トレインスポッティング
38点
2026年1月に突然リバイバル上映されてたので、何かと思ったら公開30周年らしい。当時はヨーロッパ、アメリカでスマッシュヒット。日本でもミニシアター系を中心に話題となったマニア人気の高い作品。2017年にはまさかの続編も製作されている。
舞台はスコットランド。ヘロイン中毒の青年たちを軽快な音楽と疾走感のある展開で描いたという触れ込み。ただしストーリー自体は破滅へと向かっており、またドラッグを擬態化し汚物が出てきたり目をそむけたくなるようなシーンもちらほら。実は意外とどんよりした内容。
例えば『パルプ・フィクション』のような過激さ、『スナッチ』のようなコミカルさは薄く、あくまでユアン・マクレガー演じるレントンらの日常にスポットを当てているが、当時のスコットランドのChoose life→選ぶことの重要さがイマイチ理解できず、感情移入が非常に難しい作品に映ってしまった。
特に重要なメッセージは伝わってこず、感動するわけでもなく、ラストに大きなオチもなし。ただ当時のこのイギリスっぽいポップカルチャーが何ともカッコよく見えた人が多かったようで、日本のミニシアターで大きな話題になったというわけ。個人的には映画としても流行としても好きになれない世界ではあった。失礼ながら初めて見た時は「えっ?話題作なのにこんなつまんないの?」と思ったっけ。
さて本作は『28日後』『スラムドッグ$ミリオネア』などでお馴染みダニー・ボイル監督の2作目。あぁそういやこの人の映画だっけなぁと懐かしくもあり。
監督:ダニー・ボイル
出演:ユアン・マクレガー、ロバート・カーライル、ジョニ・リー・ミラー、ユエン・ブレムナー、ケヴィン・マクキッド
1996年 94分
原題:Trainspotting
HELP/復讐島
81点
トビー・マグワイヤ主演の『スパイダーマン』でお馴染みサム・ライミ監督。しかし彼のデビュー作は実は『死霊のはらわた』で、悪ノリしたグロホラーも彼の一面。本作は『スペル』以来17年ぶりとなるライミ節コメディホラー作品。
親のコネで就任できた無能社長のブラッドリー。彼は仕事ができる優秀な社員リンダを目の敵にして連日パワハラを浴びせている。そんな彼らが出張でバンコクに飛んだが、プライベートジェットが無人島に墜落し、生き残ったのがブラッドリーとリンダの2人。もはや社長と社員という立場が関係なくなる、という展開。
無人島に2人というと『6デイズ/7ナイツ』を思い出すが、こちらはもうライミの悪ノリ炸裂シーン満載。このシチュエーションでも容赦なしにグロい描写が飛び出し、終盤では善悪の区別もなくなり、爽快感もへったくれも無くなってしまうところが凄い。通常なら後味最悪になるところが、どこかコメディタッチで笑えてしまうのがなんともサム・ライミ監督らしい。
ところで主演、なんでこんなおばさん使ったのかと思ったらレイチェル・マクアダムスだった。もう47歳なのね。
監督:サム・ライミ
出演:レイチェル・マクアダムス、ディラン・オブライエン、エディル・イスマイル、デニス・ヘイスバート、ゼイヴィア・サミュエル、エマ・ライミ、ブルース・キャンベル
2026年 113分
原題:
Send Help
ウォーフェア 戦地最前線
80点
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』のアレックス・ガーランド監督作品。この人は先日公開された『28年後...』の脚本も担当しているらしい。
そして同じく監督にクレジットされているレイ・メンドーサ。こちらの人の2006年イラク戦争での実体験をもとに描かれている作品。
冒頭、チープなエアロビクスのビデオで盛り上がる兵士たち。しかしこの直後から約90分がまさに地獄絵図。
ネイビーシールズ特殊部隊がイラクのラマディに潜入。あとはひたすらリアルな戦闘が続くのみ。ストーリー性は薄く、状況説明もない。主人公もおらず目的も排除し、激しい銃撃戦が繰り広げられる。
戦争映画もここまで来たか、と思わせるような爆撃シーン。いったいどうやって撮ったのか詮索するのも野暮な話。例えは悪いが、ある意味Switchやプレステの戦争ゲームをプレーしてるかのような感情移入ができる。とにかく痛そうな場面も次々と流され、結局なところ勝ち負けも描かれず、当然感動もない。ただこんな戦争映画を見たのは初めてで、その意味では貴重な体験をさせてもらった。長く映画見てると色んなタイプに出会えるという意味でなかなかの衝撃作。
監督:アレックス・ガーランド/レイ・メンドーサ
出演:ディファラオ・ウン・ア・タイ、ウィル・ポールター、ジョセフ・クイン、コスモ・ジャーヴィズ
2025年 95分
原題:Warfare
28年後...白骨の神殿
60点
ヒット作『28日後...』『28週後...』に続く続編は3部作となり、本作はその2作目、トータルで4作目。
今回は監督がダニー・ボイルではなくニア・ダコスタという黒人女性が務めているが、これは前作と本作を同時に撮影したから。ちなみにこの女性、『28日後...』が大好きで全セリフを暗記しているほどらしい(笑)。
今回のテーマは「人間は感染者(ゾンビ)より恐ろしい」という部分。感染者が人間を追いかけるといういつものパターンは思い切り控えめで、人間同士の争いを中心に描いている。
3部作なので『28日後...』と『28週後...』は見る必要はないが、前作の『28年後...』を見ておくのは必須。感染者はあまり暴れない代わりに、人間のグロさは引き立っている印象。その辺は人気テレビシリーズ『ウォーキング・デッド』の末期を彷彿させた。
展開はぶっちゃけ前作と一緒。悪魔崇拝といった宗教色も強めなので、ゾンビ映画をストレートに楽しみたい人には向いてない。その反面、もはや独自の方向性を醸し出しているため、前作を気に入った人はおそらく本作も気に入ると思う。
個人的にはイマイチに感じられたが、ラストでちょっとだけ出てくるキリアン・マーフィーが次作でどう動くのかが楽しみ。しかしその肝心の3部作ラストはまだ撮影に入ってすらいないらしいので、見れるのはかなり先になりそうな予感。
監督:ニア・ダコスタ
出演:レイフ・ファインズ、ジャック・オコンネル、アルフィー・ウィリアムズ、エリン・ケリーマン、キリアン・マーフィー
2026年 109分
原題:28 Years Later: The Bone Temple
悪魔のいけにえ 4Kデジタルリマスター公開50周年記念版
82点
2026年1月に、公開50周年記念としてリバイバル上映された本作。ちなみに40周年のときもリバイバル上映された(笑)。
さて1974年に公開された本作は、スラッシャー/殺人鬼映画の最初の作品と言われている。
例えば『13日の金曜日』のジェイソン、『ハロウィン』のマイケル・マイヤーズ、『スクリーム』のゴーストフェイスに比べると、『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスはとにかく執拗に追いかけてくるのが特徴。そして捕まえると地下室に拉致し、残忍な拷問が始まる。捕まったら何されるかわからない怖さではピカイチの存在。ジェイソンやマイケルは一撃で殺してくれるが、この人はそうはいかない。
『悪魔のいけにえ』はシリーズ合わせて4本、リメイクが2本、その後の続編が3本の計9本が作られているが、やはりグロ画像のリアルさは近年の新作に劣るものの、狂気という点ではこの1本目が一番かもしれない。
テキサスの田舎をドライブする5人の男女。たまたま訪れた一軒屋が気の狂った殺人一家の棲む家という展開。
武器がチェーンソーというのがまず怖い。殺人鬼レザーフェイスだけでなく、どう見ても挙動不審なヒッチハイカー、謎に厳格な長男、そして死体かと思ったら生きてる爺さん。この4人と強制的に晩餐へ参加させられるヒロイン、そしてラストは夕焼けに映えるチェーンソーダンス。ホラーファンからしたらまさに名場面が思い出される名作だが、初見の人はやはり古臭さを露骨に感じると思う。
というわけで、おすすめは2003年公開のリメイク版『テキサス・チェーンソー』と2006年『テキサス・チェーンソー・ビギニング』。こちらはもう呆気にとられるくらい物凄いです。模倣作が多いので間違えないように。
監督:トビー・フーパー
出演:マリリン・バーンズ、アレン・ダンジガー、ポール・A・パーティン、ウィリアム・ヴェイル、エドウィン・ニール、ガンナー・ハンセン
1974年 83分
原題:The Texas Chain Saw Massacre
世界一不運なお針子の人生最悪な1日
79点
コメディっぽいタイトルだが、内容はじわじわ追いつめられる系のアクション・サスペンス。
実はこの映画には大きな仕掛けがある。ここは少々ネタバレ注意。
スイスの山中で裁縫の仕事をしているヒロインのバーバラ。ある日道路で麻薬取引きの売人たちが血まみれで倒れており、端には大金の入ったトランクが落ちている。
バーバラの選択肢は3つ。①トランクを持ち逃げ②警察に通報③見て見ぬふり
この3つのパターンを続けて流す手法。果たしてバーバラは選択肢のうちどれをすればよかったのか?が焦点。
宣伝文句としては、お針子のスキルを使って状況を打開するみたいなことを謳っているが、糸と針を使った複雑なピタゴラスイッチで、偶然危機を脱してるだけなのが欠点。現実味は薄く、わりと退屈な部分が長い。
結局どの選択肢でもバーバラは金を持ち去り、敵を躊躇なく殺す。その辺は主人公に感情移入が難しく、愛すべきキャラにもなっていない。
3つの選択肢を順番に見せてくれる演出は面白かったが、残念ながら人物設定やストーリー展開にキッチリと繋げられなかった印象。ラストの締めも弱すぎ。これは実に惜しい題材だった。
監督:フレディ・マクドナルド
出演:イブ・コノリー、カルム・ワーシー、K・カラン、ロン・クック
2024年 100分
原題:Sew Torn
ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行
73点
日本の映画音楽界の巨匠・久石譲が初めてハリウッド映画とコラボした作品。実は監督のコゴナダが韓国系アメリカ人で、彼が熱烈なスタジオジブリファンだったことから実現した。しかし本作、既存のポップスも多くBGMで使われてるため、久石さんの有難味がイマイチ伝わってこないのがちょっと残念だった。
主演は『ハーレイ・クイン』や『バービー』、そして『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』など近年はじけた役柄の多いマーゴット・ロビーと、色々お騒がせ俳優のコリン・ファレル。けど内容は驚くほど爽やかなファンタジーに仕上がっている。
友人の結婚式で知り合った2人。レンタカーのカーナビで奇妙な「どこでもドア」風の扉に辿り着く。扉を通り抜けるとそこは、人生で一番やり直したい日へとタイムスリップしていた、という何とも奇妙で面白そうな導入部。
しかし結論から言ってしまうと、期待したほどの出来事は起こらず。タイムスリップするいくつかのエピソードがブツ切りに感じられた。やはりこの手の題材は、ドラえもんをはじめ過去のアニメでたくさん語られてるので、日本人が見ると新鮮味が薄いのかもしれない。
そしてファンタジーの一言で片づけるには、現実離れしたことが多すぎ。そこに感情移入しにくいのが欠点。なので期待した割に最後もあまり感動できなかった。
さて、もし自分が「人生で一番やり直したい日」に行けるとしたら・・・ちょっと多すぎて選べない(笑)。
監督:コゴナダ
出演:マーゴット・ロビー、コリン・ファレル、ケビン・クライン、フィービー・ウォーラー=ブリッジ、ジョディ・ターナー=スミス、ジェニファー・グラント
2025年 109分
原題:A Big Bold Beautiful Journey
アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ
76点
3年ぶりに公開されたシリーズ3作目。今回も3時間17分と前作を上回るボリューム。
神秘の星・パンドラに住む民族ナヴィ。ここではそのナヴィの内紛を描く。灰の部族アッシュ族と破壊的な炎がタイトルを意味する。
アッシュ族のリーダーは、あのチャーリー・チャップリンの孫娘ウーナが演じる。狂気の演技は一見の価値あり。そしてお馴染みクオリッチ大佐も大いにストーリーをかき回してくれる。
奥行きのある美しい映像は相変わらずアニメみたい。日本のゲーム、ファイナル・ファンタジーを思い切り綺麗にした感じ。そこは映画館の大画面で見ると大いに映える。
ここまでの3作合わせて実に9時間越え。当然しっかりと内容も把握していないとついて行けなくなること間違いなし。
ただ前作は『THE FIRST SLAM DUNK』『すずめの戸締まり』と公開時期が丸かぶりしたため、世界中で日本だけが週末ランキングで1位にならならず、最終興収も43億円と惨敗だった。果たして本作は持ち直すことができるか。
さらに次作4が2029年、その次の(おそらく)完結編が2031年に公開されることがすでにアナウンスされている。全部終わるのが6年後か・・・自分はそれまで生きていられるかな。
監督:ジェームズ・キャメロン
出演:サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガニー・ウィーバー、スティーヴン・ラング、ジョヴァンニ・リビシ、ウーナ・チャップリン、ケイト・ウィンスレット
2025年 197分
原題:Avatar: Fire and Ash
シェルビー・オークス
51点
YouTubeチャンネルで映画評論家として活動し、登録者数200万人を誇るクリス・スタックマンの長編映画監督デビュー作。なるほどYouTuberだけあって、らしいホラーに仕上がっている。
「パラノーマル・パラノイド」というホラー実況チャンネルの撮影で、4人の若者が謎の廃墟町シェルビー・オークスを訪れるが、後に3人が遺体で発見され、1人が行方不明となる。そしてその12年後に行方不明女性の姉が、シェルビー・オークスへ赴く展開。
まぁなんとも薄気味悪い雰囲気で、モキュメンタリーの要素も含めたドキュメントタッチっぽい作品。
不可解な出来事がいくつか起こる序盤はなるほど興味深く見れる。しかし真相が明らかになる終盤は、悪魔だの崇拝だの召喚だの、物語が完全に現実離れしてしまったのが残念。その辺ちょっとアリ・アスター監督の『ヘレディタリー/継承』を思い出した。
不気味な映像が多いため、それらをつなぎ合わせた予告編を見るとなるほど怖そうなんだけど、実際に映画を見てみると内容がそもそも面白くない。
結局悪魔の目的はなんだったのか、そもそも何の悪魔だったのかは意図的に曖昧にしたとのこと。その辺が全米の批評家たちで賛否両論らしいが、日本の我々自称映画評論家に言わせると一言、ただの駄作なんだな。気の利いたオチを放棄して悪魔に逃げただけのように見える。
ただ少なくとも雰囲気は悪くないので、近年のコケ脅し邦画ホラーよりははるかにマシだけど。
監督:クリス・スタックマン
出演:カミール・サリバン、サラ・ダーン、ブレンダン・セクストン3世、キース・デビッド
2024年 91分
原題:Shelby Oaks
ズートピア2
59点
個人的に全くハマれなかった前作。9年ぶりに公開された続編は、当然ながら雰囲気はさほど変わらない。
ウサギのジュディとキツネのニックのバディ映画。動物ばかりが暮らす都市「ズートピア」で繰り広げられるドタバタ騒動。しかし意外と世相に深く切り込んでいるのが特徴。
今回はジュディとニックが逆にズートピア警察に追われるという展開。その中で、なぜズートピアに爬虫類がいないかを紐解いている。
前作より一歩突っ込んだ形の内容。哺乳類と爬虫類の比較で、さらりと植民地主義が描かれているのが重めのテーマ。爬虫類の描写が意外とリアルで子供にはそこは気持ち悪いかもしれない。
そして終盤に出てくるのがホラー名作『シャイニング』の盛大なオマージュというかパロディ。その辺は映画ファンとしては素直に楽しめると思う。まぁこれだけでも見た甲斐はあった。
ドタバタ具合はより増したイメージ。自分としてはどうしても好きになれない雰囲気があったが、まぁそこはアニメなので、基本的に子供が見るものだと割り切るべし。
監督:ジャレッド・ブッシュ、バイロン・ハワード
声の出演:ジニファー・グッドウィン、ジェイソン・ベイトマン、キーホイ・クァン
2025年 108分
原題:Zootopia 2









