授業の半ば、僕らは異臭がして騒ぎ出した!
『くさっ!』
『なんやこれ、くさっ!』
『おえっ!』
バキュームカーが図工室に入って来たかと思うほど、強烈な汚物臭が教室中を包んだ。
世にも珍しいニオイに、子供たちは、もっと騒いだ。
『誰や!屁こいたん?』
『これ屁ちゃうぞ!』
『うんこや!』
『うんこか!』
『下痢か?』
先生も黙っていられず、
『くさっ!窓を開けなさい!』
と言って、全部の窓を開けさせ、廊下の扉もすべて開けさせた。
先生は続けた。
『トイレ行きたい奴おったら、言えよ!なんも恥ずかしい事ちゃうしな!それにしても臭いなぁ。』
その言い方で行ける?
今、トイレ行かせて下さい、と言った人が、この強烈な屁の犯人という事になる。
みんなは、うんこだと言っていたが、この悪臭は、実は僕の屁だった。
その時、鼻の良い同級生の大辻が、ムゴイ事を言い出した。
『なんか、あおやの辺から、どえらいニオイするぞー!』
僕『な、なにがやねん!』
先生『あ、あおやか!トイレ行ってこい!』
僕『ち、ちがいます!』
先生『ほんまに?』
ほんまに、て、なんやねん!と思いながら、僕は大辻いらん事言うなよ!と思っていた。
しかも、トイレ行ってこい、と言うが、僕は屁がしたくて、内緒で屁をしただけである。
なのにトイレへ行けとは、この屁ならトイレでしてこい、という意味か。
うんこは全然したくなかった。
なんとか地獄のような図工が終わり、教室に戻ったら、大辻が2、3人で僕の所へ来た。
大辻『さっきのうんこ、あおややろ?』
僕『ちゃうわ!誰がうんこやねん!』
僕は屁だったので堂々と返した。大辻は続ける。
『ほんならパンツ見せてみ?』
僕『お前、どこまで疑うねん!』
と言いながらも、屁をこいた後ろめたさから、僕はパンツを見せた。
そして疑いは晴れた。
うんこと思われていて良かった。
おしまい。
嵐山あおや