クジラに落ちた男
74点
先日公開された映画・2026年版『バイオハザード』でお馴染みオースティン・エイブラムス主演。今回も命がけの主人公を演じる。
クジラに飲みこまれた青年が脱出しようともがく話。
よくあるワンシチュエーション作品かと思いきや、意外と「父親との絆」が軸になっており、ラストも感動の方向。予告を見る限り、2011年公開の『127時間』を思い出したが、この映画は実話ではなくワンシチュエーションでもない。思い切り作り話で、ストーリーの持って行き方もかなり強引。
しかしクジラの体内に入ってからはわりと斬新で、自分が脱出してるような感情移入もできる。
ホラー、アクション顔負けのびっくりシーン、グロシーンも満載で、耐性が無い人は敬遠した方がいいかも。基本的に海中なので見てて息苦しくなったりもしたり、まぁ見ていて色々辛い描写が多い。
とは言っても、内容は全体的にストレートな作風でわかりやすい。無理矢理締めたようなラストも、そもそもクジラに飲まれるなんてありえないわけなのでそこは許容範囲・・・と思いきや、過去にそういう人がいたらしい。本作とは関係ないが、まぁまさに現実は映画よりも奇なりと言ったところ。
監督:ブライアン・ダッフィールド
出演:オースティン・エイブラムス、ジョシュ・ブローリン、エリザベス・シュー
2026年 106分
原題:Whalefall
DIGGER/ディガー
70点
2026年のトム・クルーズ新作。
ハリウッド俳優がなかなか来日しない昨今、トムの日に制定されている10月6日に本人が来日しイベントを敢行。テレビ出演も数多くこなし宣伝バッチリ・・・のはずが、日本でもアメリカでも今のところ大コケという残念な結果になっている作品。
強欲な石油王(トム)が執拗な石油採掘により気候変動を起こしてしまい、大統領と共に責任逃れ。果たして世界は破壊されてしまうのか?という展開。
トム・クルーズと言えばアクションのイメージが強いため、本作に興味なかった人が多かったのかもしれないが、なかなかどうして、派手な災害映像と、年老いたメイクのトムもいくつかのアクションはこなしている。映像的なギミックは多い。
そしてネタバレは避けるが、この映画には大きく分けて2つのどんでん返しがある。アメリカへの風刺を、ブラックユーモアの雰囲気でひたすら投げかけたコメディタッチのエンタメ作品。
しかし2時間の尺、メッセージ色が強いようにも見えるが、では伝えたいことは何なのかが曖昧。最後まで見ると飽きる場面もしばしば。一見すると難解に感じられるため、ライトな客層は離れてしまったかもしれない。ぶっちゃけ、面白い作品を作ろうと気合い入れ過ぎて、あまりにもめんどくさい内容になってしまった印象。
今のアメリカ(あるいは世界全体)はアベンジャーズ等のMCU系が人気。日本はアニメが席巻しているので、この手の凝ったハリウッド作品はそもそも見てもらえないんだろうな。
かく言う自分も手放しに面白かったと言えるものでもなく、そこは微妙な作品だったと言わざるを得ない。オリジナルの単独映画を作るのはどんどん難しくなってきている。
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:トム・クルーズ、リズ・アーメッド、ジョン・グッドマン、ザンドラ・ヒュラー、バーン・ゴーマン
2026年 128分
原題:Digger
我々は宇宙人
66点
先月9月25日に公開されたアニメ映画。しかし初週から興行収入がどうにも伸びず。その後ネットやテレビで不自然に「これは感動する!」みたいなゴリ推しにも思える宣伝が連発したのは、声優に大手事務所の俳優を使っているから、その裏の力だろう。まぁそのゴリ推しに釣られて自分も見てしまったわけだが。
まずタイトルと内容のミスマッチが逆に目を引く。けどそこは単に元気すぎる子供を宇宙人に比喩しただけなので、タイトルに意味はあまりない。
作画は驚くほど地味で渋い。昨今の流行りのスィーツ系、アイドル系の可愛い絵柄とは時代を逆行した作風がこれまた逆に目立つ。
そして内容はその作画にマッチした辛辣なもの。
小学三年生、内気で友達ができないタイプの翼と、クラスの人気者・暁太郎との友情物語。しかしいくつかの出来事で友情にヒビが入り、人間関係が逆転していく展開。
小学生に限らず、大人になっても些細なことで友人とケンカして疎遠になるのはよくある話だが、この作品ではそこが実にリアルに描かれている。相手を気遣った行動が全く理解されなかったりは、誰でも思い当たるふしがあるのでは。その辺が地味な作画でチクチク心を突き刺す印象。特に暁太郎の転落っぷりがなんとも見ていて辛くなる。なるほど作画とストーリーが妙にマッチした出来。
さて、冒頭に書いたゴリ推しとも受け取れる過剰なネット上の高評価で、半ば名作のような雰囲気を出しているものの、爽やかさとは相反しており、見るとなんとも嫌~な気分になれるはず。まぁあまりおすすめできない一本。
監督:門脇康平
声の出演:坂東龍汰、岡山天音、山崎天、松井ケムリ、佐野岳
2026年 118分
バイオハザード(2026)
90点
人気ホラーゲーム『バイオハザード』の、2026年に公開された新たな実写映画化。
基本的に1から物語が始まり、他の映画やゲームと関わらないので、『バイオハザード』を全く知らない人がいきなり見ても問題なし。
ただし当然、映像や演出はゲーム版に大きく影響されており、まるで自分がゲームをやっているかの錯覚に陥る。しかし単発映画として秀逸で、とにかくテンポが早く単純な展開なのが見やすい。
グロ映像も容赦なくバラ撒かれR-15指定にもなっている。ぶっちゃけ気持ち悪いシーンも多いのでこの辺は好き嫌いがはっきり別れそう。
医療品運搬員の主人公ブライアンが、時間指定の荷物を運ぶ仕事を引き受ける。向かった先はお馴染み「ラクーンシティ」。このブライアンに感情移入すると映画は俄然楽しめる。
ミラ・ジョヴォビッチ版の『バイオハザード』と比べると、もう全然わかりやすくストレートなストーリー。しかし中盤以降は『遊星からの物体X』にインスパイアされた、かなり無茶苦茶な攻めた内容。そこはマニアからすると逆に嬉しい構成。
ここはシリーズ関係なしに一つのアクションホラーSFパニックとしておすすめ。
監督:ザック・クレッガー
出演:オースティン・エイブラムス、ザック・チェリー、カイーリー・レイス、ポール・ウォルター・ハウザー
2026年 94分
原題:Resident Evil
ディスクロージャー・デイ
60点
巨匠スティーヴン・スピルバーグ新作。と言っても近年は大してヒット作に恵まれず、若い人はもはやピンと来ない監督かもしれない。
今回は久しぶりに宇宙人を題材にしたSF作品。ここはネタバレ。
何やら組織に追われる男女、そして不思議な能力を身につけるヒロイン。中盤まではサスペンスアクションの様相。しかし徐々に明らかになってくる、地球外生命体の存在。
スピルバーグの名作『未知との遭遇』から間もなく公開50年だが、アプローチはあまり変わっておらず、宇宙人の容姿もほぼ一緒。そういえばトム・クルーズ主演『宇宙戦争』でも宇宙人描写は大差なかった印象。そして今さらミステリーサークル登場したり。
どちらかと言うと謎が謎を呼ぶタイプ。しかしストーリーに面白さは感じられず、惹きつけるような映像もない。
宣伝では「ラスト20分の衝撃」みたいな売り方しているものの、古臭い宇宙人出てきて何か喋るがそれは明かされずにエンドロール。こんなモヤモヤでいいのか。
スピルバーグもうすぐ80歳。もはや『インディ・ジョーンズ』『E.T.』『ジョーズ』『ジュラシック・パーク』のようなインパクトは求めてる人も少ないだろう。大御所中の大御所がこんな駄作を作るあたり、もはやハリウッドはMCU・アベンジャーズ系に頼るしかないのかも。
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:エミリー・ブラント、ジョシュ・オコナー、コリン・ファース、イヴ・ヒューソン
2026年 145分
原題:Disclosure Day
八つ墓村(2026)
77点
1951年に当時の雑誌へ連載され、1971年に文庫本として初刊行。以後映画化3回、テレビドラマ化7回された鬼才・横溝正史の名作を2026年に『呪怨』でお馴染み清水崇監督で4度目の映画化。
ただ本作は、従来とは驚くほど全く違ったアプローチ。ここはネタバレしてます。
まず時代は令和の現代。主人公も彼女ナシ、内定ゼロと今どきの大学生(ただしなぜか妙に影があるハンサム)。彼が母の訃報を受け取り、岡山県の山奥・八つ墓村へと向かい道中で金田一耕助探偵と出会う。着いた地で連続殺人が起こる展開。
時代背景が大きく変わったとはいえ、途中まではほぼ従来通り。「祟りじゃぁ~」のセリフも健在。しかしクライマックスが全く別物。
原作や過去作では、登場人物の森美也子(本作では堀田真由)が物理的に起こした普通の連続犯罪、という結末だったが、今回は本物の祟りが真相。つまり現実にはありえない超常現象が事件の顛末のため、もはや何でもアリ。ネットでも言われているが、金田一耕助はもはや必要ない。
さて個人的に横溝正史の作品は大好きだったものの、名作はもう何度も映像化されているのでいい加減飽きていた。誰か大胆に内容を変えてくれないかなぁ、と思っていたところに本作登場。完全にミステリーの枠から外れてホラー映画と変貌しているけど、自分が求めていたのとかなりマッチしたため、意外にも楽しめた一本になった。
もっとも清水監督、近年は『牛首村』などの村シリーズや『口に関するアンケート』など安っぽい作品が多く、本作もまぁそこまで怖いかと言われると疑問符が付く。ただ横溝作品をこれほど壊したことに関しては評価してもいいと思う。これに習って「原作に忠実じゃない」作品を、賛否両論覚悟でもっと作ってほしい。
監督:清水崇
出演:尾上松也、奥智哉、堀田真由、佐野岳、笹野鈴々音、小藪千豊、高嶋政伸、高島礼子、滝藤賢一
2026年 117分
踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!
80点
『踊る大捜査線THE FINAL 新たなる希望』から14年ぶりに復活したシリーズ最新作。
おそらくフジテレビが、例の中居くん事件で地に堕ちた人気を復活させるために再始動させたプロジェクト。織田裕二も年をとって丸くなりなんでもやってくれそうな雰囲気なので思惑が一致。
今回は誘拐事件の身代金を青島が運んでメトロポリス(東京)を駆けずり回り、3Dプリンター拳銃による殺人と毒性ウィルスをばらまくという強迫も絡み合う大事件となっていく。
しかし結論から言うと、とにかく本作はギャグの場面ばかりでシリアス度が一気に下がっている。しかも滑ってる部分が多く、あぁそういえば『踊る大捜査線』ってこんな低レベルだったなぁと思い出してもみたり。
映画のあちこちに過去の登場人物や伏線が散りばめられており、オールドファンはそれなりに懐しい気分になれるはず。ただ過去作をあまり見てない人にとっては、お寒いコメディとしてしか見れないかもしれない。
趣里や白洲迅がバディにふさわしいかは議論の分かれるところ。そして新キャストは今どきのゴリ推しさんズラリ。佐藤二朗もいつものあのキャラで登場してもうこれは「踊る」なのか?と疑問に思ったり。
そういえば今までの『踊る大捜査線』も、今見るとそういえばくだらないストーリーばかりだったと感じる人も多かっただろう。それでも若き青島の魅力と作品の勢いで、当時の実写邦画1位の興収を打ち立ててしまった。
ここの感想で何度か言ってるが、やはり映画に大事なのは鮮度であって、今回も見た直後はそれなりに面白かったと満足なんだが、おそらく数年後に見ると、なんでこんなくだらない映画に高得点付けたんだろうと思うはず。まぁそれが『踊る大捜査線』の謎の魅力なんだろう。
なお今回の興収次第でさらなる続編の可能性もあるらしい。
監督:本広克行
出演:織田裕二、趣里、白洲迅、増田貴久、野呂佳代、玉井詩織、藤吉夏鈴、斉藤なぎさ、松下洸平、佐藤二朗、佐々木蔵之介、真矢ミキ、寺島進、甲本雅裕、ユースケ・サンタマリア、伊藤淳史、滝藤賢一、松重豊、水野美紀、斉藤暁、小野武彦、北村総一朗
2026年 142分
ルックバック(実写)
64点
話題作が続いたので久しぶりに週末2度目の更新します。
2021年に少年ジャンプで刊行された読み切り漫画を、2024年に劇場アニメ化し大ヒットを記録。その題材を2026年に『誰も知らない』『万引き家族』でお馴染み是枝裕和監督で実写映画化したのが本作。
アニメ版は58分の短編だったが、この実写版は99分とかなり上映時間が伸びているが、これは去年公開された実写映画『秒速5センチメートル』と同じ手法。
つまりアニメより41分長いわけで、そこの描写が重要になるわけだが、本作では菅田将暉、野呂佳代、宮藤官九郎といった人気俳優を出演させて、無駄な尺稼ぎをした印象。
例えば先の『秒速5センチメートル』の場合は、アニメではほとんど描かれていなかった女性側の心情を表現するという意義があったものの、本作はほとんどアニメの焼き直し。主演2人もアニメ版の独特なセリフをモノマネをしているだけにすぎない。衝撃的なラストも、実写でもう一度同じこと繰り返したところで、当然ながら感動は薄れる。
近年やたら映画祭に出品しまくってる印象の是枝監督だが、最近はフランス映画や韓国映画だったり、LGBT題材だったり、どうも流行りか権力に媚びた作品が多い気がする。そもそも『ルックバック』はアニメが超名作だったので、ここで実写にする意味がまるで感じられなかった。公開前に出口夏希が熱愛やらかしたのもご一興。
なおネットを見るとタイトルの『ルックバック』の意味を単に直訳してる人が多いようだけど、これはOASISの名曲「Don’t Look Back In Anger」へのオマージュとのこと。
監督:是枝裕和
出演:出口夏希、蒔田彩珠、七瀬ふうり、岡田六花、野呂佳代、宮藤官九郎、菅田将暉
2026年 99分

オデュッセイア
91点
古代ギリシア二大叙事詩のひとつで、2800年前から語り継がれたとされる物語を映画化。監督は、現在のハリウッドで最も成功している人物と言われるクリストファー・ノーラン。その人物が全編IMAX撮影という史上初の試みを敢行した話題の作品。すでに北米や世界では公開済みで記録的興収を継続中。
超歴史大作で3時間近い長尺なので、興味薄だと見る前からウンザリする人も多そう。しかし例えば2004年に公開されたブラピ主演『トロイ』は架空の人間ドラマが主軸だったが、本作はあくまで神話をベースにしているため、巨人キュクロプスやら魔女キルケーやら架空の怪物がバンバン登場しグロい描写も容赦なく突き付けてくる。迫力ある大スクリーンに映えるトロイア戦争なども含め、まさに圧巻の映像美。
主人公オデュッセウスはトロイの木馬を提案し、トロイア戦争を終結させ10年に渡る漂流をすることになる。その壮大なスケールを詰め込んだ内容はむしろ172分では足りなかった印象。
クライマックスで無茶苦茶しまくる主人公オデュッセウス。見てるこちらが唖然としてる中で彼が選んだ行動。ここまでしっかり見た人はその是非を問うこととなる。視覚的な表現もそうだが、殺戮を通じて最後に何が残ったか。結局紀元前から今だに戦争が続いてるというところに、本作の意義があると思う。安易な「戦争反対」という言葉がいかに薄っぺらいかがよくわかる。人類がいる限り戦争はなくならないんだろうなぁという話はまた別の機会に。
なお本作の原題は『The Odyssey』。しかし2016年同じくマット・デイモン主演で邦題『オデッセイ』(原題はThe Martian)という映画があったため、タイトルは日本だけ『オデュッセイア』となった。
監督:クリストファー・ノーラン
出演:マット・デイモン、トム・ホランド、アン・ハサウェイ、ゼンデイア、ロバート・パティンソン、シャーリーズ・セロン
2026年 172分
原題:The Odyssey
バックルームズ
44点
英語圏の匿名掲示板に端を発し、2022年にYouTubeで『The Backrooms (Found Footage)』という短編をアップしブレイク。2026年に長編映画化され全米大ヒットとなった話題の作品。
舞台は1990年だがそれはどうでもいい。大型家具店で寝泊まりする男性が奇妙な入口を発見し、謎の空間へと迷い込む展開。
日本で二宮和也主演で公開された『8番出口』に雰囲気が似ているが、どうやらこちらの方が先。
そして『8番出口』に比べるとさらに凝った印象。トリックも様々で奥深く、世界中にファンが存在しているとのこと。
ただ今回初めて『バックルームズ』に触れた自分からしてみると、何かのゲームの延長線上という印象で、ずいぶん前に流行った『ブレアウィッチ・プロジェクト』あたりをも彷彿させた。実験的映像、見たことがない不思議な世界。まぁ日本だと『8番出口』に似てるじゃんと言う人が多いと思うけど。
ただ本作を単独で見ても、特に恐ろしさを感じることはできず、そしてとにかくワンパターン。自分がこの世界を彷徨うと面白いかもしれんが、結局明確なオチがないのは明らかで、自分が入り込んだアトラクションとしてならともかく、映画で見るにはコレジャナイ的な雰囲気が漂う。新しい試みの作品で実際世界的ヒットしてしまったそうだが、この後この手の作品が濫発されないことを祈る。
監督:ケイン・パーソンズ
出演:キウェテル・イジョフォー、レナーテ・レインスペ、マーク・デュプラス、フィン・ベネット
2026年 126分
原題:Backrooms








