半田北部グラウンドで「大府・加藤学園・愛知」の変則ダブル | 週刊テヅカジン

週刊テヅカジン

手束仁が語る、週刊webエッセイ

 高校野球にとって、最も大きな大会ともいえる、夏本番の第106回全国高校野球選手権の地区大会の開幕まで地区によっては1カ月を切っている。今月末の28日に開幕(この日は開会式のみで、試合は翌29日から)する愛知大会は、あと3週間である。

大  府005 030 000=8

加藤学園200 110 000=4

 

加藤学園200 000 000=2

愛  知010 300 00X=4

 

大 府011 000 000=2

愛 知200 000 000=2

加藤学園・大府の試合前あいさつ

 来週末には組合わせも決まって、いよいよ緊張感が高まってくる時期である。愛知県半田市の半田北部グラウンドでは、大府が春季静岡県大会優勝の加藤学園と、愛知を迎えての変則ダブルとなった。夏本番へ向けて、今のチームとして、春の課題がどこまで対応できているのかということの確認や、この先3週間で詰めていくことの確認を含めての大事な期間ということになる。

 また、静岡大会も22日に組合せ抽選会となっている。2年連続、春季県大会優勝で第1シードとして夏を迎える加藤学園としては、いよいよ悲願の甲子園初出場へ向けて、機は熟してきていると言ってもいいのではないかというチーム状況でもあると感じられる。

大府・長野晴太君

 ただ、加藤学園の米山学監督は「自分達はそんなに強くはないんだということは、いつも言っているのですけれども、どうしても受けてしまうというか、春に優勝しているということを意識してしまっているところがあるのでしょうか。負けてもいいということではないのですけれども、自分たちの弱点というか、そんなところを見つけていくところも大事なことだとは思っています」という思いでもある。

 県大会後の東海大会では愛知県2位ながらこの大会で優勝する中京大中京と初戦で当たり、敗れてしまったのだが、その試合で好投した山田晃太郎君がこの日の大府との試合で先発したが、失策から崩れてビッグイニングを作ってしまったことは反省材料の一つでもあろう。

 また、愛知との試合では1番を予定している小澤亨彦君が2イニングながら、気合の入った投球で存在感を示した。注目の好捕手片山晴貴君は、2試合で9打数4安打、二塁打と本塁打も放った。

 試合結果としては、2試合と負けという形にはなったものの、試合としての収穫は大きかったと言っていいのではないだろうか。愛知との試合で先発した、左腕森虎太朗君に関しては、9位はあるが請求には不安を残していたが、米山監督は「必ずしも今がピークでなくてもいいと思っています。それだけに、この先の進路をしっかりと考えてあげなければいけません」と、言う思いである。しどうしゃのそうした姿勢もとても大事なのだと改めて感じさせてくれる一言でもあった。

グラウンドインした愛知の選手たち

 大府は、注目のエース長野晴太君が、いきなり連打されて失点ということもあったかと思うと、ズバッと抑えたりもするという投球で中嶋勇喜監督も「いいんだかよくないんだか、ちょっとわからない状態でしたね」と苦笑していた。それでも、貰ったチャンスにしっかり得点していけたということは、戦い方としては悪くはないと言っていいであろう。

 愛知は、飛田陵佑監督が「打球方向によって、走者はどうするのかという基本的なルールは、チーム内では決めているけれども、ほとんどノーサインです」というスタイルでの戦いだった。そんな中で、失敗はしたものの本盗にもトライした。アウトを恐れない積極的な走塁は、チームに元気と勇気を与えていたと言ってもいいであろう。

 

加藤学園・小澤亨彦君

 また、大府と愛知の試合は、夏以降の新チームのことも意識して、下級生中心での試合となったが、そんな中でも「与えられた状況で、今やれることをしっかりとやって行く」ということを示していき、愛知はいい雰囲気での戦いが出来ていたなという印象を与えてくれた。終わってみたら、大府は1安打のみ。四死球などでチャンスを貰って特典もしていたが、中嶋監督は「これだけチャンスを貰っていながら、あと一本出せないのは、まだまだチームとして甘いということです」と、大いに課題としていた。

 いずれにしても、夏本番へ向けてはそれぞれの選手たちが、今の状況でやって行かれるベストを出していく日々が続いていく。