☆テツコの部屋☆~映画評論館~

索引


や・ら・わ英数字


1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>

アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ

76点

3年ぶりに公開されたシリーズ3作目。今回も3時間17分と前作を上回るボリューム。
神秘の星・パンドラに住む民族ナヴィ。ここではそのナヴィの内紛を描く。灰の部族アッシュ族と破壊的な炎がタイトルを意味する。
アッシュ族のリーダーは、あのチャーリー・チャップリンの孫娘ウーナが演じる。狂気の演技は一見の価値あり。そしてお馴染みクオリッチ大佐も大いにストーリーをかき回してくれる。
奥行きのある美しい映像は相変わらずアニメみたい。日本のゲーム、ファイナル・ファンタジーを思い切り綺麗にした感じ。そこは映画館の大画面で見ると大いに映える。
ここまでの3作合わせて実に9時間越え。当然しっかりと内容も把握していないとついて行けなくなること間違いなし。

ただ前作は『THE FIRST SLAM DUNK』『すずめの戸締まり』と公開時期が丸かぶりしたため、世界中で日本だけが週末ランキングで1位にならならず、最終興収も43億円と惨敗だった。果たして本作は持ち直すことができるか。
さらに次作4が2029年、その次の(おそらく)完結編が2031年に公開されることがすでにアナウンスされている。全部終わるのが6年後か・・・自分はそれまで生きていられるかな。

監督:ジェームズ・キャメロン
出演:サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガニー・ウィーバー、スティーヴン・ラング、ジョヴァンニ・リビシ、ウーナ・チャップリン、ケイト・ウィンスレット
2025年  197分
原題:Avatar: Fire and Ash

 

シェルビー・オークス

51点
YouTubeチャンネルで映画評論家として活動し、登録者数200万人を誇るクリス・スタックマンの長編映画監督デビュー作。なるほどYouTuberだけあって、らしいホラーに仕上がっている。
「パラノーマル・パラノイド」というホラー実況チャンネルの撮影で、4人の若者が謎の廃墟町シェルビー・オークスを訪れるが、後に3人が遺体で発見され、1人が行方不明となる。そしてその12年後に行方不明女性の姉が、シェルビー・オークスへ赴く展開。
まぁなんとも薄気味悪い雰囲気で、モキュメンタリーの要素も含めたドキュメントタッチっぽい作品。
不可解な出来事がいくつか起こる序盤はなるほど興味深く見れる。しかし真相が明らかになる終盤は、悪魔だの崇拝だの召喚だの、物語が完全に現実離れしてしまったのが残念。その辺ちょっとアリ・アスター監督の『ヘレディタリー/継承』を思い出した。
不気味な映像が多いため、それらをつなぎ合わせた予告編を見るとなるほど怖そうなんだけど、実際に映画を見てみると内容がそもそも面白くない。
結局悪魔の目的はなんだったのか、そもそも何の悪魔だったのかは意図的に曖昧にしたとのこと。その辺が全米の批評家たちで賛否両論らしいが、日本の我々自称映画評論家に言わせると一言、ただの駄作なんだな。気の利いたオチを放棄して悪魔に逃げただけのように見える。
ただ少なくとも雰囲気は悪くないので、近年のコケ脅し邦画ホラーよりははるかにマシだけど。

監督:クリス・スタックマン
出演:カミール・サリバン、サラ・ダーン、ブレンダン・セクストン3世、キース・デビッド
2024年  91分
原題:Shelby Oaks




 

ズートピア2

59点

個人的に全くハマれなかった前作。9年ぶりに公開された続編は、当然ながら雰囲気はさほど変わらない。
ウサギのジュディとキツネのニックのバディ映画。動物ばかりが暮らす都市「ズートピア」で繰り広げられるドタバタ騒動。しかし意外と世相に深く切り込んでいるのが特徴。
今回はジュディとニックが逆にズートピア警察に追われるという展開。その中で、なぜズートピアに爬虫類がいないかを紐解いている。
前作より一歩突っ込んだ形の内容。哺乳類と爬虫類の比較で、さらりと植民地主義が描かれているのが重めのテーマ。爬虫類の描写が意外とリアルで子供にはそこは気持ち悪いかもしれない。
そして終盤に出てくるのがホラー名作『シャイニング』の盛大なオマージュというかパロディ。その辺は映画ファンとしては素直に楽しめると思う。まぁこれだけでも見た甲斐はあった。
ドタバタ具合はより増したイメージ。自分としてはどうしても好きになれない雰囲気があったが、まぁそこはアニメなので、基本的に子供が見るものだと割り切るべし。

監督:ジャレッド・ブッシュ、バイロン・ハワード
声の出演:ジニファー・グッドウィン、ジェイソン・ベイトマン、キーホイ・クァン
2025年  108分
原題:Zootopia 2

TOKYOタクシー

65点

寅さんでお馴染み山田洋次監督の91本目の作品。2022年公開のフランス映画『パリタクシー』のリメイク。木村拓哉は『武士の一分』以来19年ぶりの山田作品出演。そしてキムタクと倍賞千恵子の共演はジブリアニメ『ハウルの動く城』以来2度目。
ここは盛大にネタバレします。
うだつの上がらない中年のタクシー運転手・宇佐美(木村拓哉)は、85歳の女性・すみれ(倍賞千恵子)を乗せることになる。目的地は高齢者施設だが、その前にいくつか寄りたいところがあるとの依頼。その行く先々を通して、すみれの生きざまを描いていく構成。
話は王道展だが壮絶な描写もちらほら登場する。戦時中の初恋相手、在日朝鮮人との別れだったり、夫のDVに反撃したら重傷を負わせてしまい禁固9年を食らったり、その懲役中に愛する息子を事故で失ったり。
そんな暗い告白を聞かされる宇佐美、逆に彼女に寄り添い始め、食事を共にして、イルミネーション輝く横浜の夜道を散歩する。

ここからネタバレ。
後日、妻と共にすみれの元を訪れると、彼女はすでに亡くなっていた。そして彼女の遺言で1000万円を受け取るというラスト。
いやぁ、さすがに飛躍しすぎでは。この日会ったばかりで壮絶な過去をベラベラ喋るのも不自然だし、いくら映画とはいえ最後に大金を渡してハッピーエンドはかなり強引に見えた。

そして先週書いた『果てしなきスカーレット』とは対照的に、本作は公開後すぐに各映画サイトで大絶賛されている。えええ、さすがにこれではそこまで泣けないだろ・・・。

ネットの評判とか、テレビのゴリ推しとかに左右されず、正直な感想を2週連続で書いたが、さすがに俺の感覚大丈夫か?と自問自答している(笑)。

監督:山田洋次
出演:木村拓哉、倍賞千恵子、蒼井優、迫田孝也、優香、小林稔侍、笹野高史
2025年  103分

果てしなきスカーレット

81点
公開初日から各映画サイトでは散々の評判。もはやいきなり駄作の烙印を押されている感のある本作だが、個人的にはその評判ほど悪くないと思った。


シェークスピアの「ハムレット」を原案に細田守監督が自ら執筆した原作、そして製作されたアニメ。
1601年、叔父のクローディアスに父を殺された主人公王女・スカーレット。復讐に失敗して死者の国で目を覚まし、時を越えて2034年の日本からやってきた看護師・聖と出会い、共に旅をする展開。
復讐による憎しみの連鎖を「許す」ことが本作のわかりやすいテーマになっているが、そこを幼稚と受け止めた人が多かったのかもしれない。

ただ実にストレートなそのメッセージが素直に心に響いたのと、聖の正体(これは見てのお楽しみ)が普通に意外だったし、予想通りだったラストもそこは無難にまとめた印象。こんな終わり方だろうな、と思ったらやっぱりそうだったのが自分にとって嬉しい締めだった。
芦田愛菜、岡田将生を始めテレビで活躍する売れっ子タレントがズラリ。声を聞いてすぐ顔が浮かぶ人を声優に起用したのは賛否別れると思う。しかし個人的にはみんな上手いと思ったし、なんだかんだ細田アニメとしては久々にそこそこの感動を得れた。
ただ中世の世界を仰々しく表現し、ハムレットをモチーフに新境地を大作として突き付けたのは逆に小賢しい演出に見えた。見ていて肩が凝る設定で、敷居が高く感じた人も多かったのでは。見てみると決してそんなことはないのに。

等身大の若者を毎回描いて大ヒットを続けている新海誠監督との差はそこにあるのかな、と思ってみたり。

 

監督:細田守
声の出演:芦田愛菜、岡田将生、山路和弘、柄本時生、青木崇高、染谷将太、吉田鋼太郎、斉藤由貴、松重豊、役所広司、宮野真守、津田健次郎
2025年  111分

プレデター:バッドランド

88点
プレデターシリーズの6作目。アニメも含めると7作目。エイリアンVSプレデターも含めると9作目になる。
ここでは遠く離れた宇宙で暮らすプレデター一家の、厳格なしきたりから描いている。
主人公プレデターのデクが、自分の価値を族長へ証明するために、宇宙で最も危険とされる惑星バッドランドに挑戦する内容。
でも危険度で言えば木星とか土星の方がはるかに危険だと思うがそれはさておき、ニュージーランドでロケを敢行したという森の中ではなるほど『風の谷のナウシカ』や髑髏島のキングコングみたいなクリーチャーがどんどん登場する。しかしこの最凶とされる敵のCG描写がなんともイマイチで、これじゃプレデターの方が怖そうじゃんと思ってしまった。
ただストーリーや設定自体はなかなか面白く、途中で出会う下半身の無いアンドロイド・ティアとの共闘もいいアイデア。
そのティア登場あたりから『エイリアン』に雰囲気が似てるなぁと感じたが、終盤ではその『エイリアン』に登場した悪の根源ウェイランド・ユタニ社が本格的に登場する。この辺のリンクもファンにとったらたまらない展開だろう。
残念なのは、散々煽ったあげく物語は終わらず、続編を示唆したエンディングだったところ。今のハリウッドは続編やリブートだらけ。いつ終わるかもわからないシリーズを延々待つのはもう疲れた。
けど単発と割り切って見るなら本作はおすすめ。

エル・ファニング年とったなぁ・・・と思ったらまだ27歳だった(笑)。

監督:ダン・トラクテンバーグ
出演:エル・ファニング、ディミトリアス・シュスター=コローマタンギ
2025年  107分
原題:Predator: Badlands

ミーガン2.0

70点
スマッシュヒットした人気作の続編だが、日本での劇場公開が急遽中止になったいわくつきの作品。なぜ中止かは明らかにされてないけど、興行がアメリカでふるわなかったこと、そして配信の目玉にしたかったことが理由と思われる。映画の内容的には特に問題はなく、グロいシーンもほぼない。
まず冒頭から前作と全く違ったアプローチに驚く。舞台は2年後、ジェマとケイディの母娘は変わらず暮らしているが、その裏で米軍開発のロボット「アメリア」が暴発し、復活したミーガンと戦う展開。ホラーというよりSF色が濃い。
今回のミーガンは完全に味方側になる。そこは明らかに『ターミネーター2』を意識しているものの、コスチューム替えたり踊ったりだけでなく、突然歌い出したりベラベラ喋ったりと、ちょっと狙いすぎの傾向が感じられた。
娘役のヴァイオレット・マッグロウは14歳。そばかすが素朴な雰囲気を出していい味出しており、ミーガン役の中の子エイミー・ドナルドも可愛い。相変わらず予告を見ると面白そうなんだが、通して見ると意外と退屈な場面が多く間延びした印象。日本公開されてないが決してクオリティが落ちたわけではなく、前作を気に入った人は見た方がいい。

しかしアメリカでコケてしまったことで、もう続編はなさそう。個人的には監督代えてもう1本作ってほしいところだけど。

監督:ジェラルド・ジョンストン
出演:アリソン・ウィリアムズ、ヴァイオレット・マッグロウ、エイミー・ドナルド、アリストートル・アタリ
2025年  122分
原題:M3GAN 2.0

爆弾

49点

「このミステリーがすごい!」の2023年版で1位を獲得した小説を実写映画化。

酔った勢いの暴行で逮捕されたスズキタゴサクと名乗る中年男(佐藤二朗)。彼が突然爆弾の存在をほのめかし、その通りに爆発が起こる。映画は取調室での刑事(山田裕貴)と中年男の攻防がメインに進んでいく。
もう随分前からフジテレビで、意味ありげな予告が流れていたので楽しみにしていたが、ぶっちゃけ言うと期待外れ。
山田裕貴も佐藤二朗も映画やドラマ、そしてバラエティにも多く出ているので、素のまんま演じている感じで不気味さは感じられなかった。
爆破シーンはCGではなく本物の火薬を使ったそうで、リアルな爆発はこの映画に力を入れているのがよくわかる。
ただ全編通して人間関係や過去のしがらみがわかりづらく、すんなり物語にのめり込めない。となると、どうも主演2人の取り調べコントを見せられてる気がしてくる。なので本来衝撃なはずのラストも、へぇそうなんだくらいにしか思えなかった。
お手本としては、ブラピの『セブン』や、1999年の名サスペンス『隣人は静かに笑う』あたりを意識したのかなと思ったが、残念ながら邦画特有の稚拙さが感じられ、この2本の足下にも及ばず。結局は豪華キャストの壮大な無駄遣いの印象。

監督:永井聡
出演:山田裕貴、佐藤二朗、伊東沙莉、染谷将太、寛一郎、坂東龍汰、片岡千之助、中田青渚、加藤雅也、夏川結衣、渡部篤郎
2025年  137分

ワン・バトル・アフター・アナザー

78点
レオナルド・ディカプリオはじめ、クセ強の役者がズラリ並んだアクション作品。
日本でも身近な問題になりつつある移民を題材にした物語。
拘束されている移民たちを解放しようとする革命家パット(ディカプリオ)。しかし16年後にボブと名前を変え、警察を恐れた無気力な男に変貌する。そんな彼を軍人ロックジョー(ショーン・ペン)が追う展開。
2時間42分の長尺だが意外と間伸びせず。色んな事が次々起こるがストーリー自体は複雑ではない。追いつ追われつの追走劇が全編で繰り広げられる印象。
ディカプリオはとにかく情けないオッサン役、しかし娘のために「トム・クルーズばり」のアクションを見せる。そこはどこかコミカルで、過去のカッコいいレオ様を知っていればなんとも複雑、しかし楽しい展開に目が離せなくなる。
あのスティーブン・スピルバーグ監督がこの映画を大絶賛、3回見に行ったらしい。個人的にはそこまで面白くはなく1回でお腹いっぱい(笑)。

監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:レオナルド・ディカプリオ、ショーン・ペン、ネニチオ・デル・トロ、レニーナ・ホール、チェイス・インフィニティ
2025年  162分
原題:One Battle After Another

死霊館 最後の儀式

84点

2013年に始まった「死霊館ユニバース」と称されるシリーズ、9作目にして完結編が本作。実在した心霊研究家のウォーレン夫妻が関わった恐怖の体験を描いた作品。ここはネタバレ。
今回はウォーレン夫妻と娘のジュディが、かつて対峙した呪いの鏡を持つ家庭へと乗り込む展開。
心霊現象が徐々にエスカレートする構成はいつもと同じ。そのため中盤まではやや退屈かも。ただその分後半の盛り上がりはなかなかに凄まじく、お馴染みアナベル人形や悪魔ヴァラクも登場。
しかし完結編とは言っても、悪霊が滅びるはずはなく、最後は娘ジュディが結婚し、過去にウォーレン夫妻が助けた家族たちが式に出席するというなかなかジーンと来る締め。製作のジェームズ・ワンもカメオ出演したりして、あぁこれでやっと終わってくれるかと見てるこちらも一安心。
近年は邦画のホラー作品が顕著な低レベル化。そんな中10年以上も深刻な怖さだけを追求したこのシリーズの功績は大きい。
まぁ数年休んだらまた復活しそうな気もするが(笑)。

監督:マイケル・チャベス
出演:ヴェラ・ファーミガ、パトリック・ウィルソン、ミア・トムリンソン、ベン・ハーディ
2025年  135分
原題:The Conjuring: Last Rites

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>