久しぶりに渡哲也の‟人斬り五郎“を、神保町シアターで観た | (株)ジャスト・プランニングも、何だかんだで15年目を突破した

(株)ジャスト・プランニングも、何だかんだで15年目を突破した

ついこの間始めたばかりだと思っていたこの会社も、干支で言うとひと回りを越えて、15年目に突入してしまった。その間には、コロナ禍や事務所の引っ越しも含めていろいろなこともあったかな。そんなことを思うと、まあ、よくここまで持っているかなというところだろうか。

 日活アクションの晩期というか、日活が大映とのダイニチ映配となる前の、日活アクション最後のアダ花とも言われているのが、渡哲也が主演した‟人斬り五郎”シリーズである。全5作あるのだけれども、ことに1作目と2作目の退廃感というか組織に属さない一人ヤクザの戦いは、組織への大義名分とされている義理人情ではなく、自身が許せないということでのいわゆる私怨からの殴り込みというか、独り身で相手組織に立ち向かっていくということで、そこがクライマックスの最大の見どころとなっている。

 その‟人斬り五郎”シリーズの2作目でもある『大幹部・無頼』(1968年・小沢啓一監督)が神保町シアターのプログラムに入っていたので、迷わず足を運んだ。このシリーズ5作は、かつてすべて観ているけれども、最近はあまりかかることがない。それなので、ボクとしても「久々だなァ」、と思って迷わず足を運んだ。

 ただ、今回の神保町シアターの特集は渡哲也や日活アクションではなく「女優魂」ということで、メインサブ含めて、女優にスポットを当てていた。『大幹部・無頼』ならば、当然、松原智恵子だろうと思うのだが、今回はそうではなく、芦川いづみということである。役どころとしてはショーの踊り子だったのが、興業師やマネージャーらに騙されて、やがてヤクザの情婦に身を落としていくという役どころだ。清純派のイメージの強い芦川いづみとしては珍しい役でもある。

 また、この作品では渡哲也の相手役の松原智恵子以外にも松尾嘉代、梶芽衣子になる前の太田雅子、そして真屋順子なども出ており、案外女優陣も大事な役を担っていた。そういう意味では、‟人斬り五郎”シリーズの中でも、いくらか異彩を放っている作品とも言えようか。

 ‟人斬り五郎”シリーズのモデルは実在した藤田五郎という一匹狼のヤクザだと言われているが、役名では藤川五郎となっている。基本的理念としては、「自分の正義と義理と人情の中で許せない」ということで、「私怨」で持って、敵対組織に立ち向かい殴り込みをかけていくという姿勢である。

 そして、ヒロイン松原智恵子の存在がそこで描かれている世界に対して、あまりにも場違いな可憐さが、妙に切なく感じさせてくれるのだ。世話になった先輩が、組織の裏切りによって刺殺されたことを知り、その私怨を果たすために単身殴り込みに行く。その日の朝、朝の支度をしていた松原智恵子に対して「帰ってきたら、温けぇ味噌汁頼むぞ。お前の味噌汁、旨ぇからなぁ」という言葉を残して去っていく。

 この作品ではテーマ音楽だけで歌詞はなかったが、以降、主題歌となっていく「♬やくざの胸は なぜに寂しい ……黒匕首一つ 胸に秘め…」という“無頼シリーズ”の主題歌とそこに映し出される松原智恵子の可憐さのアンバランスな感じもまた、一つの魅力でもあった。尚、この主題歌レコードは、その後に発売禁止になっている。今でいう、反社会勢力の賛美になるということだったらしいが、そんな中での作品だったというところも、大人の娯楽としてのやくざ映画という存在があったのであろう。こうした日活のアウトロー映画路線の作品は、東映の任侠映画やその後の実録映画ともまた存在を異にするもので、独特の味わいがあったのだ。

 そして、渡哲也自身も、ポスト石原裕次郎としての存在を示していた。そういえば、石原裕次郎のヒット作のリメイクとなった『嵐を呼ぶ男』(1967年・舛田利夫監督)もある。裕次郎作品では主人公のドラマーのマネージャー役が北原三枝だったけれども、渡哲也版では辣腕女性マネージャー役が芦川いづみだった。ちなみに、芦川いづみは裕次郎版でも出演している。その時は確か、下宿先の娘役だったのではなかったかなと記憶している。