こんにちは。
先日、旅行中にやっと読了しました。
ジャック・アタリ 『食の歴史』
この本は、全10章の構成で、第六章までが20世紀までの世界各地における人類の食の歴史、
第7章以降が現在および未来の人間の食についての作者の考察が書かれています。
正直、第6章までは、歴史的事実の描写が長くてちょっと退屈してしまうかもしれません、
(作者のジャック・アタリはアルジェリア生まれでフランスの国立行政学院卒業ということもあり、また、フランスは食の都ですので、
フランスの食の歴史については厚く書かれていました。)
お忙しいかたは、「第7章 富裕層、貧困層、世界の飢餓(現在)」から、読みはじめてもよいと思います。
印象に残った部分を引用してメモします。
290頁
「 人々が動物の人間らしさを認識するようになると、植物についても同様の動きが生じる。動物と同じく植物にも、人間にきわめて近い行動様式や、利他主義に基づく非常に多くの振る舞いがあり、こうしたことが意識されるようになるだろう。これは人間の食に大きな影響をおよぼし、植物を食べるのを断念することさえ考える者も現れるはずだ。」
293頁
「 めまいを引き起こす究極の未来図を示そう。幹細胞が、動物や植物、臓器や新たなタイプの生物を製造するために利用されるようになると、われわれヒトは究極のカニバリズムの形として、自分たち自身を食らうようになるだろう。永遠の命という幻想を抱き、死の静寂に包まれながら……。」
302頁
「 資本主義によって押し付けられたアングロ・サクソン型の発想の下では、食は楽しみという概念の入り込む余地のない、実務的な行為になる。唯一の楽しみは、工業生産される、脂肪と砂糖がたっぷりの模造食品という形でもたらされる。この食事観が勝利を収めれば、悲惨な結果が訪れる。会話、自然との触れ合い、自己表現、議論、合意の形成にとって最適な場が消滅するからだ。そうなれば、われわれは、社会的、精神的にきわめていびつな状況に陥る。
家族での食事が消滅すると、とくに子供の教育に深刻な影響がおよぶだろう。というのは、これまで子供は食事中に、大人の意見を聞き、大人と議論し、思考力を養い、家族や社会の一員になる、あるいは大人たちに反抗する術を学んできたからだ。」
(コメント)
ここは、ドキッとしました。前段の「模造食品」の箇所もそうですけど、後段の「家族での食事の消滅」、というところですね。
息子が一年間大学受験で浪人していたことにまつわる苦い思い出を・・・。
当時、息子は毎朝スマホを家に置いて予備校に出かけ、夜10時過ぎに帰宅してひとりで夕食、という生活を送っていたのですが、このとき、ひとり夕食を食べながらスマホでユーチューブなどを見るという習慣になってしまっていました。
そのあと、浪人生活が終わった後もしばらくのあいだ、息子は食事の際、家族がいても、食卓についたらいきなり耳にイヤホンをつっこんでスマホを見る、という行動をとることがあったのです。あるとき同じことをした息子に見かねた私は、「食事をしながらスマホはやめてね。食材を買ってきて食事をつくるわたしも悲しいし、食卓にいる他の家族も会話を拒絶されているように感じるから。浪人のときは例外だったととらえてくれたらうれしい。」と伝えたところ、息子も理解して以降はスマホを見ながら食事、というのはなくなりました。
他にも、現代では、多くの要因から、家族での食事というのは難しくなっているのだろうな、と思います。
336頁
「 誰もが料理を創造する権利をもつ。誰にでも描く、歌う、作曲する権利があるように、体によい素材を自身のやり方でアレンジすることにより、誰もがポジティブな料理を創造できる。こうした過程では、失敗もするが、傑作が生みだされることもある。・・・(中略)・・・
普遍的でポジティブ、そして質素で穏やかなこのような美食学は、喜びで会話が弾む利他主義に基づくポジティブな社会の誕生を促す。
料理は会話の新たな儀式にもなるだろう。料理を味わうことは、会話のためのかけがえのないひと時になるのだ。」
(コメント)
我が家は、夫が平日は帰宅がほとんど深夜のため、家族全員で食事をできるのが週末だけです。そのため、せめて週末はできるだけ家族みなで食事を楽しめるよう、料理の苦手な私ですが心がけています。最近は娘が料理に興味を持ち始めていろいろなメニューに挑戦していて、昨夜はハンバーグを作ってくれました(夫と私でほめまくって盛り上げています、笑)。
それから、雑誌『ふらんす 2026年3月号』の特集「フランスの食のいま」も興味深く読みました。
昨年暮れに、フレンチシェフのジョージさんのyoutubeを見るようになって、
他にも和食やイタリアンのシェフがyoutubeでたくさん発信していることがわかりました。
この潮流はフランスでも同様だそうで、そういった現象への考察が書かれていて面白かったです。
料理が苦手なわたしには、いつでもどこでも、インターネットで無料で動画でレシピの再現が見れる(にんにくやしょうがのみじん切りのやりかたが動画でありありと示される!)のはほんとうにありがたいし、シェフのキャラクターや世界観が雑誌やレシピ本よりダイレクトに表現されて伝わるのは興味深いなと思います。
・・・となんだかとりとめもなく長々と書いてしまいましたが、お読みいただきありがとうございました。
今夜は晩ごはんに餃子を作る予定です。
皮は市販のものにします、笑


