ここまで全勝の東芝の赤い壁を、キャノンは突破できず完敗 | 週刊テヅカジン

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手束仁が語る、週刊webエッセイ

 ここまでJapanラグビーリーグONEでは、全勝を続けているのは、当初から優勝候補筆頭に挙げられていた埼玉ワイルドナイツ(パナソニック)と、東京ブレイブルーバス(東芝)だけである。東京BLの東芝は、前身の東芝府中時代からの強豪で創部76年となる。府中市にラグビーを根付かせた存在といってもいいであろう。

観客発表数は13,581人だった

 ボクとしては、JapanラグビーリーグONEとなってからの新チーム名よりも、東芝の方が馴染みがある。対する横浜イーグルスも、ボクとしてはキャノンの方が馴染みはあるんだけれどもなぁ…。なんて言っていると、新しいシステムを取り入れていないオヤジと思われてしまうのだけれどもね(苦笑)。昨季の3位キャノンとプレーオフ進出を逃して悔しい5位となった東芝。今季の対戦も好試合が期待された。

 

東京ブレイブルーバス東芝 27(15―0/12―7)7 横浜キャノンイーグルス

同じ赤が基調だが、この日は東芝のホストゲームなので、キャノンは白のセカンドジャージ

 この日の試合は、聖地ともいえる秩父宮ラグビー場で、東芝のホストゲームという形で開催された。東芝としては、ここまで全勝でもあり、負けられない一戦でもある。とにかく、埼玉WKと当たるまでは全勝で行きたいというところであろう。

 1トライ差を争うような息詰まる僅差の試合を期待していた。それだけに、キャノンは最後のロスタイムのトライ一本のみの結果でワンサイドになってしまったのは、ちょっと残念かなという印象だった。

3分、東芝の佐々木剛(八戸西→大東文化大)が先制トライ

 東芝は早々の3分に素早い攻撃で22mライン内から左展開でFL⑦佐々木(八戸西→大東文化大)が左中間に抑えてトライし、ゴールも⑩モウンガ(NZ)が決めて先制する。さらに、15分にはオーブンパントをWTB⑭桑山(鹿児島実→早大)がキャッチして大きくゲインし、切れ込んできたCTB⑫マクカラン(NZ)に繋いで抑える。そして、29分にはゴール正面PGも決めて15対0。それでも前半のボール支配ではキャノンは五分五分以上ではないかとも思われた。しかし、東芝の赤い壁が立ちふさがり、最後を突破しきれないまま前半終了となった。

スクラムを組もうとする白のキャノンと赤い壁の東芝

 後半に入ってすぐに、キャノンは⑧アマナキ(トンガ、花園大)がシンビン退場。これでキャノンはますます苦しくなったが、この10分間はよく辛抱した。しかし、復帰した直後の58分、自陣でこぼれたルーズボールを⑩モウンガが拾って80mを走り切って独走トライ。ゴールも自身で決めて東芝はリードを広げる。

 後半は防戦一方だったが、60分過ぎから、ようやくキャノンも攻め入る。しかし、あと5~10mが攻め切れない。東芝の厚い赤い壁を突破しきれない。そして、77分に東芝は自陣22m内からインターセプトで一気にハーフライン近くまでゲインして、WTB⑭桑山に渡るとそのままトライとなった。

キャノンのSO⑩田村優(國學院栃木→明大)、この日はあまり活躍の場がなかった

 それでもキャノンも最後、ロスタイムに入ったラストワンプレーで執拗に攻めて、WTB㉒ローハン(南ア)が何とかトライを奪い一矢を報いた。しかし、キャノンとしてはほとんどいいところがないままの試合となってしまった。このままだと上位4強のプレーオフ進出も厳しくなってきたようだ。

安定したキックを見せた東芝のモウンガ(NZ)