『卒業式、恋の想い出』 | 優勝

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天然と言われますが、人生楽しく、ちょっとアホでいい♪

昔、週刊SPA!てコラムを連載していましたー☆

とぼけたブログですが、よろしくお願いします♪

僕の中学卒業の当日、式が終わり校庭で同級生たちと騒いでいた。


すると、中学1年の女の子が二人、僕に手紙を渡しに来てくれた。


友達からです、と1通の手紙を。


同級生のヒトシが目ざとく、それを見つけ、僕への手紙を開いた。


ヒトシ『おい、あおや!これは、あっ子ちゃんからのラブレターやぞ!』


あっ子ちゃんとは、かわいくて有名な女の子だった。


僕は、内心、ものすごく喜んでいたが、あっ子ちゃんの事はあまり知らなかったので、手紙をもらった事にウキウキしていた。



その夜、僕は仲の良い同級生タケツの家に、友達と泊まった。


僕はラブレターを持って行き、二人に見せた。二人も喜んでくれて、3人で何度も何度も、


松田聖子の『制服』を、電気を暗くして聴いた。6回目くらい聴いた頃だろうか。


僕ら3人は泣いていた。
なぜか熱い涙を流していた。


そして僕は、歌詞にあっ子ちゃんを重ね、10回目の卒業が終わる頃には、あっ子ちゃんを好きになっていた。


単純な男だ。


四月からは都会に
行ってしまうあなたに


打ち明けたい気持ちが
でもこのままでいいの


この歌詞の『都会』に、僕の行く高校を重ねた。この高校は、ただの隣町の城陽高校なのに。


しかも通いで行く僕。




そして僕らは次の日から、付き合い始めた。


僕は何度かデートをしたが、触れる事は出来なかった。触れたくもなかった。


僕はとにかく話し、笑わそうと、楽しませようと、いつも喋っていた。


けれど、半年が過ぎ、あっ子ちゃんが電話で別れを切り出して来た。


『私、話し上手より、聴き上手な人のほうがいいの。それと、先輩は私に興味がないの?』


そんな理由であったと思う。


僕の純情は、この時、音を立てて壊れた。


あっ子ちゃん、僕が君に興味ない訳がないやん。

話、聴いてあげられなくてごめん。

ずっと喋っていて、ごめん。


僕は心を言葉にせず、別れを受け止める返事だけをして、電話を切った。


その時、かすかに、こう想った記憶がある。


『これも青春なんやなぁ』


僕は当時、やたら青春という言葉が好きだったし、竹本孝之も大好きだった。


そして、それから3ヶ月後、僕はあっ子ちゃんに、復縁の告白をしに行く。


卒業した維孝館中学の校庭で、あっ子ちゃんに会った。あの手紙をもらった校庭で。


僕『もう1回、付き合ってくれへんか?』


あっ子『ごめんなさい。』


僕は頷き、すぐに校庭に背を向けた。たまたまあったサッカーボールを蹴飛ばして。


僕の純情は、また、風船のように破裂した。


寒い冬の雲が、いつもと変わらず、ゆっくりと流れていた。





嵐山あおや