キネマ旬報社の2020年ベストテン発表、1位は『スパイの妻』 | (株)ジャスト・プランニングも、何だかんだで15年目を突破した

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ついこの間始めたばかりだと思っていたこの会社も、干支で言うとひと回りを越えて、15年目に突入してしまった。その間には、コロナ禍や事務所の引っ越しも含めていろいろなこともあったかな。そんなことを思うと、まあ、よくここまで持っているかなというところだろうか。

 2月は、さまざまな映画賞の発表月でもある。つい先日には、キネマ旬報社のベストテンや個人賞が発表された。

日本映画ベスト・テン

1位『スパイの女』(黒沢清・監督)  2位『海辺の映画館~キネマの玉手箱』(大林宣彦・監督) 3位『朝が来る』(河瀨直美・監督)

読者選出ベスト・テンは、1位『天外門』(田中光敏・監督)  2位『ミッドナイトスワン』(内田英治・監督) 3位『コンフィデンスマンJP  プリンセス編』(田中亮・監督)が選出さた。『スパイの妻』は4位となった。5位が『罪の声』(土井裕泰・監督) となっていた。

 映画のベスト・テンというのは、野球のタイトルのように、明解に数字で示されているものではない。また、スポーツ記者投票で選出されるベストナインなどとも、システムは似てはいるものの、本質的には異なるものである。それぞれの選出者の好みや思いが反映されていくことは否めない。だから、ベスト1位が必ずしも、その年の一番の映画ということにはならない。

 とは言うものの、多くの選者のポイントが高く集まったということだから、やはりある程度は納得のいく作品であることは確かだ。実際、ボクも『スパイの妻』が選出されたことは、さもありなんという気はしていた。

 テーマとしては、個人の幸福か社会の正義かという選択をしながらどう生きていくのかということがあった。それを、戦時下という時代の中で、本当はどちらがどうなのだということを見ている者に突き付けてくれた。ストーリーとしては、社会正義のためと思っていた貿易商の高橋一生がいつしか個人の幸福を求めている。一方、個人の幸せを優先したいと思っていたその妻が、夫を愛するばかりに夫の社会正義への思いに寄り添って、自分自身も社会正義のために行動しようとしていく。ところが、実はその自分さえもが、夫の幸福のために利用されてしまったのではないか、という印象を与えていく結末となって行く。

 だから、最後は、主人公の高橋一生の本心がどこになったのかということを見る側で見出していくことになる。そして、その解釈は観る者にゆだねられていくというようになっていた。そんな展開で、中盤からは、次の展開へワクワクもさせられた。そういう意味からは、ベストワンには納得している。

 読者のベスト・テンは、やはりどうしてもある程度はヒットしていないと、鑑賞者の総分母が増えていかない。だから、三浦春馬ファンも含めて多く動員した『天外者』は、獲るべくして獲ったとも言えよう。それに、この作品で熱演した三浦春馬が、その後に自ら命を絶ったという衝撃的な出来事もあった。上映の最後に、その追悼テロップが出たときには、会場では拍手をする人もいたくらいだ。また、作品的にもラストシーンでは、五代友厚の思いを見事に表現していた。それも、拍手を誘発していく要素になったのではないだろうか。

 個人賞では主演男優賞に『アンダードッグ』でボクサー役の森山未來。主演女優賞には『喜劇・愛妻物語』の水川あさみ。確かに、この水川あさみは売れないモノカキにとっては、非常に頼りになるとともに怖い存在ということで、非常によかった。

 また、助演男優賞は『影の声』のもう一人の犯行で声を使われた男の宇野祥平。助演女優賞は『朝が来る』で14歳で妊娠して生んだ子どもを手放す役の蒔田彩珠となった。

 キネマ旬報賞は、数ある映画賞の中でも映画人にとっては最も嬉しい受賞だという。というのも、各社新聞社賞や日本アカデミー賞などと違って、スポンサーや経済的力関係などに忖度する要素がないからでもある。だから、拡大ロードショーとなる大作ばかりではなく、単館作品やローカル作品などにもスポットが当たる。そういう意味でも、映画人にとっては嬉しい賞だということなのである。

 ところで、外国映画賞は韓国映画の『パラサイト 半地下の家族』が1位となった。これも、大いにヒットした作品である。ただ、壮絶なラストは、ボクにとってはちょっとお腹いっぱいになりすぎた感があった。