☆テツコの部屋☆~映画評論館~ -177ページ目

おっぱいバレー

88点
1979年、北九州の中学校を舞台にした青春ストーリー。監督は『海猿』シリーズでお馴染み羽住栄一郎。音楽は79年当時のヒット曲を網羅している。
全く練習をした事のないバカバレー部が、美人新顧問に「勝ったらおっぱいを見せる」という約束をとりつけて猛特訓する構成。
ストーリーは非常にわかりやすいが「おっぱい」を連呼する部員たちのおバカぶりはちょっと子供っぽさを感じさせる。全体的には稚拙な印象。
ただ後半は意外(?)に泣ける展開。あまりの単純さが良い部分と悪い部分をさらけ出しているが、ラストの爽やかな感動はいい意味で予想通り。
俺もバレー部だったから懐かしい気持ちになったな。おっぱいは別として(笑)

監督:羽住栄一郎
出演:綾瀬はるか、仲村トオル、石田卓也
2009年 106分

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櫻の園(2008)

47点
1990年公開『櫻の園』のリメイク版。しかし内容は一新され、ストーリーも大幅に変わっている。
伝統を重んじる名門女子高で、11年前に不祥事で上演禁止となった演劇「櫻の園」を復活させようとする生徒たちの話。
はっきり言って、主演・福田沙紀のための映画。たくさん登場する他の女子高生たちはあくまで引き立て役にすぎない。
物語は、102分の尺では表現しきれなかった印象。なぜ「櫻の園」が禁止され、そして復活できたのかがきちんとに描かれていないため、素直に感動する事ができない。物語が中途半端なまんま完成してしまった感じ。
劇場公開時は、メジャー作品としては記録的な不入りだった。言うほど悪くはないが、確かにこれならドラマでもっと丁寧に作ればよかった。

監督:中原俊
出演:福田沙紀、大島優子、はねゆり、寺島咲、杏、菊川怜、京野ことみ、大杉蓮
2008年 102分

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天使と悪魔

71点
大ヒット作『ダ・ヴィンチ・コード』の続編。
今回はバチカン市国が舞台。カトリック教を背景にした宗教色強いストーリーは相変わらず敷居が高い。
全体的に見てもテンポが悪く、例えばイルミナティやらコンクラーベやらアンビグラムやら難しい言葉の連発にはどうにも閉口してしまう。欠点は多い。
しかし今回はサスペンスとしての見せ場もぐっと増えている。重要キャラにユアン・マグレガーを起用した事もあってか緊張感は高く、映画としては前作よりはるかに楽しめる作品に仕上がっている。特に終盤はいい意味で期待を裏切る盛り上がり。確かに渋い作品だが娯楽度も高く、前作を嫌いな人にもアピールするものを持っている。

監督:ロン・ハワード
出演:トム・ハンクス、ユアン・マグレガー、アイェレット・ゾラー
2009年  138分
原題:ANGELS & DEMONS

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スラムドッグ$ミリオネア

44点
第81回アカデミー賞で、作品賞や監督賞ほか8部門を受賞した話題の作品。監督は『トレイン・スポッティング』『28日後』のダニー・ボイル。
テレビ番組「クイズミリオネア」のインド版で勝ち抜いた青年が不正疑惑で拘留され、取調べ中に自分の生い立ちを思い返す話。
貧困街で生まれ育った主人公。映画は彼の子供時代の回想が中心となり、時おり「ミリオネア」の映像をはさむ展開となっている。番組は驚くほど日本版と変わらないので、違和感はあまりない。
人間関係を鋭く風刺した奥深い描写は相変わらずのボイル節。ただ映画の性質上暗い印象も否めず後味は良くない。ラストのダンスシーンはいいアイデアだけどね。
出演者は全てインド人。ロケもオールインドのため、アカデミー作品賞でも万人が見て楽しめるタイプではないのであしからず。

監督:ダニー・ボイル
出演:デーブ・パテル、フリーダ・ピント
2008年 120分
原題:SLUMDOG MILLIONAIRE

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ウルトラミラクルラブストーリー

79点
結論から言うと衝撃作。好き嫌いは別として、強烈に心に残る。
青森の農村を舞台にした、実に個性的な恋物語。
具体的には書かないが、あえて例えるなら『ギルバート・グレイプ』のディカプリオを大人にした感じの主人公。愛らしく、憎めないその突飛なキャラはさすがカメレオン俳優・松山ケンイチと言うしかない。
はっきり言ってシャレにならない描写も多くブラックな表現も満載のため前向きにおすすめはしないが、ハマると何度も見たくなるタイプの佳作。個人的には好きな映画。

監督:横浜聡子
出演:松山ケンイチ、麻生久美子、ARATA
2009年  120分

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ガマの油

24点
役所広司の初監督作品。主演も役所さんが務めている。
株で大儲けしている豪快な父親が、ある日突然一人息子を事故で亡くす話。
しかし物語は暗い部分がほとんどない。独特な登場人物を軸に、シュールかつユーモアあふれた個性的な展開を見せる。
ただ凝った演出とは裏腹に、ストーリー自体は首をかしげる部分が多い。風変わりで予測のつかない構成と言えば聞こえはいいが、初監督として未熟な側面が露呈してしまった印象が強い。
キャストもいまひとつ。特にサブロー役の青年、光役の女の子はどうにかならなかったものか。

監督:役所広司
出演:役所広司、瑛太、小林聡美、澤屋敷純一、二階堂ふみ、益岡徹、八千草薫
2009年  131分

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ターミネーター4

54点
シリーズ4作目。日本でも放映中のテレビシリーズ『ターミネーター:サラ・コナー・クロニクルズ』とは無関係のストーリ-で、あくまで劇場版の続編となっている。
今回の舞台は近未来。人間と機械の戦争で荒廃した世界を描いた構成。
確かに派手なアクションや戦闘シーンには迫力があるが、残念ながらキャストの地味加減は致命的。パート3の続編なのに出演者はすべて変わっているため、ファンであっても感情移入は難しい。
終始延々と戦闘が続く展開でストーリーも単調。新キャラのマーカスも存在が薄く、正直新しい要素は見当たらない。
このシリーズは6まで契約が済んでいるらしいが、これ以上話を膨らませるのはもう厳しいんじゃないかな。

監督:マックG
出演:クリスチャン・ベイル、サム・ワーシントン、アントン・イェルチン、ブライス・ダラス・ハワード
2009年 115分 
原題:TERMINATOR SALVATION

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カールじいさんの空飛ぶ家 3D

49点
『トイ・ストーリー』『ファインディング・ニモ』でお馴染みピクサーアニメ。愛する妻に先立たれたカールじいさんが、大量の風船を使って家ごと南米目指して旅立つストーリー。
設定は面白い。特に奥さんとの出会いから別れを描いた最初の10分くらいはもう絶品。鉄拳の「振り子」みたい(笑)
しかし意外に話はふくらまない。前半は冒険だがあっと言う間に目的地に着いてしまい、後半はなぜか敵(?)と戦う展開。犬が喋ったり飛行機を操縦したりなどドタバタした演出は相変わらず子供向けで、正直感動は薄い。もっと妻との想い出を前面に出してほしかったな。
3D映像に関しては全く意味を成しておらず、はっきり言って割り増し料金を払うだけ無駄。これから見る方は2D字幕版で充分なので気をつけて。

監督:ピート・ドクター
2009年  103分
原題:UP

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アバター 3D

82点
巨匠ジェームズ・キャメロン監督が『タイタニック』以来12年ぶりに作った作品。製作費は映画史上最高と言われている。
近未来、地球から5光年離れた小さな衛星パンドラが舞台。その星の資源を狙った地球人と原住民の交錯を描いている。
物語は単純だが世界観が実に個性的。キャメロン監督自ら「宮崎アニメに影響を受けた」と語っているが、なるほどその背景はナウシカやもののけを彷彿させる。
お金をかけただけあってSF映画としても非常に豪華で、CGをふんだんに使った贅沢な見せ場連発の展開は凄いの一言。ただあまりにも詰め込みすぎた内容のため2時間40分の長尺ではやはり見終わった後かなり疲れるのも事実。いい意味でも悪い意味でもお腹いっぱいの映画。
3Dに関してはほぼ予想通り。見て損はないが立体に興味のない人は2D版でも充分楽しめる。

監督:ジェームズ・キャメロン
出演:サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、スティーブン・ラング、シガニー・ウィーバー
2009年 162分
原題:AVATAR

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マイケル・ジャクソン THIS IS IT

91点
2009年6月25日に亡くなったマイケル・ジャクソン。本作は09年7月にロンドンで行われるはずだったコンサートのリハーサル映像を中心としたドキュメント作品。映画は全て彼の生前に撮影されたもので構成されている。
まず、映画自体の完成度の高さに驚かされる。リハーサルだけでなくインタビューやショートフィルムを効果的に挟み、ファン以外でも飽きないような構成になっているのは嬉しい。
そして何より凄いのが曲のクオリティ。本作に収められているのはほとんど誰でも知っているような代表曲ばかりで、さらに最新のアレンジで演奏されているので迫力は満点。
マイケルは本作では(おそらく)60~70%の力しか出していないので、100%の本番ではどんなライブになっていただろうと思うと改めて早すぎる死が惜しまれる。
DVDは当面レンタルはされないとの事。それなら毎年1度くらい映画館で上映してほしいね。

監督:ケニー・オルテガ
出演:マイケル・ジャクソン
2009年 111分
原題:THIS IS IT
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