだけれども、今、神保町シアターでは「怪異と映画」のタイトルで「こわいはおもしろい」のキャッチフレーズでホラー作品群が上映されている。
古くは溝口健二の名作『雨月物語』(1953年・大映作品)や山本薩夫監督の『牡丹灯籠』(1968年・大映作品)に滝田洋二郎監督作品、夢枕獏原作の『陰陽師』や新しいホラーブームの火付けとなったと言われてい。そして、今やホラー作品の旗頭となって、この手の作品の一番手の中田秀夫監督の出世作『リング』(鈴木光司・原作)などがプログラムに組まれていた。
2001年公開の 『陰陽師』は実在した陰陽師と言われている安倍晴明を描いた夢枕獏の伝奇小説で、その映画化でもある。野村萬斎が安倍晴明で都を守ろうという立場の陰陽師。そして当時は『海猿』の主演などで全盛期での人気だった伊藤英明。さらには悪役というか、安倍晴明と対決する悪役というか、都を替えようと画策するのが真田広之で、これはすさまじい迫力だった。そして、小泉今日子に今井絵理子なども出ていて帝役は岸部一徳という豪華キャスティングである。
植村伴次郎が総合プロデューサーとして筆頭で名前が出てくるのだけれども、当時としては東北新社の社運を賭けたと言ってもいいくらいの作品だったのだろう。特撮もふんだんに用いられており、その映像シーンが多少の無理や辻褄が合わないところも、何となく納得して観られてしまった。大化の改新から150年後に平安京が成立したということにも、初めて気がつかされた。日本史は、比較的好きだったはずなんだけれどもねぇ(苦笑)。
終わってみれば、上手に収まっていたのかなぁという印象だった。
『リング』はテレビ画面から貞子という女が這い出てくるシーンが話題となったのだけれども、思えば今から29年前の1997年公開作品でもある。「そうか、主演は松嶋菜々子だったか」ということを思い出しつつ、内容的には子どもの頃に一時的に流行ったというか、話題になった「不幸の手紙」のビデオ版みたいな内容だったんだなと思った。1997年作品だから、多分当時のボクは劇場では見落としていたと思う。ただ、テレビでのOAか何かで作品は一応観ていたような記憶もあった。
ホラーというよりも謎解き的な要素もあったのだけれども、象徴的な貞子がテレビ画面から這い出てくるというショッキングな映像シーンは、確かに今観ても気色悪いというか、ゾクッとしてしまった。そういう意味では、ホラー作品としては傑作と言えるのかもしれない。なんて言うことも思わせてくれた作品でもあったのかなぁ。
実は今、NHKの朝ドラでラフカディオ・ハーンというか小泉八雲の生涯を描いた『ばけばけ』が放映されているけれども、小泉八雲こそ、日本の怪談の面白さを広げ伝えた人物と言ってもいいのだが、その怪談の面白さを伝えたのが、妻となる小泉セツだったのである。そして、今回のプログラムには小泉八雲原作の『怪談』(1964年、小林正樹監督作品)も組まれていた。「耳なし芳一」や「雪女」などの短編がオムニバス的に描かれている作品である。



