「何でこういうことになってしまうんだ」と、残念でならない日大アメフト部などのニュース | 週刊テヅカジン

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手束仁が語る、週刊webエッセイ

 高校野球の甲子園の戦いが報じられる一方で、スポーツ界で連日スポーツ新聞や一般紙の社会面までを賑わせているのが、日本大学アメリカンフットボール部の違法薬物所持問題だ。日大アメリカンフットボール部は、5年前に関西学院大との春の定期戦の試合において、悪質タックル問題から端を発して、学内上層部の不祥事なども明るみにされていった。

 そのことで、大学側は理事長などの上層部の総入れ替えを行って、代わって理事長に就任したのが、作家の林真理子だった。

 林真理子に関しては、作家としてボクはファンでもあるし、週刊文春などにも連載していエッセイなどでも、社会現象ウォッチャーとして、大いに同意することがあり、その視点が好きだった。

 ただ、芸術学部出身の彼女は、日大の根幹的な位置づけである経済学部や商学部、文理学部などの学生の多い、体育会体質の部分とは、やや異なるのではないかという気はしていた。それが、先の会見での「学内のスポーツ分野には遠慮もあった」という発言にもつながったのではないかとも思っている。

 日大の運動部としては、アメリカンフットボール部と相撲部、ゴルフ部はいわば、3大看板部とも言っていい存在である。さらには、東都大学リーグでも何度も優勝実績のある野球部はもちろん、箱根駅伝を制したこともある陸上競技部や、池江璃花子も在籍していた水泳部、日本一の実績もあるバスケットボール部など、幾多の運動部が華やかな実績を残している。

 その一方で、林真理子も卒業している芸術学部は、深作欣二や山本晋也や爆笑問題ら多くの映像演出家や作家、俳優などを輩出しているが、日大本体とは少し異質の部分でもあるのだ。芸術学部は、通称「日芸」とも称されて、日大の中でもいわば独立した形の存在となっている。そういう意味では、日芸出身の林真理子が理事長に就任したことに驚きもあったのも確かだ。

 林真理子は、理事長就任後にも、エッセイなどで自身の考えや思いを発信し続けていた。ボク自身は、応援していただけに、こうした形で追及されていく姿は、少し残念だし気の毒だとも思っている。

 

 話は変わるが、日大アメリカンフットボールでカリスマ篠竹幹夫監督が率いていた時に、一度取材でお邪魔させていただいたこともあった。目の前で見たのは、客に対しての「お茶の出し方が悪い」ということで、マネージャーがぶっ飛ばされたシーンだった。ぶっ飛ばされ馴れているであろう当人よりも、ボク自身の肝が冷えた。また、試合では、パスの判断を誤ったQBを呼びつけると、手にしていた杖でヘルメットごとその頭に叩きつけた。「同じ失敗を2度するということは、その人間性を疑うぞ!」ということだったが、その際に杖が真っ二つに折れて飛び散ったのを見たときも腰が抜ける思いでぞっとするくらいだった。自分は、そこの世界に耐えられないかもしれないけれども、そういう世界があることに畏敬の念を抱きながら心が震えていた。

 そうした世界の日大体育会体質と、日大芸術学部の世界は、やはりお互いに理解し合えることは難しい、異質なのではないかとは思うのだ。

 ところで、違法薬物問題は日大アメフト部だけに限らず、学生ボクシングの名門でもある東農大のボクシング部、東海地区で躍進著しい朝日大のラグビー部にまでも波及している。正直、「大学の運動部で、何でこういうことになってしまうんだ…( ;∀;)」と、ちょっと嘆かわしい。

箱根駅伝の写真は、イメージ