☆テツコの部屋☆~映画評論館~ -177ページ目

最後の初恋

58点
リチャード・ギアとダイアン・レインが6年ぶりに共演したラブ・ストーリー。海辺に立つ小さなホテルの管理を代理で任された女性が、たった1人の男性客と恋に落ちる物語。
ノースカロライナ州・アウターバックスでのロケ映像がまず美しい。リゾート地で過ごす二人の男女、楽しそうな雰囲気がダイレクトに伝わってくる。前半だけなら90点。
しかし二人の心情を描いた後半は理解し難い。お互い長年の結婚生活に失敗しているのに、数日一緒に過ごしただけの相手に「一生愛し続ける」なんて言ってる。こういう無責任な思想を直さないと、永久に幸せになんかなれないと思うんだが。
唐突なラストも含め、かなり強引な展開が残念。

監督:ジョージ・C・ウルフ
出演:リチャード・ギア、ダイアン・レイン、ジェイムズ・ブランコ
2008年 97分
原題:NIGHTS IN RODANTHE

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魔法遣いに大切なこと

38点
人気アニメの実写化。魔法遣いを目指す主人公少女が、都会に出て魔法学校に入る展開。
舞台は現代日本だが、魔法遣いが普通に存在している設定。しかし例えば『ハリー・ポッター』に比べると魔法自体は地味で、能力も漠然としている。
学校では魔法そのものより精神論を教えているため、派手なシーンもなくはっきり言って退屈。生徒も4人しかいないので話がふくらまない。
大感動のラストも疑問。人が死ねば感動するってもんでもないだろう。
もともと主演は宮崎あおいがやるはずだったが、処々の理由で出演できなかった。確かに主演の子、いまいち役不足だよね。

監督:中原俊
出演:山下リオ、岡田将生、永作博美
2008年 100分

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インクレディブル・ハルク

82点
2003年に映画化されたアメコミ映画『ハルク』の評判が悪かったため、新しく作り直されたのが本作。ストーリーもキャストも全く違う作品。
結論から言えば、作り直したのは大正解。単調な部分はあるがその分わかりやすく、アクション映画のおいしい所を詰め込んだクオリティの高い作品に仕上がっている。
相変わらず雰囲気は深刻で、この手の映画にしてはコミカルな描写がほとんどないのが難点。CGも今の時代にしてみたら、それほど完成度は高くない。そのためこれ以上ハルクの続編を作るのは厳しいだろうが、ラストシーンが案じるように今後はアイアンマンやX-メンなど他のアメコミとのシンクロが実現すれば面白くなりそうだ。

監督:ルイ・レテリエ
出演:エドワード・ノートン、リブ・タイラー、ティム・ロス、ウィリアム・ハート
2008年 112分
原題:THE INCREDIBLE HULK

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崖の上のポニョ

70点
国民的人気を誇る宮崎アニメの新作。
しかし映画は、環境破壊や高齢化問題、あるいは親子の愛などを5歳の子供目線で表現しているため、いい大人が見るとバカバカしい部分が多々ある。
今回のキャラ「ポニョ」はトトロのメイちゃんをさらにハイテンションにさせたような超絶キャラ(笑)舞台は現代の日本だが後半になるにつれありえない描写満載で、その飛躍したストーリーは凡人には考えつかない。その点では宮崎節炸裂といったところか。
そのため理解できない人が見ると失笑するだけのアホアホ映画、でもそこがやっぱりさすがの宮崎アニメなんだな。何度も見たくなる相変わらずのスルメ作品。

監督:宮崎駿
声の出演:山口智子、土井洋輝、所ジョージ、天海祐希、長嶋一茂
2008年 101分

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D-WARS ディー・ウォーズ

61点
どこからどう見てもハリウッド作品だが、実はこれ韓国映画名義。ま、細かい事はいいや(笑)
500年前の朝鮮でのドラゴン伝説が、なぜか現代のアメリカに蘇る展開。
映像は意外なほど凝っている。ドラゴンをはじめモンスター群が次々LAを飛来する描写はなかなかのもの。
ファンタジーを意識したストーリーは陳腐な部分もあるが、派手な作風も手伝って見ごたえはたっぷり。時間も90分なので飽きずに全編一気に見れる。
ただコンパクトにまとめすぎたせいもあって、どこか決め手に欠けるのも確か。お金かけてるわりに、あらゆる面でいまひとつ物足りない作品。

監督:シム・ヒョンレ
出演:ジェイソン・ベア、アマンダ・ブルックス
2007年 89分
原題:D-WARS

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フロンティア FRONTIER(S)

71点
フランス産ホラー映画。あまりの残虐ぶりに映倫が審査を拒否したというスプラッタ作品だが、なぜか日本公開されている(笑)しかしその凄まじい映像にハッタリはない。
内容は『テキサス・チェーンソー』にそっくり。恐怖の晩餐をもパクるあたりは『クライモリ』同様に確信犯なのだろうが、残酷描写は負けていない。特に中盤の殺人連発はほとんど異常な世界で、ホラーを見慣れている人でも目をそむけてしまうほどきつい。
ストーリー的に事件の背景がほとんど描かれていない事、殺人一家の迫力がいまひとつな事など欠点も多いため、緊張感が持続していないのが難点。
ただしスプラッタ映画としては充分なクオリティ。同じフランス人監督、アレクサンドル・アジャにも通じるヤバさを感じる。

監督:ザビエ・ジャン
出演:カリーナ・テスタ
2007年 108分
原題:FRONTIER(S)

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しんぼる

79点
ダウンタウン松本人志の『大日本人』に続く監督作品、主演はまたも松ちゃん。今回は他に有名俳優は一切出ていない。
おかっぱでパジャマを着た男が、だだっ広い白い部屋から脱出する物語。
『ソウ』や『キューブ』をパロった展開。ほとんど松ちゃんの一人コントの世界、しかしギャグは面白くてもはっきり言って演技は下手。ただ怒鳴っているだけの印象。ちょっとウザい(笑)
冒頭から随所に散りばめられたメキシコ映像は確かにうまい演出ではあるが、ストーリー上は結局何の意味もなしていないため逆に稚拙さを感じる。
終盤は一気に飛躍。ほとんど哲学的にも思える崇高さだが言い変えれば意味不明。映画業界では凡人の松ちゃんが、天才のふりをして思いきり背伸びして作った作品の印象
斬新かつユニークで確かに退屈せず個人的にはとても好きな映画だが、このラストはなんとも大げさすぎるだろう(笑)

監督:松本人志
出演:松本人志
2009年 93分

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南極料理人

94点
結論から言えば、思った通りの映画だった。
南極大陸の内陸地、標高3810メートルで平均気温マイナス54℃の南極ドームふじ基地が舞台。そこで1年以上の間働くことになった8人の男たちを描いた展開。
ペンギンはおろかウィルスさえ生きられない過酷な環境で、限られた娯楽しかない中とにかく楽しく過ごそうと努力する8人のおっさんたち。その奮闘(?)ぶりがどうにもおかしい。
なんと言っても中心は食事。次から次へと登場するおいしいもの。最大の楽しみ「食」をメインにした事で、映画自体が華やかになりバリエーションに富んだ作品になった。これはお腹がすいてる時に見たい映画だねぇ。
正直ストーリーの方は穴が多いが、理屈ではなく素直に面白かったと言える数少ない傑作。

監督:沖田修一
出演:堺雅人、生瀬勝久、きたろう
2009年 125分

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K-20 怪人二十面相・伝

59点
ご存知江戸川乱歩が生み出したキャラを、作家・北村想が独自の視点で小説化。それをさらに斬新なアイデアで映画化したのが本作。
舞台は1949年、第2次大戦が起きなかった設定の日本。昭和の雰囲気漂う映像は『ALWAYS三丁目の夕日』のスタッフが担当している。音楽も含め、その完成度はさすがの高さ。
主人公は二十面相ではなく、泥棒に疑われた青年。ストーリーもわかりやすく、クライマックスのどんでん返しもなるほど面白い。
しかしなぁ、この地味すぎるキャストはどうにかならなかったものか。人気若手を1人でも起用していればまた印象も違ったと思うんだが。

監督:佐藤嗣麻子
出演:金城武、仲村トオル、松たか子
2008年  137分

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マッチポイント

48点
ウディ・アレン監督作、不倫を題材にしたサスペンス映画。
ストーリーは非常にありがちな浮気もの。ロンドンが舞台で出演者も美男美女揃いだが、内容はワイドショー再現フィルムなんかと変わらない(笑)
わかりやすくストレートな作風は感情移入できるが、単調でテンポが悪いのが欠点か。
「人生は運で決まる」が大きなテーマとなっているが、意外なラストはとってつけたような印象がある。
それよりもなによりも、こういうおいしい不倫をする奴はラストで地獄に落としてやればよかったのに(笑)

監督:ウディ・アレン
出演:ジョナサン・リース・マイヤーズ、スカーレット・ヨハンソン、ブライアン・コックス
2005年 124分
原題:MATCH POINT

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