東洋大の躍進で、関東大学ラグビーにニューウェーブか❔ | 週刊テヅカジン

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手束仁が語る、週刊webエッセイ

 最終日となった関東大学ラグビーリーグ戦だが、今季は二部から上がったばかりの東洋大と立正大が大躍進。ともに、上位争いに残るなどしてリーグ戦を大いに盛り上げた。11月の最終日曜日は、その最終戦が開催された。前年の上位4校が秩父宮でぶつかり、下位4校が江戸川陸上競技場でぶつかった。今年に限って言えば、江戸川の試合の方に興味があった。

立正大(橙)と東洋大(紺)のスクラム

 二部から上がったばかりの東洋大は9月の初戦で連覇を継続している東海大を下したところから始まり、今季の台風の目となった。ここまで、4勝2敗の勝ち点18で3位。大学選手権出場権獲得も視野に入っている。4位の日大に勝ち点で3つリードしている。その日大と勝ち点で並んでいるのが昨季は二部優勝で一部昇格した立正大だ。得失点の関係で5位となっているが、3勝3敗は大健闘だ。

 そんな二部から上がった同士だが、今季の台風の目対決で、とても楽しみにしていた。

それぞれの校歌斉唱。東洋大と立正大

 

東洋大 34(26―7/8―14)21 立正大

 

 好天気に恵まれた江戸川陸上競技場。風は少し強いが、プレーに影響するほどではなくてとても心地よい。入場口前にはキャンピングカーも出ていて、かつての光景が戻ってきたかなという感じだ。ビール、酎ハイなどのアルコール類も販売していた。

 試合は序盤、東洋もいくらか硬かったのか立正が攻めて、10分以上は攻め続けていた。そして12分、立正はゴール正面スクラムから右展開で、さらに密集となってLO➄田代君(2年・八戸西)が抑えた。さらに⑩吉永君(4年・九州学院)のゴールも決まった。

 しかし、東洋もその2分後、SH➈神田君(4年・東筑)が抜けてトライ。⑪杉本君(3年・東京)がゴールを決めて同点。そして、その後は、東洋が試合を支配していく展開となり、29分には左5m付近のラインアウトでFL⑥タニエラ君(3年・目黒学院)から出てHO②谷名君(4年・延岡星雲)が抑えた。さらに、32分にもSH➈神田君が持って右へ展開してFL⑥タニエラ君が抑えてトライ。いずれもゴールも決まって21対7。さらに、40分にもFWを中心に攻め込んでFL⑥タニエラ君がトライを決めた。

ラインアウトでボールキープする立正大

 

 後半の最初の得点も、3分に東洋がPGで決める。さらに10分、東洋は右10m付近からのラインアウトからモールでボールをキープ。そのまま進んでHO②谷名君が再び抑えてトライ。ゴールはならなかったが、これで34対7と、3TG以上の差をつけた。

 ところが、ここから立正が反撃していく。15分に左15m付近のラインアウトから右展開で、FWも参加した形になりFL⑳國松君(4年・深谷)がゴール左にトライ。30分にもラインアウトからモールを作っていくという同じような展開で、RW⑭大月君(4年・新潟工)が左隅にトライ。角度があって難しいゴールも⑩吉永君が決めて、2本のトライ&ゴールで逆転可能というスコアで、残り15分。

 ここからは、お互いの激しい攻防となった。ことに、東洋は、どちらかというと後半の終盤はDFに終始していたけれども、何とかこらえていき、前半のリードをキープしきった。

 これで、東洋は関東大学リーグ戦3位校として、1959年の創部以来初めての全国大学ラグビーに進出していくこととなった。

 この試合のPOM(プレーヤーズ・オブ・マッチ)に選ばれた東洋大の⑪杉本海斗君(3年・東京)は「ボクたちの戦いは。まだ続くので、これからもよろしくご声援、お願いいたします」と、コメントしていて、この先の全国選手権を見据えていた。東洋大の勢いは、まだまだ収まらない。

 立正大も二部から上がった直後のシーズンで、3勝4敗は好成績と言っていいであろう。

 今季の、この2校の活躍によって、関東大学ラグビーのリーグ戦グループは、来季はますます混戦になっていきそうな気配である。