ようこそ映画の小部屋へ
今夜は『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』
をお迎えしました
大ベストセラーを世界同時に出版するため、完全隔離の洋館に集められた9ヵ国の翻訳家。
ところが、極秘扱いの原稿の一部がネットに流出し―。
105分、あなたは騙され続ける。
【キャスト】
ランベール・ウィルソン
オルガ・キュリレンコ
リッカルド・スカマルチョ
シセ・バベット・クヌッセン
エドゥアルド・ノリエガ
アレックス・ロウザー
アンナ・マリア・シュトルム
フレデリック・チョー
マリア・レイテ
マノリス・マヴロマタキス
【スタッフ】
監督・脚本:レジス・ロワンサル
脚本:ダニエル・プレスリー、ロマン・コンパン
撮影:ギヨーム・シフマン
音楽:三宅 純
プロダクションデザイン:シルヴィ・オリヴェ
衣装:エマニュエル・ユークノフスキー
編集:ロイック・ラルマン
【ストーリー】
フランスの人里離れた村にある洋館。
全世界待望のミステリー小説「デダリュス」完結編の各国同時出版のため、9ヵ国の翻訳者が集められた。
外部との接触は一切禁止され、日々原稿を翻訳する。
しかしある夜、出版社社長の元に
「冒頭10ページを流出させた。500万ユーロ支払わなければ全ページが流出する」
という脅迫メールが届く――。
©(2019)TRÉSOR FILMS – FRANCE 2 CINÉMA - MARS FILMS- WILD BUNCH – LES PRODUCTIONS DU TRÉSOR - ARTÉMIS PRODUCTIONS
内容(「キネマ旬報社」データベースより)
「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズの出版秘話に基づく本格ミステリー。全世界待望のミステリー小説「デダリュス」完結編の各国同時出版のため、9ヵ国の翻訳者がある洋館に集められるが…。
内容(「Oricon」データベースより)
フランスの人里離れた村にある洋館。全世界待望のミステリー小説「デダリュス」完結編の各国同時出版のため、9ヵ国の翻訳者が集められた。外部との接触は一切禁止され、日々原稿を翻訳する。しかしある夜、出版社社長の元に「冒頭10ページを流出させた。500万ユーロ支払わなければ全ページが流出する」という脅迫メールが届く―。
(アマゾンサイトより)
『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(きゅうにんのほんやくか とらわれたベストセラー、Les traducteurs)は、2019年のフランス・ベルギーのスリラー映画。 監督はレジス・ロワンサル(フランス語版)、出演はランベール・ウィルソンとオルガ・キュリレンコなど。
『ダ・ヴィンチ・コード』をはじめとするダン・ブラウン原作の小説『ロバート・ラングドン』シリーズの4作目『インフェルノ』出版の際、海賊行為と違法流出を恐れた出版元が著者ブラウンの同意のもと、各国の翻訳家を地下室に隔離して翻訳を行なったとの実話から着想を得ている[3][4][7]。
2019年11月にチェコで開催されたフランス映画祭でプレミア上映された[1]。
ストーリー
フランスの人里離れた村にある洋館に9カ国から翻訳家が集められた。全世界待望のミステリー小説『デダリュス』の完結編の各国語への翻訳のためだ。しかし9人は洋館の地下に隠された要塞のような密室に隔離されてしまう。海賊行為と違法流出を恐れた出版元が著者の同意のもと、彼らを隔離して極秘に翻訳を行わせることにしたのだ。
9人は外出はおろか、電話やソーシャル・ネットワーキング・サービスSNSなどの通信も禁止され、毎日20ページずつ渡される原稿をひたすら翻訳していく。そんなある夜、出版社社長の元に「冒頭10ページをインターネットに公開した。24時間以内に500万ユーロを支払わなければ、次の100ページも公開する。要求を拒めば、全ページを流出させる」という脅迫メールが届く。それは翻訳家に紛れ込んだ原作者の出版者に対する復讐の始まりだったのだ。
キャスト
- エリック・アングストローム
- 演 - ランベール・ウィルソン
- 出版社のオーナー。
- カテリーナ・アニシノバ
- 演 - オルガ・キュリレンコ
- ロシア語の翻訳者。『デダリュス』のヒロインに入れ込んでいる。
- アレックス・グッドマン
- 演 - アレックス・ロウザー
- 英語の翻訳者。9人の中で最年少。
- ハビエル・カサル
- 演 - エドゥアルド・ノリエガ
- スペイン語の翻訳者。吃音症。左腕を怪我している。
- エレーヌ・トゥクセン
- 演 - シセ・バベット・クヌッセン
- デンマーク語の翻訳者。夫と幼い子どもたちがいる。
- ダリオ・ファレッリ
- 演 - リッカルド・スカマルチョ
- イタリア語の翻訳者。アングストロームに媚びる。
- ジョルジュ・フォンテーヌ
- 演 - パトリック・ボーショー
- 書店経営者。アングストロームの文学の師。
- ローズマリー・ウエクス
- 演 - サラ・ジロドー
- アングストロームの助手。
- イングリット・コルベル
- 演 - アンナ・マリア・シュトルム
- ドイツ語の翻訳者。
- チェン・ヤオ
- 演 - フレデリック・チョー
- 中国語の翻訳者。
- テルマ・アルヴェス
- 演 - マリア・レイチ[8]
- ポルトガル語の翻訳者。反抗的。
- コンスタンティノス・ケドリノス
- 演 - マノリス・マブロマタキス[9]
- ギリシア語の翻訳者。金のための仕事と開き直っている。
-
映画紹介の惹句に、「105分、あなたは騙され続ける。」とあるが、まんまと騙され続けた。
人が生きているということ自体、自分で自分を騙しているとも言えるので、
人生を実感した。
いい作品と言われるものは、つまり人を集中させてくれるものということなのだろう。
芸術とは、等しく人を集中させてくれる。
それは賭け事のようなある種の風俗のような、射幸心や性欲を煽るコンセントレートではない。
スピリット、魂の蜘蛛の巣投げ編的回収。
散漫とは逆ベクトルへの誘い。
昇華という向上心のような方向性。
つまり雑念の除去。
これは僧の念仏もそうで、だから本物の僧は、雑念欲望地獄から解放されている。
芸術は集中力の対象になりうるもの。
そこに集中できたら、自意識から解放される。
よって魂、存在だけになれる。
存在は平等だ。
存在だけが平等だ。
いるかいないか、在るか不在か。
二つしかない。
そして存在しているならば、存在しているということにおいて、平等。
オンとオフ以外ない世界。
霊魂がオンなら、肉体に宿っていなくても存在している(幽霊という状態)。
だから本物の芸術の前では、人は平等。
モナリザの前で、人は生活や肉体を忘れ(つまり感動して)、存在のみという平等状態になれている。
この映画は、観客を集中させてくれる。
途中まで、暗雲が立ち込めていた。
もやっている、いわゆる分からない、という状態。
しかし、翻訳者の一人が動き出してから、分かってきた。
この映画の主人公は、出版社のオーナーのエリックでも、美しいカテリーナでも、作家志望で自殺するエレーヌでもなく、最年少であることを冒頭でさかんに強調されていたアレックス・グッドマンなのだ。このグッドマンという名前がヒントだったのかもしれない。
このプロジェクトの本の作者がブラックというのも、ブラックボックス、謎のX的、暗示だったのかもしれない。
この翻訳し始めた本の作者はエリックの文学の師の書店経営者ではなく、アレックスで、アレックスは自らの原稿をこの書店経営者に見せ、その場で出版を薦められ、断り、しかしあなた名義ならばいい、と言った。この書店経営者は、アレックスの文学の師でもあったのだ。つまりエリックとアレックスは兄弟弟子、とも言える。
書店経営者はブラックというペンネームを作り、本は世界的ベストセラーに。
作者となった書店経営者ブラックは人前に顔を出さない覆面作家。
書店経営者は、本当の作者はアレックスだという事実をエリックに言わないまま、金の亡者となったエリックに殺されてしまう。
アレックスは、9人の翻訳者の一人としてプロジェクトに紛れ込む。
統括するエリックは、そのことを知らない。
原稿の内容が流出しないように一所に囚われた翻訳者。
原稿は厳重に管理されているはずが、流出、流出。犯人はエリックに、更なる流出を止めたければ要求額を払えと脅しのメールを送ってくる。
犯人はこの中にいるはずなんだ……。
ここにいる人しかしらない歌のことを知っているから……。
疑心暗鬼になる、アレックスを除いた8人の翻訳家。
実はここに囚われる前に、すべてアレックスが流出騒ぎを仕込んでいた。
なぜなら、アレックス本人が書いているのだからそれは可能……。
ということを巧みに隠し続けてくれる大人向けエンターテインメント。
分からない、と思うとき、それは主人公を見失っているときなのだ。
人生というものでも、分からない、なとど不安を感じるとき、それは自分の人生の主人公が自分であることを見失っているときなのだろう。
映画では、ストーリーラインと絡み合うように主人公というものがいるはずで、主人公とはストーリーの化身であるはずで、よって本作のように、主人公を巧みに隠すものに目を奪われてそこを集中して観ていると、もやもやを感じるのだろう。
もさもさもやもやしていたアレックスが、エリックに対する敵意殺意を顕わにしてからは快晴の冬の日のようにカラッと寒くなって気持ち良かった。
この映画は時系列が前後する。
それも知的。
急に白髪になったその後のエリックが挿入されて(?)となり、ああそうか、となり。
このエリックに面会しているのは誰?となり、ああそうか、となり。
え、アレックスが子供のころからもうこのフラグ立ってたんだ、となり。
え、エリック、文学の師のブラックを殺したんだ、となり。
金の亡者になったんだから、精神的にはずっとまえから殺してたのか……となり。
こんなに色々出来るんなら、最初あの時アレックスが自分の名前で出版していればこんなことには……、ああでもまだアレックスは子供だったか……、残念、しかし早熟の天才ということか。しかもこの書店経営者とのやり取りがなければ書いていないのか、正に途中で出てくる『失われた時を求めて』なのか、となる。
いやこう思う時点で完全なる感情移入、良い観客、だが。
この作品はあの『ダヴィンチ・コード』シリーズの出版秘話に基づくのだという。
全くのフィクションではないのだろう。
凄い、と思う設定の面白さや、こういう人いそう、というリアリティーは、そこの事実から来ているのか、と感心した。
このシリーズ本、『デダリュス』のヒロインに入れ込んでいる翻訳家の美女役を演じているのは、オルガ・キュリレンコ。キャサリン・ゼダ・ジョーンズ系の美人。
こちらがキャサリンゼダジョーンズ
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