春の全国選抜大会へつながる、関東高校ラグビー新人大会 | 週刊テヅカジン

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 関東地区1都7県の新人大会の決勝へ進出した上位2校、16校が集結して開催される関東高校ラグビー新人大会。今年は、前半の1~2回戦が千葉県成田市中台の重兵衛スポーツフィールド。準決勝、決勝が水戸市のスポーツフィールドで開催される。

 代表16校のうち、栃木県の佐野日大を除く15校が花園予選の代表決定戦に進出している同じ顔ぶれ。これは全国的な傾向でもあるのだけれども、それだけ高校ラグビーの場合は、上位校が固定されてきているということであろう。

 

流通経済大柏【千葉・1位】14(7-21/7-18)39 東海大相模【神奈川・2位】

昌平【埼玉・1位】17(14-0/3-21)21 目黒学院【東京・2位】

明和県央【群馬・1位】80(52-5/28-14)19 日川【山梨・2位】

茗溪学園【茨城・1位】33(26-0/7-0)0 川越東【埼玉・2位】

 

 初日の1回戦は、球技場と陸上競技場の2会場で、それぞれ4試合が組まれていた。ボクは、球技場の「流通経済大・東海大相模」と「昌平・目黒学院」というカードに興味があったから最初は球技場の方で観戦することにした。國學院栃木も観たいと思っていたけれども、4試合目は「茗溪学園・川越東」の試合がある陸上競技場にした。

白に赤ラインの東海大相模と今季から大学と同じ朱色となった流経大柏

  1回戦では屈指の好カードと思われた「流通経済大・東海大相模」の試合は、期待通りの好ゲームとなった。10分、13分と東海大相模がBKの素早い展開で2本リード。CTB⑫中尾君の好判断が光った。さらに25分にもNO⑧が力技で持って行った形で3本目のトライ。それでも流経大柏も29分、ラインアウトからモール、崩れかかってもう一度立て直しながら押し込んでトライ。1本を返した。

 後半、最初のアクションがどうなるのかというところだったが、東海大相模は4分、6分と手堅くPGを相次いで決めてリードを広げていく。これが、相手に対してのプレッシャーにもなっていったようだ。23分と28分にトライを追加してリードを広げる。

 反撃したい流経大柏はロスタイムに入ったが「何とか1本返して終わりたい」という気迫が伝わってくるプレーもあった。22m内、再三の攻撃から1本もぎ取っていった。この執念は見事だった。

 それにしても、関東大会の1回戦は多くの場合1位校が勝利するのだが、神奈川2位校の東海大相模は快勝だったといっていいであろう。それだけチーム力が高いということである。

目黒学院のエンジは伝統の色、深緑は近年躍進中の昌平

 「昌平・目黒学院」は、前半3分に左15mのラインアウトからモールを作って、FWが一段となって前へ進んでいき、昌平があっさりとトライを奪って先制した。ゴールも決めた。これで、前半は昌平の主導権で試合は進んでいく。ただ、目黒学院もここからはよく堪えて、攻め込まれながらもDFがよく堪えていた。

 それでも20分に敵陣に少し入ったところから、スピーディーなBK展開で一気に前進してそのままトライ&ゴール。昌平にとっても大きな1本だった。目黒学院も何とか反撃するものの、前半はついぞ相手DFを突破しきれなかった。

 後半も開始早々から昌平が攻めるが目黒学院も堪える。そして、耐えていた目黒学院は13分攻め切って得た好機にNO⑧ロケティ君が力技でトライを奪う。さらに、17分にも22mライン内からBK展開でトライ&ゴールで同点とした。

 これで、残り10分強の攻防が見どころとなったが、27分に昌平がPGでリードを奪う。目黒学院にとっては痛いゴール前の反則だった。しかし、反撃する目黒学院は30分に今度はSO⑩及川君のゴロパントで相手ゴールに攻め込んで、NO⑧ロケティ君が押さえてトライ。正面のゴールも⑮中村君が 決めて、目黒学院の逆転でノーサイド。東京2位の目黒学院が2回戦進出となった。

日川(赤黒)と明和県央(白に紺ライン)のスクラム

 山梨県では17大会連続で花園出場を果たしていた常連の日川。しかし、今年度は山梨学院の躍進にあってついに連続出場が途絶えた。そして、この新人大会でも山梨学院に敗れて、県内常勝の牙城が揺らいでいる。新チームは選手も18人と層が薄いのは否めない。名門にしても時代の流れの中で苦しい局面を味合わされているようだ。

 群馬の明和県央は、最近は桐生一と勢力を二分している。花園にも2大会連続10回目の出場を果たした。勢いのあるチームだ。その差がそのまま出てしまい、明和県央は前半だけで8トライ6ゴールで52点。ほぼ勝負の行方を決した。後半も4トライ&ゴールで圧倒した。それでも、日川も前半28分に1トライを奪う。後半にも15分。22分とBKが堪えて運んでいい形のトライを返した。しかし、結果的にはそこまでだった。

紺・青の伝統のジャージの茗溪学園と紺地に黄色ラインの川越東

 3試合目が終わったところで陸上競技場へ移動した。茨城県の名門でラグビーがスクールスポーツでもあるという茗溪学園に対して、近年躍進してきた川越東がどこまで食い下がれるのか。ちょっと期待の試合でもあったのだが、結果的にはノートライ。前半、茗溪学園はイターセブトによるトライやパントチャージでそのまま抑え込むなど4トライ3ゴール。ワンサイド気味の戦いとなった。茗溪学園は、何となく大人のラグビーという雰囲気だった。

 それでも、後半は川越東もよく堪えて1トライ&ゴールに抑えた。しかし、ついぞ茗溪学園DFを突破することは出来なかった。

 結果的には1位校が6校、2位校は2校が2回戦進出を果たした。埼玉県勢と千葉県勢は姿を消した。トップ校とそれを追う学校との力の差も、より開いてきているのではないかという気もするのだ。