第103回関東学生対校陸上の10000mは男女とも外国人留学生が圧勝 | 週刊テヅカジン

週刊テヅカジン

手束仁が語る、週刊webエッセイ

 国立競技場で5月9日から始まった第103回関東学生陸上競技対校選手権大会(通称関東インカレ陸上)の初日には、男女の10000m決勝があったので「どんなもんかなぁ」と思って観に行ってきた。国立競技場は、1月の途中で雹も降ったりした全国大学ラグビー決勝以来である。

 見やすいのか見づらいのか、わからんスタジアムではあるが、陸上競技という点で言えば、見づらくはなかったかなというのは正直なところだ。まあ、どこに座るのかというところもあるけれども、この日は全席自由席で、そんなに混雑しているわけではないので、種目に合わせて移動しながらの観戦となった。

 男女100mの予選や400mの予選に中距離の1500mの予選に女子走り高跳びや男子棒高跳びなどのフィールド種目もあった。トラック種目としては、この日のメインともいえるのは夕方5時スタートの女子10000mとその後の男子10000mの決勝であろうか。

途中までは、不破聖衣来(拓大4年)が2位集団を引っ張っていた

 女子は、30分45秒21の日本歴代3位の記録保持者で、2021年の全日本大学女子駅伝では5区で区間新記録をマークするなどして、注目されていた拓殖大の不破聖衣来(4年・健大高崎)が故障などで、出場できなかったりしていたのだが、4年生になって復帰。さて、どんなレースをするのだろうかという興味もあった。

 また、大東文化大にはケニアからのスーパー留学生のサラ・ワンジル(2年・帝京長岡)がいるということで、彼女がどんな走りをするのかも注目だった。

終始リードし続けてぶっちぎったサラ・ワンジル(大東文化大2年)

 いきなりワンジルが飛び出したレースは、それを不破や城西大の高橋葵(3年・日体大柏)、白木ひなの(2年・山田)、亜細亜大の高橋朱穂(4年・本庄第一)らの2位集団が追いかけるという展開になった。とはいうものの、序盤で100m以上も開いていき、絶対的な能力の差はいかんともしがたいという展開だった。結局、ワンジルがぶっちぎりで優勝。2位をも周回リードという大勝だった。

 不破は、中盤は2位でワンジルを追っていたが、7000mあたりから失速して、最終的には33分40秒20で9位となってしまった。

 

【女子10000m決勝】結果

1       サラ・ワンジル(大東文化大2年) 32分02秒87

2       高橋葵(城西大3年) 33分29秒22

3       長島奈南(城西国際大2年) 33分30秒28

4       高橋朱穂(亜細亜大4年) 33分31秒55

5       白木ひなの(城西大2年) 33分34秒01

6       金子陽向(城西大2年) 33分34秒79

 

 男子も、結果的には山梨学院大のケニアからの留学生のジェームス・ムトックが5000m過ぎからは大きく飛び出していった。8000m過ぎには、城西大の平林(4年・拓大一)やケニアからの留学生のキムタイや中央大の溜池(3年・洛南)などが追い上げかかって、レースとしては残り1000mを切ったあたりからは面白く白くなるかと思ったが、むしろ、そこからまたしてもギアを上げたムトックがそのまま逃げ切った。

男子は山梨学院大のムトックが序盤からリードする

【男子10000m決勝】結果

1       ジェームス・ムトック(山梨学院大3年) 28分02秒29

2       平林樹(城西大4年) 28分03秒13

3       ヴィター・キムタイ(城西大3年) 28分04秒93

4       溜池一太(中央大3年) 28分07秒82

5       花田寿哉(東海大3年) 28分08秒26

6       石田洸介(東海大4年) 28分08秒29

 

 1500mの予選や4×100mリレーの準決勝なども、見ていてとても面白かった。リレー独特の雰囲気、特に こうしたインカレの場合は「学校対校」の意識が高まるのか、その緊張感とスタンドの盛り上がりもいい。ちなみに決勝進出は2組の上位3校中央、早稲田、日大と1組の上位3校大東文化、順天堂、東海と、タイムで明治と筑波が残った。いずこも学生陸上の名門と言っていい。

スタンドから仲間に声援を送る様子もまたいい

 インカレの楽しみのもう一つとして、スタンドから部員たちが仲間の応援する姿がとてもいいと思ってしまう。いかにもインカレだという空気を味わえてよかった。そして、そんな中で干支にしてボクよりも4回り近くも若い彼らの姿をまぶしく見つめていた。

女子4×100mのバトンタッチの緊張感