高校野球は夏本番へ向けて、最後の調整機関での練習試合 | 週刊テヅカジン

週刊テヅカジン

手束仁が語る、週刊webエッセイ

 6月も半ばになって、夏の選手権大会の各地区大会開幕を約1カ月後に控えている高校野球。各地で、本番を想定した試合や、ベンチ入りの塘路真メンバーを競うチーム内の争いも熾烈を極めてきている。

 そうした中での、一つひとつの練習試合はとても大事になってくる。

常葉大菊川をイメージした甲府西と青が基調の川越東

 埼玉県の有望私学の一つ川越東では山梨県の進学校甲府西を迎えての試合となった。私学男子校の進学校でもある川越東は、基本的には土曜日も毎週4限まで授業があるので、土曜日の練習試合は午後からということになる。それでも、野中祐之監督は「せっかく甲府から来てもらっているので1試合だけでは申し訳ない」という思いもあって、可能な限り2試合目もやろうということにしている。

 

川越東300 000 002=5

甲府西001 000 001=2

 

甲府西000 000 0=0

川越東000 250 X=7 (7回打ち切り)

 

 川越東は各学年13クラスで在校生は1学年420~30人以上いるマンモス校である。埼玉県内では人気の私学ともいえる。野球部も今年は39人の新入部員が入り、総勢117人という大所帯だ。それでも、野中監督は「去年はこの時期131人いましたから、117人でも多いと思えなくなってきた」と苦笑するが、おそらく埼玉県下では最大規模の野球部であろう。

川越東の選手たち

 学校自体の施設も充実しており、野球部は第三グラウンドと言われている専用球場を保有している。ラグビー部も強豪で花園出場経験もあるが、整備されたグラウンドで練習している。また、体育館はバスケットボール都が6面取れるというし、テニスコートは10面取ることが出来るという。陸上も400mトラックが確保できている。

 さらに、驚くのは、学校保有のバスの多さだ。キャンパスにはバス会社ではないかと思えるくらい10台以上のスクールバスが停車している。学校の場所がいずれも最寄駅からは遠いので、スクールバスは大宮、川越など主要駅で手配されており、県内では唯一スクールバス無料というのも同校の売りになっているようだ。そんなこんなで多くの生徒が集まってきている学校で、男子校ではあるが、それほど硬派というイメージでもない。そういう意味では、生徒たちの居心地のいい学園と言ってもよさそうだ。

甲府西の選手たち

 甲府西は、今年は1年生が9人が入部したというが、就任2年目の柏木和洋監督は、学校にも交渉して進学校ではあるが、ある程度の学校裁量でのスポーツ推薦枠を設けてもらい、野球実績も評価の対象として(もちろん、学業成績は大事だが)入学もありということになったようだ。柏木監督自身は都留から筑波大へ進み、さらには日本生命で社会人野球を経験した後、「高校野球の指導をしたい」という思いで、地元の山梨県に戻ってきた情熱家だ。母校で監督を務めた後に、甲府西に赴任してきた。全県一学区なので、可能な限り中学生に声をかけて今の時代の部員確保にも尽力している。

予定していた3イニングをしっかりと投げた川越東の左腕宮城君

 試合は、川越東が仕上がりの良さを示していた。6人の投手が投げて、いずれも無難な内容だった。野中監督は「ベンチ入りを競い合っている同士が、それぞれいいアピールをしてくれている」と、嬉しい悩みでもあるようだった。

 今年の卒業生もそうだが、野球部員たちは、ほとんどが一般入試でそれぞれ志望の大学へ進学している。理系も比較的多い。野中監督は、そうした生徒たちの野球だけではない成長も誇りだという。

先発して8イニングを投げて初回の3失点のみに抑えて好投した甲府西・古屋君

 甲府西は「どうしてもチームとしては下級生たちとなってしまうのだけれども、まだまだ経験を積んでいって欲しい」とどん欲だった。1試合目に先発して8回を投げた古屋君は、身体もしっかりと出来ているという印象だった。初回の立ち上がりこそ、ちょっとバタついて3失点したが、2回から8回を0に抑えた投球は悪くなかった。守りも、しっかりといい練習をしてきているなと感じさせてくれた。

 この夏もさることながら、1、2年生が経験を積んでいかれれば、夏以降の新チームへの期待も広がっていきそうだ。